Koichi Sugimoto

■通信キャリアにて、ネットワーク・システム・クラウドサービス等大企業向けの法人営業を担当ののち、2014年7月、LINE株式会社へ転職。 ■LINE社にて新規事業サービスLINEビジネスコネクトの導入推進を所管。ヤマト運輸との提携やキリン次世代自販機(Tappiness)のプロジェクト企画推進し実現する。 ■現在はメルカリにて事業アライアンスに取り組む。

無冠の帝王が復権する時代【営業×お酒(第7回)】

こんにちは。ザ法人営業の杉本です。いかがお過ごしでしょうか。

こちらのメディアを運営されている菊水酒造さん、月に一回、お酒を送っていただけるので大変嬉しいです。営業をしていると、お酒を飲む機会は大抵が接待や会食でして、逆に家ではあまり飲まなかったのですが、菊水酒造さんに送っていただくようになってから家で飲む楽しみも覚えてきました。まあ実際は、一緒に住んでる父親が知らぬ間に全部のんでしまうことも多いのですが…(笑)

さて、今回は菊水酒造さんから「無冠帝」を送っていただきました。ほう、なかなか珍しい名前だなぁというのが第一印象でした。「無冠の帝王」を由来としている名前とおり、華々しさというより、日常的で飲みやすい爽やかな口当たりのお酒です。(とても美味しくてグビグビ飲んでしまう・・・)

最近は「無冠の帝王」という言葉はあまり使われる言葉ではなくなりましたが、何のタイトルも持っていないが、その実力は一級であることを誰しもが認めている人のことですよね。一方で、どうしても最後の最後でタイトルに手が届かない、不器用なのか不遇なのか、少し残念な人を惜しんでこのように使われる気がします。

日常生活での「無冠の帝王」の評価

ところで、ビジネスの世界では「無冠の帝王」ってどう捉えられるのでしょうか?

ビジネスの世界ではタイトルは、簡単に言うと肩書きや役職に相当すると思うのですが、そうすると「実力はあるけれども肩書きはもってない人」ですかね。

正直なところ、ビジネスでタイトルを無視する人はいないでしょう。一般的に年収も役職に応じて決まることが多いわけで、自分にタイトルがつくかどうか、要するに出世して肩書を得られるかどうかは生活水準に直結するのですごく大事でしょう。だから実力があっても「無冠」であることに喜ぶ人はいないですし、むしろやや残念な人と思われてるかもしれませんね。

でも、この時代はずっと続くんでしょうか?

令和で生まれた「無冠の帝王」

私は最近は変わりつつあると思います。昔は「無冠の帝王」と呼ばれる人は野球で多くて、清原選手や池山選手だったと思いますが、いまもし「無冠の帝王」と呼ばれる人がいたら、江頭2:50さんではないでしょうか。(江頭2:50さんのYou Tube
 江頭2:50さんは結構なベテランではいらっしゃいますが、特にグランプリで賞をとっているわけでもなく、テレビでも冠番組をもってMCをされているわけでもなく、それどころか滅多にテレビにでることもありませんでした。(というよりも芸風がテレビでは放送できないタイプの芸人さんでした)

しかし、YouTubeを始めたらどうでしょうか? この記事を執筆している2020年8月時点で登録者数は215万人。お笑い芸人の中では文句なしにトップです。

テレビの世界では認められにくかったものの数十年前から一貫した芸風、東日本大震災のときにはトラックを借りて支援物資を届ける熱くて優しい人柄。傍流ではあったが彼を応援したかった人たちが一斉にYou Tubeのチャンネル登録というファンとしての意思表明がこのように現れたのだと思います。

名実ともに「帝王」とはこのことでしょう。

熱狂的なファンがいる人が評価される時代

もちろん皆さんは江頭2:50さんと自分とは全く違うと仰るかもしれません。

ただ、インターネット・SNS・動画は、誰もが公平に知られ評価される機会を提供した。ここは間違いありません。従来は、自分が所属している企業・団体からの評価、つまりタイトルがその人の評価を決めていたのに、そこに頼らずとも評価を可視化することができるようになったのです。

むしろどこかの権威者に与えられた「冠」よりも、そのような「冠」を与えられなくても我道を突き進む生き方そのものが、共感を呼びファンをつくる社会になりつつあるのです。江頭2:50さんの快進撃はその象徴的な出来事でした。

権威から与えられるタイトルを安易に求めるよりも、多少不器用でも我が道を征くことでファンをつくる生き方も素敵だと思う。そんなことを考えさせてくれた「無冠帝」に感謝です。