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ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

男女の違いを理解してビジネスに活かそう

こんにちは、ケルトの笛のhataoです。

夏に帰省した際に、親孝行をしようと家族を温泉旅行に連れていきました。

私が運転する車に弟と父と母を乗せて温泉旅館に向かう途中、家族の話題を作るために、私のスマホを後部座席に預けてAmazon Musicで順番にそれぞれが好きな音楽をかけよう、と提案しました。

私は歌謡曲を聴かないので、それぞれの世代の懐かしい音楽を聴くことができ楽しい時間となりました。そのとき、あることに気がついたのです。それぞれが自分と同じの性別のボーカリストを選んでいたことです。

私は男なので、男性の声より女性の声のほうが耳に心地よく、男性ボーカルの曲になったら飛ばしてしまいます。しかし家族の様子を見ると、私は珍しいほうなのかもしれません。同性の歌手を選ぶ理由は、同性の歌手のほうが歌詞に感情移入しやすかったり、カラオケで歌う際にキーが合うので歌いやすいからなのでしょう。

男女の性とは改めて面白いものだなと思い、それがビジネスにどんな影響を与えるのだろう? と考えるきっかけになりました。

男社会と女社会はこんなに違う

私の家族は男兄弟3人で、家族で母だけが唯一の女性です。私は男に囲まれて育ったので、子供の頃は女性を自分とはまるで違う珍しい生き物のように感じたものです。そんな女性とほとんど縁がない環境で育った私は、元々の話下手で人前で緊張してしまう性格とあいまって女性を前にするとますますぎこちなくなってしまうのでした。

しかし大学卒業後に音楽家の道に進むと、共演者、生徒さん、コンサートのお客さまの多くは女性でした。その環境に身を置いて嫌われないように適応していったのでしょう、今では男性といるよりも、女性といるほうが気が楽だと思うようにまでなりました。

例えば男性といると共通の仕事や趣味がなければ話すきっかけがつかめませんが、女性であれば旅行やグルメなど何かしらの話題を見つけることができます。

ここで、しばしば語られる男性と女性との違いを挙げてみましょう。

女性は同性の友達と食事に出かけたり、目的もなく女性同士で買い物にでかけたりして楽しむことができます。

一方で男性は酒の席か仕事の打ち合わせでもなければ、男性同士で会う機会はめったにありません。私自身は男友達が極端に少ないので誘うことも誘われることもありませんが、カフェやデパートで複数の中年男性が目的もなく楽しんでいる状況を想像すると、ちょっと異様に映るかもしれません。

女性が好きなものと言えば、恋愛、旅行、買い物、ファッション、グルメ、美容、カフェ、美術館、小説、音楽や演劇が思い浮かびます。
一方で男性が好きなものといえば、スポーツや格闘技、車やバイクなど乗り物、機械や時計、セクシュアルなもの、酒とタバコ、ギャンブル、ビジネスといったものが思い浮かびます。

女性は共感性に優れ、横のつながりを重視し、デザイン性や色彩感のあるものを好み、言語能力が優れていると言われます。一方で男性は問題解決能力や決断力に優れ、縦のつながりを重視し、合理的で機能的なものを好み、空間識別能力や論理的思考能力に優れていると言われます。

以上はそういう傾向があるらしいという一般論ですので、当てはまらないケースも当然ありますが、個人的には一定の説得力があると考えています。

自分の中の男性性と女性性を考える

生物学的な性別とは異なり、一人の人間の中には男性性と女性性があるそうです。つまり上記の特徴が完全に生物学的な性と一致しているのではなく、人によってある部分は男性的な、また別のある部分は女性的な特徴を備えているというのが自然な姿です。

例えば旅行や食べ歩きが好きだけれど恋愛においては積極的でさばさばしている女性とか、美容と健康が好きで趣味は美術館めぐりという男性だっているでしょう。

私自身の経験を思い出すと、高校生の頃から男性グループでは趣味や話題が合わず、居心地の悪い思いをしばしば感じていました。男の話題としては、野球やサッカーなどのスポーツやお笑いがあり、社会人になると車やギャンブルやセクシュアルな話題も入ってきますが、私にはまったく興味がないのです。

私は、音楽はもちろん旅行やグルメや言語学習や健康に関することが大好きで、酒は昔は好きだったものの今はやめてしまいましたし、車やスポーツ、タバコ、ギャンブル等には興味がありません。ですから男性との話題が見つからず、男性との会話には少し苦手意識があります。また男性の大きな声や粗暴な行動が苦手です。

以上のことから私は生物学的な性は男性で恋愛対象は女性ですが、感性的には女性に近いのだと自認しています。

このように男性性と女性性とがあることを踏まえて、自分の提供するサービスや商品が性別の違いを越えて多くの方に受け入れていただくには、どちらかの性に極端に偏らずに自分の中の男性性と女性性の両方の声に耳を傾けながら設計することが大事だと考えています。

女性目線を意識したアプローチを

こういった男女の違いは消費行動にも現れます。

マーケティングではお客様のペルソナ(仮想の人格)を想定することが大切だとされていますが、前提として自分のお客様は男性向けなのか女性向けなのかを明確に考えることが必要です。

当店は扱う商品が楽器ですから、性別関係なく愛好家がいらっしゃいます。しかしペルソナを想定する際には女性の目線を大事にしています。

女性は一般的に心配性で用心深く、安定志向でリスクを取りたがらないと言われています。そのため女性目線で安心してお買い物ができる丁寧な接客態度や確かな商品説明を心がけ、保証やアフターサービスにも配慮しています。また女性は不潔なものを嫌いますから、店舗では常に整理整頓、清潔を徹底しています。

また、女性は色彩感が豊かですから、商品のカラーバリエーションや質感も女性が好むものをはずさないようにしたいと考えています。女性の目線を意識した努力は、当然男性にとってもプラスの評価をいただけるはずです。

当店のスタッフは全員が男性です。しかしホームページや店舗デザインに男らしさを前面に出してしまうと、女性のお客様が買い物をしづらい雰囲気を作ってしまいます。ホームページやチラシのデザインは周りの女性の声をよく聴き、独りよがりにならないように気をつけています。

以上のように、ビジネスにおいては性別の差を理解し、想定しているお客様の性別にとって合理的なアプローチをすることが必要であると考えています。