史佳

新潟出身の三味線プレイヤー。9歳より津軽三味線の師匠であり母でもある高橋竹育より三味線を習い始め 2000年よりプロ活動をスタート。新潟を拠点に国内外で演奏活動を行ってきた。古典を大切なベースとしながらも、伝統芸能の枠を超えた新しいニッポンの音楽を目指し、現在、ニューヨークを拠点に移し三味線芸術の新しい境地を開拓している。 YouTube公式チャンネル :https://www.youtube.com/channel/UCDcEsCsEsKHs6Oyv-i83Nfw

ジャズベースの神様 降臨

_ついにこの日がやってきた。

8月14日りゅーとぴあコンサートホールに、ジャズベースの神様、ロン・カーター氏降臨する。

そして、三味線とベースの奇跡のコラボレーションが実現した。客席は圧巻のスタンディングオベーションとなり、夢のような時間は、風のように過ぎていった。今回は、そのコンサートの裏話を少しご紹介しようと思う。

 

_前日の8月13日(土)、関東地方に台風接近中との情報。
フライトの着陸時間とほぼ一致する。成田到着予定が、他の空港に着陸変更となれば、翌日のコンサート開催は危ぶまれる。心臓に悪い。

成田空港のフライト情報の電光掲示板に目をやると、30分遅れとの情報。ひたすら、成田到着を待つ。無事、arrivedとの掲示をみた瞬間、ホッとした。あとは、到着ロビーにて、ずっと会っていなかった恋人を待つような心境で、ロンさん一行をお待ちした。

到着から約1時間後、黄色いキャップをかぶったロンさんが、ギターのラッセル・マローンさん、ピアノのドナルド・ベガさんとともに出口から出てこられた。

Good see you again!!
と硬い握手を交わした。

神様が無事に日本に到着されたことで、もうコンサートの半分は成功したと言っていいだろう。なぜなら、コロナ禍、台風直撃、他にも様々な困難をギリギリのところで乗り越えてきたのだから。成田から新潟まで、まだ長い移動が残っているが、ロンさんを無事に新潟のホテルに到着するまで、細心の注意を払って、交通移動をした。

新潟のホテルに夜10時頃到着して、チェックインを済ませ、Have a good nightと一息つくことができた。
私もその後、自宅に戻ったが、朝までほとんど眠れなかった(笑)。

本番当日は、午前5時に起床して、午前8時にりゅーとぴあ入り。
早朝より、新潟照明技研の皆さんが、素晴らしい舞台セットの仕込みをしていた。

まずは、第一部史佳コーナーのリハーサルが順調に進む。

その後、いよいよロンさん御一行がりゅーとぴあに到着。楽屋口では新潟高橋竹山会の皆様が、盛大は拍手で歓迎した。ロンさんも、このサプライズにはびっくりして、黄色いキャップを脱いで、深々とお辞儀をしたのであった。とてもチャーミングな一面を持っている。

さて、早速ステージをみてみたいということで、楽屋より先にステージにご案内した。
Wao!!素晴らしいステージだとおっしゃってくれた。

ゴールデンストライカートリオのリハーサルが始まった。ベースをもった瞬間、それまで力を温存していたかのように、圧倒的オーラーを放った。御年85歳にして超人である。客席からリハーサルを聞くことができ、私もしばしリラックスした。

目の前で繰り広げられている光景は、本当に夢のような時間であった。
コンサート本番は、冒頭でご紹介したように、最高の興奮に包まれた。

_コンサート終了後は、新潟市内の日本料理で、打ち上げ会を開催した。
乾杯酒は、菊水酒造の「蔵光」、ロンさんはもちろん、ラッセルさんとドナルドさんも、その深い味わいに感動されていた。ラッセルさんが、このお酒をアメリカに買って帰りたいが、どうしたらよいか?と質問されたので、菊水酒造の高澤社長が、お土産にプレゼントしマス!!とおっしゃってくれた。
皆さん、大喜びで、その後のお酒も大いに進んだ。

このコロナ禍の2年半、菊水酒造の皆様のご支援があって、この素晴らしいコンサートが開催できた。
心より感謝を申し上げたい。
そして、一つの夢は叶ったが、新しいフェーズに突入の予感・・・。

ただ、もう少しだけ、この夢のような余韻に浸ろうと思う。