Tomoaki Murano

村野 友明 / Tomoaki Murano インテリアアドバイザー / 1979年千葉県生まれ。専修大学商学部卒業後、個人投資向け営業会社に入社。大塚家具へ転職し個人、法人のインテリア提案、家具設計業務に付帯。その後デザイン注文住宅設計事務所フリーダムアーキテクツデザインに入社。不動産及びファイナンスのコンサルタントとして従事した後、オンラインでのインテリア相談・コーディネートサービス「HelloInterior」を共同創業。富裕層・著名人顧客を多数持ち、オンライン・オフライン合わせて3,500件を超えるインテリア相談・コーディネートを対応。Instagramを中心にインテリアにまつわる情報を発信している。ミッションは「インテリア業界をアップデートする」。インテリア、建築、サーフィン、ゴルフ、音楽をこよなく愛する。バンタンデザイン研究所空間デザイン科卒業。

能登半島地震のチャリティ講座を開催しました。

2024年元旦

新しい年の始まりに突然起こった惨事、「能登半島地震」。

横浜市在住の我が家のマンションはそれほど大きく揺れなかったが、元旦の昼過ぎという、ゆっくりと過ごしていた時間帯の大きな地震は、これまでの震災とはまた違ったインパクトがあった。

千葉県生まれ千葉県育ちの僕は、何度か大きな地震を経験はしているものの、実際に自宅や身の回りの人が大きな被害を受けたという経験はない。

東日本大震災の時、当時の会社に仙台支店があったため、そこの被害は経験したがそれでも幸運にも人命に関わる被害はなかった。

日本で生まれ、日本で育ち早44年。地震という存在はとても身近で、そしてとても怖い存在であることを多くの日本人は理解しているはず。明日は我が身・・・そう思いながら、どこか他人事の感覚を持っているのも、僕だけではないだろう。

東日本大震災発生の4年後、僕は宮城県の女川という場所にあるとあるホテルの改修の仕事に関わることになった。

女川地区は津波で甚大な被害を受けた場所。そのホテルも例外ではなかった。

その改修のプロジェクトは国の復興支援を受けて行うもので、僕はそのホテルの客室と飲食エリアのインテリアを担当することになった。

そのプロジェクトの納品の際、初めて女川に訪問することになった。

震災発生から4年の歳月が経ったその時、テレビではすでに震災の話などとうの昔のようにしか取り上げられず、対岸の火事であった僕らも、すでにほぼ震災前と同じような状況になっているのだろうと思ってさえいた。

しかし現実は違ったのだ。

津波の被害を大きく受けた沿岸エリア。一部はある程度綺麗にされていたが、元々は集落があったであろうとあるエリアは、もう人が今後住めるような雰囲気がまるで感じられない状況だった。メディアを通してしか知らない現実。何もできなかった自分の不甲斐なさを強く感じた。

能登半島地震発生後に感じたこと

今回の能登半島地震のあと、SNSでは様々な情報が溢れる中、たくさんのチャリティの情報が飛び交っていた。

東日本大震災の時に感じた、自分の不甲斐なさを思い出し、微弱ながら今回はYahoo!を通して募金をすることにした。そしてその募金はInstagramのつながりの友人たちにも波及していった。

Yahoo!の募金は日に日に増え数億という募金金額になっていった。

震災発生から、3日程度経った頃。僕の知人がInstagramで地震被害について投稿していたのを見かけた。どうやらその方は被害が大きかった輪島エリアに親族がいらして、連絡がつかない。どうしたら良いのか・・・という投げ掛けで、その情報を拡散してほしいという願いだった。

僕の影響力はそれほどないものの、少なくともその情報拡散の一役は担えるのでは?と思い、できるだけ訴求することをやった。その訴求に賛同してくれた仲間がその訴求をさらに拡散してくれ、情報の広がりはかなり大きいものになった。

結果的にその方の親族の方は無事に連絡がついたとのことだった。その方は僕のインテリアの講座を受講してくださった方。ご本人も震災の被害があったようで、大変な状況だと聞いた。

2011年の東日本大震災の時、僕自身それほど広い範囲で人との繋がりもなく、影響力もなかったから、自分の身の回りにいる人が直接の大きい被害を受けることを経験していなかった。

しかし、今回の能登半島地震では、当時と比べものにならないほど多くの方と繋がりを持てるようになったことで、その震災の被害は2011年の頃と比較して身近なものとなった。

女川に訪れた時に感じた、自分の不甲斐なさ。そんな大きなことはできないがあの頃よりは影響力も資金力も持てるようになった。

僕ができること。

僕にしかできないこと。

僕はいろんな人に相談して一つの答えを出した。

「村野塾!でチャリティ講座をやり、その講座料を募金しよう!」

これまで僕の講座を受講してくれている方はのべ150名を超えていたし、僕が運営するコミュニテイである「村野塾!」も100名を超える方が参加している。

皆さんに僕の呼び掛けで募金を募ったり、チャリティオークションをやることも考えたが、一番僕らしいやり方はやっぱり講座をやることだと思ったのだ。

そして1/26に、チャリティ講座として「インテリアのプロが教える、即興テクニック講座」と題して、3,300円の参加費の講座を募集した。

過去の僕の講座で最大の参加者数が約60名だったので、50名は参加してもらいたいと思い、15万円くらい寄付として出せたら良いかと思っていた。

そして、募集をスタート。

村野塾!の仲間がその募集をInstagramのストーリーズで拡散をしてくれ、申し込みがどんどん入り、最終的には79名という参加者が集まった。

参加くださった方からは・・・

「寄付もできて学ぶこともできて、とても良い機会でした。」

「インテリアの人がこうやって活動をされることに協力できて嬉しい。」

など本当にたくさんの嬉しい言葉を頂けたのだ。

最終的に集まった金額は、260,700円

運営関係で10%相当の経費がかかってしまうため(これはあらかじめ募集時に公表していた)、それを差し引いた234,300円を日本赤十字社へ寄付することになった。

チャリティ講座を実施してみて:やらない善よりやる偽善

2011年に感じた不甲斐なさ。

もう10年以上経ってしまったけれど、たくさんの仲間や賛同者のおかげで、これまで想像できなかったような今回の取り組みができた。

金額で言えばたった26万程度かもしれない。でも、79名という多くのインていら関係の参加者がいたから成し得たこと。本当に感謝しかない。

こうやった活動を大体的に報告すると、「偽善だ」とかいう方もいるだろう。

僕はそう言われても全く気にしないし、それはそれでいいと思っている。

「やらない善よりやる偽善」

大きなことは言えないし、大きなこともまだまだできない。

それでも自分にできることを少しでもやっていきたい。

自分らしくできることをやっていきたい。それは今後も変わらない信念。

被害に遭われた方が1日でも早く復興されることを祈って。