世田谷線の三軒茶屋駅は高校生でごった返していた。
おそらくテスト週間とか、そういう感じなんだろう。昼にテストが終わって、普段は部活があるはずのその時間はぽっかり空いて(勉強しろよという話なのだが。)、なにをしようか手持ち無沙汰になる時間だった。
そんなときにガールフレンドでもいれば、一緒に勉強しようよ、なんて都合のいい大義名分を抱えて、町役場に行ってはスペースシャワーティービーをみたり、トレインスポッティングのポスターが貼ってある友達の家に行ったりしていた。
ホームに並ぶ人々は世田谷線特有のギギギィという音とともに駅に到着した電車に吸い込まれて行き、絶対座れないなぁと思っていたけれど、意外に座れる。
ホームにいるひとの量と、電車に乗ったひとの量は同じはずなのに、いつも違和感を感じる。
ホームにいるひとが100人だとすると、電車に乗ったひとは60人くらいになってしまった感じがする。
高校生のときの物理の先生が、「だいたいこれくらいという塩梅がわかるのが大人になるってことだよ。」と言っていた。
電車を待つひとと、乗るひとのだいたいこれぐらいはいつまで経っても一致しない。
下高井戸で乗り換えて、府中に向かう。
府中の会社で打ち合わせをして、また同じ経路を辿って、三軒茶屋にもどる。
府中の会社は友人が勤めている会社で、友人SくんとKさんの結婚式の時に招待状やのデザインをさせてもらい、そのつながりで何度かお仕事をいただいている。
なにかあったら、声をかけていただいて嬉しいなぁと思う。
府中から乗った京王線が下高井戸で世田谷線につながっていくようにつながって、つながって、つながっていく。というか、つなげていただいている。ありがたい。
帰りの電車は思うようにつなぎが良くなかった(他の経路ではいけるのだけれど、府中に行くときはこの経路以外には考えられない)ので、もって来ていた本でも読みながら戻ろうと思い、各駅停車に乗った。
昼下がりの、外から差し込む光が強くて、車内が少し薄暗くなる時間帯の電車が好きだ。
Shingo Kurono