Naoya Hanaoka

京都にあるブティックホテルのHOTEL SHE, KYOTOにいます。旅の目的地にしたい素敵なホテルを紹介しています。(https://twitter.com/naoya_hanaoka

ホテル会社でクリエイティブの仕事をはじめた理由【ホテルとお酒 Vol.06】

こんばんは。HOTEL SHE, KYOTOの花岡です。

前回記事「ホテル会社でクリエイティブの仕事をはじめた理由」の続きです。

広告の会社に就職する人の大部分はモノづくりが好きな訳で、もちろん給与や働きやすさのようなものもすごく大切ですが、クリエイションという行為の中で自己の存在意義を見出したり、承認欲求的な何かを満たしている人が多い気がします。

僕も例に漏れず、きっとその類。

思い返せば、小学生の頃から、周りの友人がスマブラに熱中する中、一度もTVゲームにハマることは一切なく(今でもゲームと言えばマリオカートで前に進むことくらいしかできない)、その代わり自作の漫画やカードゲームを作ったり、校区外にある雑木林で秘密基地を作って遊んでいました。

なんでそんな子どもだったのかは自分でもわかりませんが、誰かが作ったものを消費することに一切興味がなかった。(ちなみに家庭環境がそうだった訳ではなく、父親は普通にゲーム好きでした。)

大学生になっても、毎年のように学園祭でお化け屋敷を作るために徹夜していたし(自慢ですが3時間待ちの行列になりました)、それと引き換えに死ぬほど単位も落としていた。

きっと世の中にはもっと洗練されてクオリティの高いコンテンツが山ほどあるのに、それには目もくれず、荒削りでもいいから「何かを作ること」が大好きでした。

 

“体験づくり”ができる場所

自分がこれまで時間を忘れるくらい熱中できたこと。単純ですが、それを仕事にしたいなと思いました。

もちろん広告の会社にいてもそれはある程度叶えられていたのですが、所謂クライアントワークなので大枠の進む方向を決めるのは他の人間ですし、日系の大企業だったりすると前例がないものに二の足を踏むことが多い。(ビジネスとしてそれは間違っていないと思います)

そして何よりも、二次元的な紙媒体やWEBではなく、お客さまも参加するような「体験作り」をしてみたかった。これはきっと幼少期に作っていた秘密基地だったり、お化け屋敷的なものが自分が一番テンション上がるなぁと思っていたからです。

それを叶えるのに、最も最短距離なのがホテルだったり不動産だったり、空間を売りにしている事業体だと考えました。WEBやアプリの仕事をしている中で、日々形ある空間の強さは魅力に思えていましたし、その中でお客様の占有時間の長いホテルという事業体には無限の可能性があると感じています。

 

WEBディレクターからホテルマンへ

そんな訳で広告の会社を退職して現在務めているHOTEL SHE, に転職した訳ですが、会社の人や親戚、古くからの友人に話すと、「え???なんで????」という反応が99パーセントでした。

しかも理想的なモノづくりをしたい、という理由で広告業界からホテル業界に行くなんて、確かに全然論理的じゃない。「人と人との直接的なコミュニケーションが好き」とかならまだ理由もわかると思うんですが。

誰に説明しても全く理解されなかったし、きっと自分もうまく言語化できていなかった。だけど頭の中には明確な未来予想図みたいなものがあった。そんな直感だけを頼りに、右も左もわからないままホテル会社に飛び込んでみました。

 

環境に甘えずに、やりたいことだけをやる

ホテル会社に勤めて1年が経ちましたが、当初の目論見通り、今はホテルを舞台にしたイマーシブシアター企画泊まれる演劇の企画・プロデュースをやったり、温泉旅館のリブランディングをさせてもらったり、順調に”体験づくり”の仕事ができています。

これらの仕事は誰かから頼まれて始めた訳ではなく、自ら企画書を作って提案して、社外の方々も巻き込んでチームを編成して、一つ一つのクリエイティブディレクションに目を凝らしながら進めてきました。

やったことがないことは失敗する不安もあるし、心的にも体力的にも辛いし、何より面倒臭いことも山ほどある。でも、それに見事に比例するようにエキサイティングだし、とっても楽しい。

 

結局、働く環境なんてなんでもよくて、やりたいことがあるならやればいいんだなって思います。環境に依存していると、やるべきことしかやれずに終わってしまう。

そう自分に無理やり言い聞かせながら、これからも常識とか他人の言葉を信じすぎずに進んでいきたい。