カレー屋のカウンター

赤と白のチェック柄の床のカレー屋のカウンターの一番奥の席で、3色のフランス国旗のようなカレーを文庫本を片手に食べていた。

あとから水色のTシャツと黒い古着のTシャツを着た2人が入ってきた。テーブル席は満席だった。
「こっち寄りましょうか?」
と、僕から席一つ分空けたカウンターに座っていた女性が言った。

彼女が一つ分詰めたおかげで、あとからきた2人はカウンター席に横並びで座ることができる。

そういう些細な瞬間が好きだ。
この間も行きつけの居酒屋のカウンターに座ろうとした時に、

「あらぁ、お兄さんたち、お母さんって呼んでいいわよ。」

と、隣の席の女性に声をかけられた。僕らくらいの歳の息子がいるらしい。
さんざん喋って、最後にはおかあさんたちの食べきれなかったおばんざい(ほとんど全部残っていた)をもらった。

コンビニの店員さんは、アイスを買おうとしてレジにおいた僕に、

「はい!どうしました?」
と唐突にいった。後ろの方で話していた男のひとの声を僕が何か言ったと勘違いしたらしい。

急に言われてびっくりした僕と、間違えて声を出した店員さんは二人で笑っていた。

そんなちょっとした間違いが面白いなぁと思う。バーコードを自分で読み取る完全にシステム化されたビデオ店では、間違いは起こらない。(違う意味で2回バーコードを読み込んでしまったりする間違いは多いけど。)

いろいろ間違えたっていいじゃない。

Shingo Kuronoimage

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