山笑海笑

神奈川県西部在住。丹沢や大磯丘陵を歩いて、風景を楽しみ動植物を愛でるのが好きです。週末は郊外に出て山野を歩き回っています。令和5年は転勤で名古屋周辺を楽しんでおりましたが、1年で帰ってまいりました( ̄О ̄)ゞ

アマダイ釣って海笑

空が晴れたら野山を訪ね、雨が降ったら潮のにおいをかぎ、いつもヘラヘラ笑っている。そんなおじさんに私はなりたい…(もうなっています)山で笑ってばかりいるので、たまには海笑いネタです。

10月上旬の週末、お天気がイマイチでしたので、1年以上ブランクになっていた釣りに行くことにしました。かく申すこの海笑、かつては職場の船釣り同好会の幹事を務めたこともありましたが、コロナ禍と会員の高齢化で同好会が有名無実となってしまったので、これからは自分の好きな時にのんびり一人で糸を垂れたいと思っています。(ワルクオモウナヨ( ̄ー ̄)ニヤリ)

平塚の船宿庄治郎丸は、ワタクシの定船宿です。秋は青物と呼ばれるイナダなどの回遊魚が釣れるため、以前であれば迷わず五目釣り(色々な魚がつれる)を選択していたのですが、リカバリー釣行としてはやや忙しいので、釣果にこだわらないアマダイ釣りを選択しました。

「アマダイ」といふ魚

アマダイとは、体長40㎝程度に成長する魚で、マダイ等とは別種でやや体型が長く、体色は美しい桃色で細かな鱗に覆われています。特徴的なのが長い体型とはアンバランスなのっぺりと大きな頭部で、水深50m~100mの海域の水底に生息していて、普段は頭を上に向け砂泥に潜り、餌となる甲殻類や小魚を待ち伏せています。

漢表記は「甘鯛」となりますが、身がやわらかく甘みがあることに由来するとも、元来、特徴的な頭部が尼さんの姿に似ていることに由来して「尼鯛」と呼ばれていたものが、変化したともいわれています。

アマダイは大別すると白、赤、黄と体色により3種に分かれますが、シロアマダイは個体数も少なく幻の魚ともいわれ、キアマダイはやや深場に生息するので、一般的に相模湾のアマダイ釣りのターゲットはアカアマダイとなります。

アマダイ釣りとは

アマダイ釣りは、海釣りの中でもいたってシンプルな釣り方といえるでしょう。タックル(道具)は、繊細な辺りを取りやすい先調子の竿に両軸リール(ジジイは手抜きの電動)、片天秤に60号のおもり(船宿によって違います)、仕掛けは2m程度の長さで2本ばりです。餌はコマセ(撒き餌)を使用せず、針にオキアミをつけるものです。

釣り方は、仕掛けを水底まで落とし、着底後、仕掛けの長さ分底を切って、竿を上下させて誘いをかけます。イメージとして、水底すれすれを餌のオキアミがゆ~らゆ~らと漂う感じです。どうですか?貴方がアマダイだったら目の前の餌に飛びつきたくなるでしょ?

アジやサバ釣りの様に群れている魚をコマセ(撒き餌)で集める釣りではないので、タナ(魚がいる層)の取り方、誘いのコツなどテクニカルな面を有する一方で、目の前に来た獲物に飛びつくアマダイの習性上、運というか博打的な面も強い釣りといえるでしょう。釣り会幹事の経験上でも、置き竿で60㎝超のシロアマダイを釣ったビギナーがいたことを記憶しています。

アマダイ釣行記

さてさて、この日は朝のうちは東の空にぼんやりとした日輪を確認できたものの、次第に曇天たれこめ、釣行の楽しみの一つになっていた富士山や丹沢・大山の山並みも雲隠れしてしまいました。

6時半に平塚港を出港した船は西へ。大磯西、二宮、国府津沖の推進5080mのポイントを移動しながらの釣りです。ちなみに二宮沖は、我が家の真沖に位置しており、朝に弱い「我が家のかみ」は未だ惰眠を貪っている時間でした。窓から見下ろす海上で亭主が釣っていようとは、お釈迦さまでもお気づきになりますまい…仏でなく神ですが(笑)

さてさて、ポイントに着いて船頭の令一下、前述の手順通りに仕掛けを落とし誘いをかけていきます。すぐにブルブルと心地良い魚信が♪ゆっくり巻き上げてくると魚毎に独特の抵抗感があって、姿を見なくても、これは…と検討がつくことが多々あります。最初は引きは強くないもののズッシリとした重みが…【二宮吾妻山 我が家はその右側の街中です(笑)】

「いやぁ~ん、まいっちんぐ💖」と身をよじらせたのは、想定外の大外道イッテンアカタチでした。

実は、このアマダイ釣り、底もの五目的な趣向で、多彩な外道(本命以外の魚)が釣れてきます。アマダイ以外では、イトヨリ、アカボラ(ヒメコダイ)、トラギス、ガンゾウビラメ、ヒメジ、レンコダイ…

小さい魚はリリースしますが、何せ底ものなので、水圧の関係で浮袋が膨張してなかなか海に帰れません。そうこうしているうちに要領のいいカモメが…【アカボラことヒメコダイ】

【ガンゾウビラメラメ】

【ヒメ】

【エソ】

【チカメキントキ】

そのうちモゾモゾという繊細な当たりに、竿をあおって合わせてあげると、強い引きを感じました。これは…中層でも強い抵抗。ひょっとして…姿を見せそうなタイミングで最後の抵抗…タイらしい三段引きに、本命のアマダイであることを確信しました。そのうち赤い魚体が水面にひるがえりました。大型はタモ(網)ですくいますが、いえいえ、ワタクシのは小さいので大丈夫です(笑)

こんな感じで釣りが続き、お昼が近づくと徐々に平塚に戻りながらポイントを変え、撤退戦の様相になりました。結果、本命アマダイは5尾でした。

アマダイを食べちゃおう♬

さて、釣ってきた魚を美味しく食べてあげるのも釣り人の嗜みというもの。アマダイは上方ではグジと呼ばれ、特に若狭湾で獲れたグジは京料理の高級食材として知られ、手をかければかけるほど美味しくなる魚と言われています。薄皮造り、こぶじめ、松笠揚げ(焼き)、西京焼き、ムニエル、酒蒸し、干物…

とはいえ、それほど包丁巧者ではない海笑。今回は数あるレシピの中から松笠揚げを選びました。松笠揚げとはこれ如何に?アマダイは鱗が細かく柔らかいので、鱗を落とさず揚げたり焼いたるすると、鱗が松笠(松ぼっくり)のように開いて、サクサクとした食感を楽しめるものです。

先ず、アマダイはぬめりを取って三枚におろします。

半身は腹骨をすき取り、中骨を抜いて、軽く塩胡椒をして適当に寝かせます。

片栗粉(または小麦粉)を身の方につけて、皮側はつけ粉をつけずに素揚げにします。

180℃の油で揚げます。…う~む、鱗が開かないね(笑)

マチ子先生たちも一緒に揚げちゃいました。これら外道の魚も丁寧にさばいてあげるとアマダイに劣らず美味しいのです。

身はホクホクで皮はサクサク…うんまいよぉ~♬

…て、テメエら!害鳥たちにもかみにも好評の松笠揚げでした。

中骨と頭を煮て、みそ汁の出汁にしました。いただいた生命、内臓と小骨以外は無駄にしません。

煮たあらは、いつもなら猫の額に埋めて土の肥やしにしますが、このお方が埋める前に食べてしまいました(笑)

これから冬場になるとアマダイ釣りのベストシーズンになりますが、それ以外にも、定番のアジやカワハギなど、これからも山行の合間をみて、お手軽な釣りを続けていきたいと思っています。

今回もご笑覧いただきまして、ありがとうございました。