SHINGO KURONO

1985年生まれ。2006年フランスへ渡りデザインを学ぶ。帰国後国内のデザイン事務所で経験を積み、2015年独立、デザインプロジェクト humar.(ユーモア) に参加。プロダクト、グラフィック、WEBデザインなどジャンルレスにデザイン活動をしている。作る側とそれを使う側の新しいコミュニケーションを模索するTHE HOTEL LINKSや、お茶ブランドTheThéを運営。 http://www.shingokurono.com http://humar.co http://www.thehotellinks.co http://the2.co

地球っていう丸い玉があってね、

「吉良って市町村合併したんですねぇ。」

と世田谷区役所の窓口の白髪の男性は言った。

吉良というのは僕の地元で、マイナンバーの住所や免許証の住所がまだ実家の住所になっているもんだから、なにかしらの手続きの時にいつも少しトラブルがある。(一番厳しいのはTSUTAYAだ。)

あぁ、またか。
と思った。

男性は続ける。

「僕ももともと西尾なんですよ、東部中の方で。」

「え、」

「そうなんですね!しばらく前に西尾市になったんですよね。」
と僕はいう。

「高校も西尾高校だったんです。」

「あ、同じです!」

思わぬところで先輩に出会った。

地元が同じというのは、地元以外のところで出会ったときに大きな力を発揮する。

少し前までは赤の他人だったふたりは、一気に親密になり、このタイミングで来てよかったとさえ思える。

周りの環境によってそれは変わる。
東京で同じ市の出身のひとと出会ったとき、海外で同じ県の出身に会ったとき。

これから宇宙に飛び立って行き、宇宙人に囲まれる未来が来たときに、きっと言うんだろう。

「ああ、僕も地球出身なんですよ!」

Shingo KURONO