パエリアというと、海老やイカ、貝類などの海の幸をふんだんに使った色鮮やかな料理を思い浮かべることが多いかと思います。
しかしその発祥は、稲作の傍らで肉や豆などを具にして作られたものだそう。色味が全体に茶色い、家庭料理感強めのビジュアルです。
そのことを知ったテレビ番組でアップに映し出されたそれは、記憶にあるパエリアとまったく違って地味で、でもものすごく滋味深そうで「おいしそう…」と強く惹かれたことを覚えています。
それから「魚介を使う」という条件から自由になり、手羽やきのこ、味噌など、思いつくままの具や味付けでパエリアを作るようになりました。
今回は、前回、苦労の末に下ごしらえを習得した栗を、きのこやチキンと一緒に山のパエリアにしていただきます。
■栗ときのこ、チキンの山パエリア
・材料(2人分)
玉ねぎ 1/4個(40g)
冷凍生栗 8粒
鶏もも肉 1/2枚(140g)
きのこ数種 計130g
*他の料理でもそうですが、きのこは数種類を合わせて使うと旨みが深くなります。
今回はしめじ・まいたけ・ブラウンマッシュルームを使用。
生米 1合(150g)
水 150g
オリーブオイル 適量
塩 適量
レモン 1/8個
◀Let’s cook!
①玉ねぎはみじん切り、きのこは切ったり裂いたりして適当な大きさにする。鶏もも肉はひと口大に切る。
フライパンや鍋にオイルをひき、玉ねぎときのこ、鶏もも肉を入れて、塩少々で炒める。
②玉ねぎが透き通ってきたら、洗っていない生米を入れて混ぜる。
米にオイルがまわったら、平らにならして水を加える。
沸騰したら冷凍のままの栗と塩少々を散らして弱火にし、蓋をする。15分~18分炊く。
(味見をして、お米の芯がなくなればOK)
③火を止めて15分蒸らしたら、レモンを添えてできあがり。
ごろごろ栗が、ほっくりぜいたくな秋ごはんになりました。
チキンときのこの出汁がしっかり味の下支えをする、栗ごはんを思わせるようなパエリアです。
見事に茶色いパエリアになったけど、この黄色から茶色のグラデーションが冬に向かって枯れゆく山の景色みたいでいいな。
「思い込み」から自由になると…
実は私、炊飯器を持っておらず、深いフライパンでまとめて炊いて冷凍しています。
「買わなくちゃ」と思いながら、急場しのぎのつもりだったのですが、思いのほか不便とストレスを感じないため続いている習慣です。
炊飯専用の道具を使わなくなったこと、またリゾットを生米から作ったり、インド米の湯取り法(茹でて火を通す)という炊き方を知ったことで、「お米を炊くこと」へのハードルがかなり低くなりました。
以前、トースターの調子が悪くなった時にも「フライパンで焼けばいいのでは?」とやってみて、むしろいつもよりおいしく感じたことを思い出すな。
今回テーマにしたパエリアに対しても「魚介を使う」という思い込みが解かれたことで、自由さを手に入れました。
「それが当然」と思っている常識や思い込みって無意識にあるもので気づきにくいけど、「思い込みがあるかも」と意識して、気づいたことをちょっと変えてみると、日常の景色が広がることもあっておもしろいなと思います。
それが新たな「思い込み」になっていったりもするんだけどね。
人間生活、むつかしい。