ロン・カーター氏率いるゴールデン・ストライカー・トリオが、2年ぶりに来日した。
これは絶対に行かねばと、ブルーノート東京での4日間公演(8月20日〜23日)のうち、8月21日の公演に足を運んだ。
思い起こせば、2年前の同じ時期に、新潟でゴールデン・ストライカー・トリオを招き公演を行った。
あの感動はいまだに鮮明に私の心に刻まれている。
久しぶりの再会を楽しみにしながら、開演を待つ。
そしていよいよ幕が開くと、盛大な拍手の中、3人が登場した。
ロンさんは2年前は杖をついていたが、今回は杖なしで軽快な足取りだった。
そして、ギターのラッセル・マローン、ピアノのドナルド・ベガが続く。
当日のセットリストは以下のとおりである。
● Eddie’s Theme
● Laverne Walk
● Candle Light:フューチャーリング Russell
● My Funny Valentine:フューチャーリング Donald
● You Are My Sunshine:Bass solo
● Soft Winds
● There Will Never Be Another You(アンコール)
息の合った素晴らしいパフォーマンスの中、3人それぞれのアドリブ演奏が堪らない。
ラッセルの『Candle Light』は鉄板中の鉄板だが、何度聴いても惚れ込んでしまう。
音の柔らかさと綺麗さには、常に感銘を受ける。
ベガの軽快なピアノソロには、観客も自然とそのリズムに乗り、会場が一体となり素晴らしかった。
ロンさんのベースソロで披露された『You Are My Sunshine』は、途中にバッハの曲が取り入れられた斬新な構成になっている。
ジャンルを超えた音楽の追求を続けてきたからこそのパフォーマンスであった。
アンコール後、ロンさんは画用紙に書かれた言葉を披露。
ラッセルには「moved」、ベガには「amazing」と書かれていた。
ロンさんのお茶目な仕掛けに、会場は笑いに包まれた。
長年、3人で築き上げてきた深い信頼関係が感じられる、素晴らしいステージ演出だった。
お互いを思いやり、演奏を引き立て合う彼らの姿に、チームの素晴らしさを改めて感じた。
終演後、楽屋で久しぶりの再会を喜び合った。
その2日後、ラッセルは60歳で急逝したという知らせが届いた。
突然の訃報を受け入れることができず、深い悲しみが押し寄せ、胸が詰まる思いだった。
彼の最後の演奏を生で聴けたことに感謝している。彼のご冥福を心よりお祈りしたい。
ラッセル、あなたの優しいギターの音色は、私の三味線の指針だよ。ブラザー、ありがとう!