浴衣は家で洗える!
そもそも水に強い素材。お家で洗えます
近年、「洗える浴衣」という謳い文句で量販店の浴衣が話題になりました。このワードが話題になるだけあって浴衣のお手入れはクリーニング店に一任しているという方も、少なくないのではないでしょうか。
しかし実は、浴衣は基本的に、ご家庭で洗えるのです。というのも、浴衣は古く中世の頃の浴室着にルーツを持つため、水に強い素材で作られています。だから水に弱く繊細な絹などとは違い、ご家庭でお手入れしやすいのです。
理想は手洗い、洗濯機でもOK
具体的なお手入れ方法を解説していきます。
①脱いだらハンガーにかけて汗を乾かす
これはどんな着物にも共通していること。脱いだ直後は汗などを吸っているので、すぐに畳むとシミの原因になります。3時間~一晩ハンガーにかけて、水分を乾かします。
②洗濯表示があれば確認を
洗濯表示が付いていれば、水洗いマークがついていることを確認。水温も合わせてチェックしましょう。
手縫いのものや昔の浴衣にはついていない場合もあります。
③色落ちしないか確認
濃い色の生地は色落ちが心配。白い布に洗濯洗剤を付けて、下前など目立たないところ軽くこすってみましょう。布に浴衣の色が移ったら要注意。ご自宅での洗濯は一旦ストップして、クリーニング店や悉皆屋さんに相談するのがベター。
④いざ、洗ってみましょう
手洗いの場合
洗面器などにぬるま湯(または洗濯表示に合わせた温度の水)を張り、おしゃれ着用洗剤を入れてよく混ぜます。粉洗剤は溶けにくい場合があるので液体洗剤がおすすめです。
そこへ畳んだ状態の浴衣を入れてゆっくりと押し洗い。強くこすらず、繊維の奥まで水を行き渡らせるイメージで。
水を捨て、3~4回すすぎます。すすぐときも畳んだままで押し洗い。
最後に洗濯ネットに入れて洗濯機で軽く脱水します。選択できる場合は一番弱いモードで、時間も1分程度で十分です。
洗濯機の場合
畳んだ状態の浴衣をネットに入れ、ドライコースで洗います。洗剤は手洗いの場合と同じくおしゃれ着用の液体洗剤を。脱水の回数や時間を選べるのであれば、一番弱いモードで1分程度を1回のみ回します。
⑤広げて陰干しします
干すときは色焼け防止のため必ず陰干しで。両袖がピンとなるように広げて干します。和装ハンガーがあると安心。和装ハンガーがない場合は物干し竿にそのまま干したり、つっぱり棒などを活用してもいいと思います。
脱水を短くしているので、きちんと広げて干せば自重でシワが伸びてアイロンがとても楽になりますよ!
⑥アイロンは見える部分だけスチームで
アイロンを当てる際はシャツなどと同じようにスチームの中温~高温で大丈夫。右の前半身は胸と袖以外見えませんので当てなくてもOK。
特に目立つのは衿、裾、袖の袂なのでここは丁寧に。衿と胸の間の縫い目周辺もシワが残りやすいので慎重に当ててください。
とはいえ、私自身は干す前に丁寧めに叩いてシワを伸ばしておいて、乾いてからは袖と裾に整える程度にアイロンを当てるくらいです。
⑦しまうときは畳んでシワにならないように
せっかく綺麗にアイロンを当てても畳み皺がついてしまってはもったいない。袖や衿先が折れてしまったり裾がめくれたりしないように気を付けて、畳んだ状態で保管しましょう。
☆浴衣の洗い方・お手入れのポイント
・部分洗いした方がいいとき
ファンデーションや口紅などの化粧品や食品が付いてしまったときは、市販の染み抜き剤で予め部分洗いしておきましょう。化粧品にはクレンジングオイル、油汚れにはハンドソープも効果的です。
・衿が皮脂汚れで白く(茶色く)なっちゃった!
皮脂汚れにはハンドソープや食器用洗剤、ウタマロといった油汚れに強い洗剤がおすすめですが、着る前に気付いたときなどは応急処置として水を含ませたウレタンスポンジでこするとかなり綺麗になります。丸洗いできないときにはぜひお試しを。
・泥が付いてしまったとき
裾などの泥はねは、濡れているうちに触ると繊維の奥に入り込んでしまうので、乾くまで待ちます。軽く揉むか、歯ブラシなどで優しくこすればパラパラと落ちます。
実は抹茶も同じ。水分のある汚れは下手に触らないのが吉です。
・シボがある浴衣ならアイロンは控えて
縮(ちぢみ)など、シボと呼ばれる生地表面の凹凸がある素材はそのシボによってサラッとした肌触りを生み涼しさを保っています。アイロンを当ててしまうとせっかくのシボが台無し。しかも一度伸びてしまうと元に戻りません。
アイロンは当てず、畳み皺などが気になるときにはその部分にだけ霧吹きをして吊っておくと目立たなくなります。
たくさん書きましたが案外、洋服のおしゃれ着と大差ありません。普段の洋服よりは手間がかかるかも知れませんが、手間をかけるほど愛着も湧くというもの。面倒くさがらずにかわいがってお世話してあげてくださいね。