昔から古典の言葉の響きが大好き。
古文はシンプルな言葉の中にとっても深い意味が込められているだけではなく、人間の根本的な部分を洗い出してしまうすごさがある。
仕事で悩んだとき、勇気をくれたのが「平家物語」。
祇園精舍の鐘の声
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久しからず、
ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひにはほろびぬ、
ひとへに風 の前の塵に同じ。
中学生くらいのころに暗記したなーとかおもいつつ、
テストに出るからと思って必死に文字を追っていたころは全くわからなかったこの世界観。
平家物語、すごい。
↓現代語訳はこちら
祇園精舍の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。娑羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のようである。勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。
(ウィキペディアより)
一言であらわすと「無常」の世界観。
以前、誰かから
「宇宙の外って何があるか知ってる?」
と言われ、答えられずにいると
「それは無なんだよ」
と言われたことが。
「無!?」とおもいつつも、
どこかで理解できてしまっている自分がいました。
日本人はどこかで「無」の世界観を抱きながら文化を築いてきたんでしょうね。
平家物語の序文では、どんなに勢力をふるっている人でもいつかは「無」になるし、それは「春の夜の夢」と同じ、「風の前の塵」と同じということを言っています。それは無常であり、変わりゆく。
私が勇気をもらえたパートでもあり、好きなキーワードが「春の夜の夢」。
この序文を逆説的に捉えると、無に還っていくというのは最強ということになると思うのです。どんなすごいひとでも時代とともに全てが流れていくので、人は皆優劣などなく、大河のような流れの中に委ねて生きていくのが良いのだと教えてくれます。
無に還っていけるから、どんな人とも対等に生きていける。
そんなことを教えてくれました。
だって、この物語では栄えている人も風の前の塵と同じって言っちゃってる。
すごい言い回しですよね。
でも、結局はそんなものなのかなーと肩の力が抜けます。
ちょっと不思議な話なのですが、
平家物語って面白い!と思うようになってから、
平家の直系の末裔の方にお会いしたり、
平家物語を語る琵琶法師にお会いしたり、
平家との濃いご縁が一気に広がりました。
平家の方とお話をしていると、歴史は続いていると感じます。
どうやら数年前に源氏の一族と平家の一族がちゃんと和解したそうなんです!
数百年も前の話なので、あくまでも歴史の教科書の情報しかないのが一般的ですが、やはり本筋からお話を聞くと世界観が全く違います。
平家は攻められて滅びているため、今でも平家ならではのしきたりや決まりごとが多く、名前も隠れ文字なのです。
「平」という苗字は語れないので「坂上」さんなど、平らなイメージになる苗字だったり、漢字の辺を変えたら「平」になるような名前だったり。
同じ一族同士は面識がなくてもわかるそう。
その方も平家物語の全文をお持ちでした。
平家物語の世界観を抱いている方々なのできっとすぐに打ち解けられたのだと思いました。
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昔の卓越した感性の人たちが紡ぎ出した文にまだまだたくさんの勇気をもらえるような気がします!
他にも良さそうな古典があったら紹介しますね^^