街角 マチコ

ロシア生まれの電子楽器、“テルミン”の演奏家。 国際的怪電波ユニット“ザ・ぷー”という音楽ユニットで活動する傍ら、テルミン教室“テルミン大学”を主宰。 現在60名ほどの生徒にテルミンを教えている。 ライブではたくさんの人に、教室ではひとりひとりにテルミンという楽器の魅力を伝えるべく奮闘中。 NHKで放映されたサカナクションの音楽番組「シュガー&シュガー」でテルミンを担当。 PV「テルミン・テルミン」⇒ https://www.youtube.com/watch?v=q68rViaWvSU

目指すは「テルミン婆さん」 #37

こんにちは。テルミン奏者の街角マチコです。

今でこそテルミン奏者を名乗っていますが、テルミンを始めたのは2002年、今から19年前です。

19年なんてまだまだ、このくらい弾き続けたい!という私の目標とする演奏家のコンサートに行ってきました。

 

日本を代表するヴァイオリニスト、前橋汀子さんです。

なんと、もうすぐ80歳になられるのです!

2時間立ちっぱなしでダイナミックに演奏されていました。

憧れの人

今は、私もテルミン婆さんになるまで現役で弾き続ける!という目標がありますが、そもそもの音楽の目標はこの方の美しい音色に始まったのでした。

今日は私のテルミンのルーツについてお話させてください。

私が5歳の頃、母が初めて買ってくれたレコードのこの美しい方!

当時は私もヴァイオリンを習っていたので(・・・と書くと英才教育っぽいニュアンスですが、完全にこどもの習い事レベルです。)励みになるようにと、母が買ってくれました。

5歳児ながらに、このビジュアルにグッと心を掴まれ、もう何回このレコードを聴いたことか!

ひとつひとつの音が本当に美しくて、目を閉じると、弓の動きが生き生きと感じられるのです。

このジャケも大好きで、当時の発表会の後に親が撮ってくれた私の写真は、これを精一杯真似た表情をしていました。(笑)

家の近所の市民ホールでコンサートがあったときも、連れて行ってもらい、10列目くらいで演奏を聴きました。

いつか私も「チゴイネルワイゼン」を弾いてみたい!

そう思いながら練習し、時は流れ、高校生になった頃。「演奏会用名曲集」という楽譜集を買って、いよいよ弾いてみようとしたときです。

・・・・ん? この曲じゃない!!

では私が10年以上「チゴイネルワイゼン」だと思って目指していたものは?

長年の間違いに衝撃を受けて、もう一度よーーくレコードを聴きなおしてみると、それはB面に収録された

「序奏とロンド・カプリチオーゾ 作品28(サン=サーンス)」でした。

それを大人になってまた生で聴いてきました。というお話でした。

心にいつもヴァイオリン

テルミンを演奏するようになった今でも、演奏の組み立てを考える時、実は、いつも心の中で弓(ヴァイオリンを弾く時右手に持っているあの棒です)をイメージします。

どこで早め、どこで切り返すか?そんなことを考えています。

テルミンは、弓で弾く楽器や、息を吹き込んで吹く楽器と違って、永遠に音をのばせてしまうんです。

弦楽器の弓はどこかで切り返さなければならないし、息もいつまでもは続かない。自然に減衰したり終わりが来るのです。

それが無く、永遠に同じトーンで続くのは、何とも不自然で違和感を感じるはずです。初めてテルミンを聴く人もきっと。

物理的にできてしまうけれど、そこに自分の身体感覚を介して、音の終わりを作るのです。

この曲のMVの終わりあたりは特にその感覚を強く意識して演奏しました。

今日は、こちらの曲で締めたいと思います!