私の好きなドラマのひとつ「深夜食堂」。
こんな食堂があったらなーっていつも思う。
何が好きって、メニューは豚汁のみであとはお客さんの思い出に合わせて美味しい料理を作ってだしてくれる。
その料理が「たまごかけごはん」だったり「バターご飯」だったりと特別じゃないんだけど、誰かにとっての特別な料理がたんさんでてくるのがどうにも好きでたまらない。
ふと、私の思い出の味ってなんだろうなーっと。
そんなことを考えながらパン屋さんに入りズラッと並んだパンを眺めてピンときた。
そう、
私にとっての思い出の味は
「あんバタ」
なのである。
あんバタってどこか昭和っぽさがあり、
「おいしい!」って言われる代名詞でもない。笑
だけど、十年以上前に地元川越に伝説的なあんバタのお店があり、
そのあんバタを食べるのが小さな贅沢でした。
このお店、少し変わっていて、パン屋なのに営業は深夜のみ。
夜オープンすると遠方からきた人たちで一気に行列に。
寒い冬の日も関係なくながーい列ができていました。
私が通っていた塾のすぐ近くだったため、塾の帰りに立ち寄って購入。
行列ができるほど人気なのに、マスターは無愛想でお客の目をみないし、お店も決して綺麗とは言えない状況に。
マスターはただただずっと1人でパンにあんことバターを塗り続けているだけ。
その光景が幼いながらとても異様で、不思議でした。
そのあんバタを口に含むと、少し弾力のある固めのパン生地の間に絶妙な量のあんこと塩っ気のあるバター(マーガリン)が塗られており、一口でおいしいと感動するものではなく、半分くらいまで食べ進めてやっと「なんだか、とっても美味しい気がする!」となるそんなコッペパン。
あのパンは美味しく焼いちゃいけないし、バターも安いものじゃなくちゃいけない。笑
同じあんこを使って別のお店が営業をしていたときもあったけど、それでもやっぱり岩田屋さんのあんバタには勝てない。
あの絶妙なバランスが最高に美味しい
そこそこ美味しいものがうまーく手を取り合ってくれた結果「やめられない美味しさ!」に行き着けた、そんな奇跡のあんバタ。
今でも地元では「岩田屋のあんバタに勝るあんバタはないよね~」と言われるほど。
岩田屋周辺のパン屋さんは今でもあの味を目指してあんバタを作っているのですが、まだまだ。笑
だから今でも私は地元じゃなくてもパン屋さんであんバタを見つけるとついつい手が伸びてしまいます。
明日は理想のあんバタに出会えるかしら。