史佳

新潟出身の三味線プレイヤー。9歳より津軽三味線の師匠であり母でもある高橋竹育より三味線を習い始め 2000年よりプロ活動をスタート。新潟を拠点に国内外で演奏活動を行ってきた。古典を大切なベースとしながらも、伝統芸能の枠を超えた新しいニッポンの音楽を目指し、現在、ニューヨークを拠点に移し三味線芸術の新しい境地を開拓している。 YouTube公式チャンネル :https://www.youtube.com/channel/UCDcEsCsEsKHs6Oyv-i83Nfw

July Fourthアメリカ独立記念日を祝う

こんにちは。4月9日の渡米以来、本当にあっという間の4ヶ月。このたった4ヶ月間でニューヨークは、完全にコロナ禍以前の生活に戻りつつあり、経済やエンターテインメントの完全復活もすぐそこまで来ている雰囲気だ。街中では、マスクをしていない人がほとんどになり、南米やヨーロッパなどからの観光客も多く見られるようになった。

私自身の演奏活動は、レストランなどの飲食店が全面再開されたこともあり、マンハッタン以外にも、ブルックリンやアズベリー・パーク(NJ州)など様々なシチュエーションで三味線ライブができるようになった。私が最近、ステージのセットリストに取り入れているアメリカ国歌(The Star Spangled Banner)の三味線演奏も大好評である。このThe Star Spangled Bannerが1番マッチする日と言えば、July Fourthアメリカ独立記念日である。今年で245歳のアメリカ合衆国。日本の歴史は2,000年(2,000歳)以上だから、その若さに驚く。その短期間で世界の大国になったかと思うとアンビリバボー。

記念日当日の7月4日、山野内ニューヨーク大使の参加するバンドが、アメリカ独立記念を祝うためライブを開催するということだったので、私はブルックリンにあるジャパンビレッジを訪れた。Stand by me、New York State of mind、Imagine、情熱大陸、ジャズナンバーなどの曲を含む、1時間を超える2ステージが予定されていた。ジャパンビレッジ内の酒屋さんから、”ふなぐち菊水一番しぼり”をゲットし、たこ焼きをおつまみにライブ観戦・・・。野外で音楽を聴きながら、お酒飲むのって、いつぶりだろう?そんなことを想いながら、久しぶりの開放感を楽しんでいた。

いつもステージに立っている側なので、なかなか自分自身が客席から音楽を聴くということは稀である。リラックスした気分で、熱いライブを満喫していたちょうど1ステージ目が終わったところで、ジャパンビレッジのオーナーさんから突如、”史佳さん、2ステージ目、参加してみたら?大使に聞いてみるよ”と。”おっと・・・”ふなぐちが既に私の血液中を巡っているし完全にオフモードだったが、急遽2ステージ目のイマジンからリハなしの飛び入り参加が決まった。更にイマジン演奏後に、ボーカルのKAZUさんが、”ぜひ一曲、お願いします!”と振ってくれたので、津軽じょんから節を演奏した。

そこにいた現地の人たちが、Japanese Van Halenみたいだと言って、めちゃくちゃ盛り上がってくれた。ほかにも、”日本の楽器って、涙出ちゃう。感動した。”とそんな言葉を沢山かけてもらって嬉しかったし、July Fourthという特別な日に、この三味線で文化交流ができたことは、非常に感慨深かった。ここからさらに、日米文化交流を深めることに繋げられたら、私にとってもまた大きな意義をもつ記念日となるだろう。

菊水酒造さんは、今年で創業140周年という節目のアニバーサリーである。これからも、100歳以上も年上のアメリカ大国の中で、日本酒文化が浸透し、さらに200年、300年とその伝統が引き継がれてほしいと切に願う。私の三味線文化も同様、こうした日本文化が日本から世界のスタンダードへ。この今の挑戦が、必ず未来を変えると確信している。

帰りは、すっかり夜になり、ちょうど、July Fourthを祝う6万発の花火が、マンハッタンの空を彩った。その花火は、まさに菊の大輪であった・・・。