単身赴任している名古屋から神奈川の自宅にほぼ隔週で帰っています。最近はガソリンが高いので、新幹線で帰ることが多いのですが、たまに寄り道しながら車で帰るのが楽しみです。もちろん、土日の前後に休暇を取って(笑)
9月半ばの週末、中津川を経て木曽路を北上します。実はこの日は午後からの休暇で、さらに病院に寄ってからの出発でしたので、前乗り限定。木曽路では折からの雷雨に見舞われました。この頃、南信や東農地方の山際は連日の夕立が続きでした。
木曽の鉱泉宿にて
木曽谷の北部、木曽駒高原の天神鉱泉清雲荘に投宿しました。木曽駒ヶ岳から流れ出る正沢川の畔に建つ飾らない安宿ですが、静かで落ち着く宿です。サービスはハンディのある若者で、多少話が通じない場面もありましたが、そこは温かい目で見てあげたいものです。夕食は猪肉のバーベキューとビール。少し濁りのあるお湯は私好みのぬる湯♬
翌朝、宿の周辺を散歩しました。日中は残暑が厳しい頃でしたが、夕立明けのしっとりとした朝です。この辺りは木曽駒高原でも駒見と呼ばれる場所で、駒ヶ岳がよく見える場所なんでしょうけど、木曽谷は厚い雲が垂れ込めていました。あてもなくブラブラしていると…
あ、そばの花が見頃じゃない♬カケス 冬に備えて木の実を隠していました。源氏の家紋「笹竜胆」 日義は木曽義仲旗揚げの地です。
凸凹林道で登山口へ
木曽谷の北端に位置する鳥居峠を越えると松本平に入ります。松本平の南西に位置する朝日村にやって来ました。高原野菜とそば、ワイン用のぶどう畑が広がっています。
今回、朝日村と松本市、木祖村の3市村にまたがる鉢盛山を歩くつもりで訪れたのですが、この鉢盛山、気軽に入山できる山ではありません。登山口が林道でかなり上がった所に位置していて、林道の入口にあるゲートが施錠されているのです。ゲートを通過するためには、地元観光協会に事前登録して、鍵を借りなければならないのです。
当日は土曜日。観光協会はお休みですが、入口に設置されたボックスに登録者分の鍵が用意されているのです。下山後、再び観光協会を訪れて鍵を返却するシステムですが、協力金500円をお忘れなく。観光協会前から穏やかな姿の鉢盛山が見えていました。
昨日陥したトーチカで 今日は仮寝の高いびき 馬よぐっすり眠れたか 明日の戦は手ごわいぞ…♬戦前は軍馬を供出していたようです。
さて、ゲートを開錠して鉢盛山林道に入ります。が、のっけから未舗装ダート路のお出迎えです。登山口は標高2,447mある鉢盛山の八合目付近に位置していて、林道のアクセスが長いことから、かなり不安になりました。
その不安はまんまと的中。林道は全線未舗装、わだちと路面の流出でギャップが連続します。沢が路面を横断する洗い越し、ダメ押しの落石や倒木と障害のフルコースでした(笑)自分の車はホイールベースの長いミニバン(ノロノロ走るので「鈍牛」の愛称です)なので、ギャップの通過をする場面ではかなり慎重に運転したつもりですが、それでもたまに腹を擦る嫌な音が響いてきました。
観光協会の人曰く「車高が低いと下を擦っちゃうけど、普通車なら大丈夫ですよ」…どうやら長野県民のいう普通車とは、ランクルやジムニーなどのクロカン、あるいは軽トラをいうようです。登山口まで林道を40分…どこが!?倍以上の時間がかかってしまいました(笑)
“鉢盛山サファリパーク”へようこそ!
さて、手に汗握る運転の一方で、この林道では動物との出会いがありました。山笑さん山笑さん お腹につけた贅肉を 少し私にくださいな~♬どうぞ、どうぞ。
ニホンザルキジ…の仲間ヤマドリイヌ…じゃあねえな(ツキノワグマ)この倒木の実を別のクマが食べていました。鈍牛くんに驚いて素早く斜面を駆け上がって逃げたので、写真には撮れませんでした。おまけ サラシナショウマしかしまあ、動物が賑やかに暮らせる鉢盛山、きっともの成りが良い山なのでしょう…林道に施錠する訳がなんとなく分かるような気がしました。
ノロノロと1時間以上かけて、やっとこさ鉢盛山登山口の岳沢に到着しました。車の運転にもかかわらず、日頃の山登り以上の達成感を得られました(笑)
岳沢には落差のある無名滝がありました。林道は岳沢を渡り、稜線を越えて木曽側に延びているようですが、土砂が流入して草ぼうぼう。通行できる状態ではないようです。
正直なところ、今回の山行は鈍牛くんの凸凹林道ロングトレイルがメインですが、鉢盛山歩きもショートコースながら素敵な風景が見られましたのでご紹介します。なんか、前回の能郷白山と同じような流れですけどね(笑)
ちょっとだけよ♡鉢盛山山行記
さあ、クライムオン♬
ガサゴソ…ん?なにかいるぞ。すわっ!目の前にクマいるじゃん。変なヤツが来た。怖いよ~!クマさんスタコラ逃げていきました(笑)登山道はカラマツ林と笹やぶの中につけられた九十九折の急登です。能郷白山の温見峠ルートもそうでしたが、高所まで上がった道路からつけられたショートカットの悪い傾向です。枝から枝に渡るちびっ子連合が賑やかです。複数種の小さい野鳥たちが群れを形成して、お互いを守ろうとする姿は微笑ましいのですが、時には小競り合いも生じます。特等席をコガラに奪われたヒガラ
急登を登り切ると南北の尾根に出合います。この尾根は朝日村と松本市の市村境の尾根です。出合は樹木が切り開かれていて、東側に松本平を見下ろし、遠く八ヶ岳が望めました。松本平と諏訪盆地、伊那谷を隔てる塩嶺の先に諏訪湖もちょっとだけよ💛ヒーヒーヒー…ノビタキがカンバの若木に止まっていました。即興の口笛でさえずりをまねると首を傾げる仕草がかわゆす♬怪しい人にはついていってはダメだよ。
境界尾根に入ればこっちのもの。山頂までは比較的平坦な尾根道です。標高は2千mを超えて、植生はカラマツから亜高山帯のシラビソやコメツガになります。幹を上下したり枝を渡ったり…コガラのかわいらしい姿に癒されました。足元を見れば小さな紅白の玉が。赤はゴゼンタチバナの実で、白はシラタマノキの実でした。山頂の手前は凹地状の湿地になっていました。
鉢盛山の山頂は樹林に囲まれていて展望はありません。一等三角点を中心に四つの祠が鎮座していました。波田(松本市)、朝日、木祖…あと一つは…あ、奈川(松本市)だった。
山頂から西へ延びる踏み跡をたどると、巨大なマイクロウェーブ反射板が2基設置されていますが、ここからの展望は素晴らしい。腰を下ろして遅い昼飯を食べることにしました🍙
北側には、梓川を挟んで対峙する穂高連峰をはじめ、槍ヶ岳、常念山脈、焼岳などが一望ですが…ガスってイマイチでした…orz徳本峠(手前)の先にそびえる穂高連峰常念山脈 右手から蝶ヶ岳、常念岳、正面に大天井岳、左手に表銀座縦走路上の西岳が。活火山焼岳と右手奥に笠ヶ岳が。西側に目を向けると乗鞍岳が。木曽御嶽山は少し立ち位置を変えて。
信濃嶺に 槍穂向ひて ごろ寝せば 仰ぐ虚空に 鷹渡りゆくあまりに気持ちがよいのでゴロ寝して空を眺めていると、何羽もの鷹がぐるぐると舞っていました。そっか、鷹見の名所乗鞍高原の白樺峠がすぐ近くなんだっけ。秋から冬に南西へ渡るサシバやハチクマなどの鷹たちです。
登山口に戻っても終わりではありません。再びあの凸凹ダートを運転しなければならないのです。鈍牛くん、もう少し気張ってくれよ🐄
下山後、山麓のそば屋で早生の新そばをいただきました。そば湯に味噌と辛味大根を溶いて♬
さて、林道ゲートの鍵を返却したら、神奈川へのロングドライブが待っています。凸凹ダートを走らされたと思ったら、ロングドライブ…散々こき使われた満身創痍の鈍牛くんでした。
でもね、この時の教訓で私はとある試みにチャレンジしています。それは何かとたずねれば…後日のお楽しみといたしましょう(笑)
今回もご笑覧いただきまして、ありがとうございました。