特別展『和食展』で、日本の食文化にどっぷり浸かってきた。

上野・国立科学博物館の特別展『和食~日本の自然、人々の知恵~』に、行ってまいりました。

昨年10月から始まり、「絶対に行かねば」と思っていてやっと。

日本の食材を「水」から「菌」まで、歴史や科学など多角的視点での解説を添えたのち、和食の歴史について、成り立ちから様々な食材や食文化が広がっていった様子までを、昔の資料のみならず食品サンプルも駆使して展示している、食いしん坊心を鷲掴かまれる内容です。

触れたい内容はたくさんあるのだけれど、その中でも特に萌えたポイントを抜粋して、偏り承知でご紹介。

 

■日本最古のグルタミン酸

「うま味」の発見者・池田菊苗博士が昆布から抽出した、日本最古のグルタミン酸が展示されていて驚きました。まさか自分の目で見られるなんて…
「具留多味酸」と書かれたラベルも珍しく、しばらくのぞき込んで愛でました。

 

■弥生時代のおにぎり

握ったものではなく、籠に入れただけである可能性もあるみたいだけれど、どちらにしても「食べられるように加工した米を持ち歩こう」と考えたことに親近感。
米、おいしいよね。

 

■いろんな食卓

一番興味深く、時間をかけて見たのが、過去のいろんな時代や身分の食卓を再現したもの。
どんな人も人間。当たり前なんだけど、食べたし飲んだ。

*卑弥呼の食卓(春)

真鯛にあわび、はまぐりなどとても豪華。

食材の豊かさはもちろん、品数の多さがイメージになくて印象的でした。
「炒飯?え、玄米なの?」と、右に盛られた米に注目していた隣のお姉さん、私もそう思ったよ。

 

*平安時代の大臣の御前

右・酒肴四種(鮑、生鯛、鮭、干し鳥)と酢、塩
左・交菓子(栗、棗、カヤノミ)

これを見た瞬間に、見えぬ大臣の手を取りたくなった。
完璧なアテじゃないか。
こんなのをつまみながらちびちびと嗜む酒、たまらない。

 

*織田信長のおもてなし

織田信長が、安土城に到着した徳川家康に、すぐに出した饗応膳。
これだけのものが1日2回提供されたのだそう。
メニューには汁物が多くて、「鶴汁」「海鞘汁」など、好奇心そそられるものもあったり。

 

*天皇の午餐会

日付等詳細は、秋山徳蔵氏の筆跡なのかな?(かわいい)

 

「これは!佐藤健(さん)!!」てなったのは、私だけではないはず。
ドラマ化もされた「天皇の料理番」、秋山徳蔵氏が収集した宮中での会のメニューカードやそこから再現された料理のサンプルがあり、「よくぞこの時代に…」と見入ってしまいました。

 

*江戸時代の屋台再現

これらはたしか両国・江戸東京博物館で見てわくわくしたやつ。
現在休館中だし、未見の方はぜひ。
特に、(写ってないけど)蕎麦屋の屋台をのぞき込んでみると、調理の段取りが分かっておもしろい。

 

■都道府県別検索ワード

意外にも(失礼)ぐぐっと見入ってしまったコーナー。

クックパッド内で多く検索されているワード・ベスト5までを、都道府県別に挙げたもの。

普段よく使ったり、作り慣れたものを検索することは少ないわけで、「なぜこのワード?」と考えながら見ていくと、とてもおもしろいものでした。

おそらく「地元名産の素材をいただいたりして入手したけど、どう調理するの?」とか「給食やソウルフードとして聞くけど、どうやって作るの?」あたりの動機からの検索が多めだったように感じました。

我が故郷・広島の『「1位・ししゃも」と「3位・メバル」は不明』というコメントには笑ったし、千葉の「1位・サイゼリア」という結果にもニヤリとしてしまった。

***

他にも、琉球とアイヌの料理がそれぞれの伝統食器に盛られて再現されていたり、江戸時代の料理本が並んでいたり、ペリーをもてなした料理が見られたり、見どころはまだまだたくさんあるのだけれど、語りつくすのも無粋ですし、この辺で。

和食に限らず、「食を知る」ことは「文化を知ること」なのだなぁと、あらためて感じた展示でした。

東京での会期は、2024年2月25日まで。
そのあと、全国を巡業する予定のようなので、ご興味ある食いしん坊の皆さま、ぜひ。

 

 

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