その日の自分にしつらえる、私の「スープレシピ」の作り方。

私には「スープに救われる日」があります。

あたたかさが、ぽっとおなかに火を灯すような感覚はもちろん、
そこにいたるまでの、「無心で切る」「ことこと煮る」という過程ですでに
癒されていくような気がするのです。

春から夏にかけての梅雨をまたぐ今頃の時期は、気候の変動が身体や心に嬉しくない影響を与えがち。
そんな日々でも、あるものや手軽なものでその日の自分に合わせたスープを作れるようになると、
ちょっとした安心感を手に入れられるように思います。

今回は、私が普段オリジナルスープを作る際に考えている要素をまとめてみます。
決める順番はなく、食べたい食材や味があればそれを軸に、他の要素を埋めていく感じです。

 

■出汁

昆布や鰹節、顆粒コンソメ、鶏ガラスープの素などお好みで。
ただ私の場合は、「出汁を取るのがめんどう」「出汁の素的なものを常備していない」という理由から、
「出汁が出やすい具材」を選定する場合がほとんど。

動物性のものだと、鶏肉・加工肉(ベーコンやソーセージなど)・骨付き肉・貝類、
植物性のものだと、玉ねぎ・長ねぎ・白菜・きのこ・トマト
などを、出汁具材として使っています。

新玉ねぎの出汁、甘みに頼り切り、桜花塩漬けで塩味とニュアンスを加えた春のスープ。

 

■具材

出汁具材以外の、他の具材を考えます。
植物性だと、キャベツやごぼう、蓮根、芋、人参、豆腐、豆など。
動物性だと、豚肉や肉団子、海老、魚など、お好きなものを。
キムチやザーサイ、焼き海苔なども候補に入れておくと発想が広がります。
私はコンビーフを具にしたことも。食べ進めるにつれてほぐれてきて味わいが変化していくのが楽しかったな。

春キャベツと菜の花のコンビーフスープ。
白ワインも加えて、いいお出汁。

 

■味付け

出汁と具材、塩のシンプル仕上げも、もちろんアリです。
その他では、味噌やめんつゆ、醤油、みりん、トマト水煮(もしくはピュレ)、ナンプラーなど。
牛乳や豆乳を使うのも好きですが、熱や酸で分離するので、
煮立てないように注意するか、小麦粉や片栗粉でとろみをつけるようにしています。
(分離しても、おいしくいただけるんですけどね)

玉ねぎときのこの出汁を活かしたクリームスープ。
具材と小麦粉を炒めて牛乳を加えた、とろみで分離を防いだタイプ。

 

+αでニュアンスをつけるのも楽しいです。
にんにくや生姜を加えたり、ハーブやスパイスを合わせたり、仕上げにラー油を回しかけたり。
沸いたタイミングで日本酒や白ワインを入れるのも、臭みを抑える目的以外に旨みや酸味を足す効果もあります。

実験気分で思いついたものを試して、お気に入りの組み合わせをストックしていっています。

トマト水煮に生姜を効かせる、お気に入りの組み合わせ。

 

キャベツと玉ねぎ、バター、すべてに相性のいいクミンをアクセントに。

 

⇒順番

スープの内容が決まったら、調理の順番を考えます。

・最初に具材を炒めるか、炒めないか
炒める場合=炒めるオイルでコクがでる/高温加熱+塩で食材の水分と旨みを引き出しやすい/焦げを作って旨みにする
炒めない場合=オイルを使わないのであっさり仕上がる

・入れる具材の順番
出汁具材や火が通りにくいものは先に入れ、煮崩れる可能性があるものや、火が入りすぎると硬くなってしまうものは「火が通ったらできあがり」というタイミングで入れます。
出汁にしたい具材は、
植物性=塩とオイルで炒めてから水分を入れる
動物性=水から入れて沸かす(魚介類は沸いてから入れ、硬くなる前に取り出す)
という順番で作ると出汁が活かせます。

 

自分のために、家族のために作る名もないスープは、シンプルでも具だくさんでも、あっさりしていてもこっくりしていても自由。
冷蔵庫の在庫やその日の気分と相談しながら、お伝えしたようなポイントを踏まえて組み立ててみてください。

あ、「味が決まらないなぁ」という時は、少し塩を足すと解決することが多いってことも書いておきます。
これはスープに限りませんが、単純に塩分不足なこと、多いです。

どなたかの、不安定な日を救うお役に立てればいいな。

 

 

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