5月19日(日)、ヴァイオリニスト川井郁子さんのニューヨーク公演凱旋記念コンサートが新潟県民会館で開催された。響という和楽器と洋楽器で編成された混合オーケストラが見どころの一つで、映像とのコラボレーションもあり、期待が膨らんだ。
和楽器編成はバリエーションに富んでおり、笛、能管、尺八、薩摩琵琶、箏、鼓、和太鼓、笙など、
普段これだけの和楽器を一度に聴く機会はほとんどないだろう。
三味線だけがないのは少し不思議に感じながらコンサートを聴いていた。
私自身、和楽器のコンサートはほとんど聴かないのだが、今回の和楽器奏者たちにはとても驚かされた。
特に箏の奏者は、自由自在に爪で弦を滑らせ、とても透明感のあるキリッとした音色を発していた。
薩摩琵琶も古の世界に誘う音色で、源氏物語の演出曲と見事に調和していた。
全ての和楽器がそれぞれの特徴を最大限発揮できるように考えられた構成は、さすがの一言である。
和楽器と西洋楽器のコラボで一番大変なのが音階(ピッチ)の一致であるが、ピッチの精度は相当高く、
全く違和感がなかった。
映像演出も秀逸で、幕を巧みに使った長岡花火や桜の表現は見事であり、完成度の高さが際立っていた。
私自身も4月に映像とのコラボレーションを試みたが、その完成度の差を感じざるを得なかったことは確かである。
自分より優れた技術を持つ人々の存在は、大いに刺激となる。
今回のコンサートには非常に多くの学びがあり、今後のアイデアに大いに役立つと確信している。
コンサート後の打ち上げ会が新潟市内のホテルで催され、私も川井郁子さんとお話する機会があり、
海外公演での経験談などで盛り上がった。
打ち上げ会の終盤には、川井郁子さんが三味線の音色を生で聴いたことがないということで、一曲演奏を披露した。
三味線の魅力が伝わってくれたら嬉しい。
楽器は違えど、その楽器の可能性を信じて様々なチャレンジをしている人は世界中にたくさんいるのだろう。
やれることは沢山ある。
私はこの日、音楽の新しい可能性に刺激を感じ、改めて決意した。
出来る、出来ないではなく、やるかやらないかだ__。