hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

音楽家がレッスンでビジネスを構築する方法

台湾に語学留学しています

こんにちは! ケルトの笛のhataoです。1ヶ月の中国語留学で、台北に来ています。

4週間、午前中のみ大学で授業を受ける他に、個人レッスンで発音矯正を受けています。毎日充実した学生生活を送っています。

ケルト音楽と中国語はまったく関係はないのですが、10年くらい前に初めて台湾を訪れて台湾が好きになり、台湾人と中国語でコミュニケーションが取りたいと思い中国語を始めました。

やがて北京や台湾で笛のレッスンやコンサートをするようになり、中国語学習が役に立ちました。これは機会が向こうから訪れたのではなく、中国語学習を通じて台湾や中国、そして華人に親しみを覚えるようになったから交友関係が広がり、行動ができるようになったのです。

ここ数年は中国から楽器を輸入して日本で販売したり、台湾のオカリナの輸入業務をしたり、中国天津で当店のオリジナル楽器を注文生産したりと、本格的に中国語を仕事に活かすようになりました。中国語での笛の教材も2冊出版しています。

自分にとっての幸福とは?

いま受講している中国語クラスは中上級で、このレベルになると日本の中学高校の国語の授業とよく似ています。新しい単語や慣用句を覚えたり、文章を読んでクラスメートと討論して自分の考えを書いたり話したりします。

その中で幸福とは? という抽象的なテーマを与えられました。クラスメートは「美味しいものを食べている時」や「友達と韓流スターを見ている時」と発言して笑いを誘っていました。自分にとっての幸福は「自由であること。好きな時に、好きな人と好きなことをする自由。金銭や空間や人間関係から自由であること」です。

考えてみると、会社員や組織人としてまったく不適格な自分は、自由に生きることを追求してきました。こうして41歳になっても1ヶ月海外留学をしたり、留学先でも輸出入の仕事や日本の店舗の経営、本を執筆したり音楽を教えたりで収入を得続けられている。それは若い頃に願っていた自由の形です。

幸せは人それぞれですから、この歳になっても結婚せず子供もいないのを惨めだと言う人もいるかもしれませんが、自由になりたいのであれば、人の言うことを気にしないことです。そもそも人の意見を気にしていては、こうしてブログやSNSなんてできませんからね。

これから起業を考えている人は、「自分にとっての幸せは? 理想の働き方は?」としっかり自問自答すると、願っていた道に進めるのではないでしょうか。

レッスンでビジネスを構築する方法

レッスンのシリーズ3つ目のテーマは、レッスンをもとにビジネスを構築することについてお話します。

これまでの記事で、音楽家がレッスンをする方法、メリットについてお伝えしました。レッスンをする動機は色々とあるでしょう。

自分の好きな音楽を広めたい、自分の音楽への思いを伝えたい、技術や伝統を継承したい、あるいは頼まれて仕方なく、そして単純に生活費のためかもしれない。どれもその人にとっては大事で、まっとうな理由です。しかしこの連載は音楽家の起業がテーマですから、レッスンとビジネスをどう結びつけるかについてお話していきます。

先ほど自分の大事な価値が「自由」であるとお話しました。レッスン、とくに教室に雇われる形態ではない自主的なレッスンは、場所、時間が自由で、素晴らしいと思っています。

例えば旅行するのであればツイッターで「いついつ旅行しますが、レッスンを受けたい人はいますか?」と投稿して集客する。事前に生徒に同意を得る必要がありますが、旅先ではカラオケボックスを教室として利用することができます。稼ぎたくてハードに仕事をしたければ一日中レッスンをしてもいいし、休みたければ生徒に伝えてしばらく休むこともできます。

このようにレッスンは自由度が高い働き方ですが、ビジネス面から見ると音楽教師は収入面では自由であるとは言えません。

怪我や病気などの理由でレッスンができなくなると、とたんに収入が途絶えてしまいます。それに、様々な事情で一時的に生徒が減少することもあります。そのため、ビジネスとして見ると強度が十分ではないと感じます。では、ビジネスとしての強度を高める方法を考えてみましょう。

(1)コミュニティを構築する

個人レッスンは先生(自分)と生徒の1対1の関係性です。生徒が50人いたとしても、それは同じことです。生徒にはそれぞれの生活、人生がありますから、どんなに先生が熱心で誠実でも、生徒はいつか辞めていきます。生徒が辞めにくいように受講料の一定期間分の前払い制や違約金などあれこれと規則で縛っている教室もあるでしょうが、これは良くありません。

生徒のモチベーションが高く、必要であるときに手を差し伸べる先生が理想であり、生徒のモチベーションが保てないと、いくら先生が熱心でも学習効果は期待できません。

一方で音楽や社会的な活動なので、一人ではなかなか続けることができません。生徒どうしがつながるコミュニティを構築できれば、生徒のモチベーションは上がり、退会も減らせるはずです。具体的には交流会や発表会、自主的な練習会や生徒の自主的な演奏会を応援することがあります。

他にも生徒のライングループを作って情報交換を促すとか、生徒向けのメールマガジンを発行するとか、教室のオリジナルグッズや記念CDを作るなど、たくさんアイデアが浮かびます。

朗らかでコミニュケーションを取るのが得意な先生、熱心で世話好きな先生は生徒から信頼されますし、すぐに団結力のある生徒の輪が出来上がることでしょう。

僕は他の音楽教師と合同で毎年交流会を企画していて、たくさんの生徒やファンの方が参加してくださいます。

(2)ファンになってもらう

生徒さんに自分のファンになってもらいましょう。音楽教師であっても現役音楽家としてステージに立ち続けることは、教室運営にとっても大きな意義があります。

ひとつは音楽家としての自分を好きになってくれたお客さんが教室に来ること。自分の音楽が好きな人なのですから、モチベーションが高く、信頼関係が構築しやすいでしょう。もう一つは逆の流れで、教室に来た生徒さんをコンサートに呼び込むこと。普段教室で習っていることが実際の舞台でどのように生きてくるのかを見ることができますし、先生の音楽家としての魅力を発見することにもなります。

演奏者であることは、教師としての自分にとって動く看板・広告塔としてもうひとりの自分がいるようなものです。もっとも信頼できるパートナーですね。この相互の生徒の行き来を作ることで、教室運営はさらにたくましいものになります。

アーティスト性があって、ステージで人を引きつけるタイプの音楽家に向いている方法です。

次回も続きます

今回は教室運営を強固にするアイデアについて、お話をしました。このお話は次回にも続きます。

僕は旅が好きなので、移動式の楽器販売車兼音楽教室として、キャンピングカーを発注しました。これに乗って全国各地を回って新しい生徒に出会いたいと思っています。来年に完成するので、楽しみです!