ひとりひとりの光芒

4月21日、りゅーとぴあコンサートホールにおいて、
「光芒koubou 映像と三味線が紡ぐ平和の旋律」と題したコンサートが幕を開けた。
平和への祈りを捧げるというコンセプトで構成したプログラムは初の試みであり、
映像と三味線の融合という壮大なスケールで開催された。

その冒頭、
「日本や世界を取り巻く厳しい情勢。しかし、静かに目を閉じればそこに、一筋の閃光が差し込んでくる。今こそ、日本へ、そして世界へ向けて届けよう。三味線の響きを映像と共に、平和への祈りを。私たちの魂の光、光芒__。」
島村仁さんのナレーションと浮かび上がってきた「光芒」の文字がシンクロし、
会場からどよめきと共感の拍手が起こった。
間髪入れずに、オリジナル曲『桃花鳥-toki-』の演奏に入る。
映像には朱鷺をイメージした羽が舞い、続く『宇宙の花』では、壮大な宇宙空間に包まれた。
映像と共に、オリジナル曲4曲が演奏され、第1部は25分という短時間で幕を閉じた。
MCトークを入れなかったのは、映画のようなストーリー性と、異空間体験をしてもらいたかったからである。

第2部では、新潟高橋竹山会40人の大合奏で『津軽じょんから節』を披露。
その後、島村仁さんとのトークショーでは、伝統音楽のデジタル活用、
新時代のエンタメが向かう方向などについてトークが交わされた。
今回のコンサートが、そのスタートとなる挑戦となったことを伝えられたと思っている。

そして、今回のコンサートの目玉である新曲『光芒-koubou-』を初披露した。
この曲は、世の中の情勢の中で、陰と陽という事象に着目し、
「厳しく苦しい人生の中でも、今をしっかり生きることで、やがていつかは一筋の閃光(希望)が差し込んでくる」
という強いメッセージを表現している。
三味線、ヴァイオリン、ピアノ、ドラムの音が、重なり合い、一つのフレーズへと導かれ、一筋の希望の閃光となった。

最後の演奏曲『神風』で客席は総立ちとなり、会場のボルテージは最高潮となった。
映像と三味線のコラボレーションコンサートは、大盛況のうちに幕を閉じた。

アンコールの拍手が鳴り止まない中、私は、再びステージへ向かった。
選曲したのは、約1年ぶりに演奏する「即興曲」だ。
心技体が一致しなければ演奏できない超難曲である。
映像も、サポート楽器もなく、あるのは三味線一丁と我が身だけである。
ピンスポットの下に静かに座り、気力だけを振り絞って、即興演奏に挑んだ。
最後の音が鳴り終えた後、私に聴こえてきたのは、大歓声と拍手喝采であった。
自分自身と会場全体が同化して、まるで宇宙空間にインスパイアされていくようだった。

人は、誰もが苦しみや悩みを抱えながら生きている。
そんな人生の隙間に今日のライブが入り込んで、観客一人一人にそれぞれの光芒が見えたのなら、
演奏家としてこれ以上の喜びはない。

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