hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

請求書はすぐに支払ったほうがいい理由

こんにちは! バグパイプやハープなど、ケルト音楽専門の楽器店を3店経営しているhataoです。この連載は、スモールビジネスの経営を通して得たアイデアや経験についてお話ししています。

請求書は嫌われ者!?

毎日皆さんのポストに投げ込まれる各種の郵便物。手紙や商品など郵便物が届くのはワクワクするけれど、請求書だけは見たくない、という人も多いのではないでしょうか。特に送り主が税務署だったりすると、もうそのままシュレッダーに入れたくなりますよね!? ええ、冗談ですとも。

今回は、ビジネスとは切っても来れない縁のある、請求書について考えてみましょう。

請求書の支払い期日のきまり

請求書が届いたら、いつまでに支払いますか? 大抵は、支払い期日を確認しますね。今すぐに支払う必要がないならできるだけ気持ちとお金にゆとりのあるときに支払いたいものです。

請求書の支払い期日には、一定の決まりはありません。
外国との取引で為替レートが常に動く場合は、期日が短めに明示されている場合があります。期日を過ぎると、また新たなレートで計算して請求書を作り直さなくてはいけません。国内の取引先であれば期日は書いていないことが多いようです。通常は発行日を起点に2週間程度の猶予をもたせるでしょう。

新しい会社と取引を始めるときに、支払いを行う側から、「規定で翌々月末払いになります」と支払い日を指定することがあります。おそらく資金繰りのスケジュールを立てやすくするため、そして事務手続きを効率化するために一度で決済を済ませたいという、支払い側の都合なのでしょう。
私としては、自分が請求したものでも2ヶ月後なんてとっくに忘れていますし、資金繰りを考えても早く入金してくれたほうが助かりますから、一方的に自社の決まりを押し付けてくるのには少々不満を感じます。

さて、支払い期日を過ぎてしまった場合は、どうなるのでしょうか? 代金前払いの場合は自動的に注文がキャンセルとなり何も問題は残りません。しかし後払いの場合はちょっとやっかいです。

こちらが請求を送った側であれば、相手の面子のためにも期限より1週間くらい待って、状況を確認してみましょう。資金繰りが苦しいとか事情があるのであれば新たな期日を設けることも検討し、特に事情もないのに、のらりくらりとはぐらかされるのであれば、内容証明で請求書を再度送付し、期日を過ぎた場合には訴訟に踏み切る、つまり喧嘩する覚悟を決めなくてはいけません。

反対にこちらが支払う側だった場合は、気づき次第速やかに支払うのは言うまでもありません。支払いを遅らせるほど、状況は悪化していきます。またたとえ支払ったとしても、遅れた事実は変わりませんから、相手からの信頼は下がっていることは胸に刻まなくてはなりません。

請求書を見たらすぐに支払おう!

皆さんは、請求書をすぐに処理したいほうですか、それともなるべく遅らせたいほうですか。

私の記憶が正しければ、投資の名著『金持ち父さん貧乏父さん』には、収入があれば最初に自分の必要な分を取ってから支払いを済ませるのが金持ちになる鉄則、といったことが書いてありました。

起業前の私は、なるほどそのとおりだと思っていたのですが、起業した今、そんな度胸はありません。自分への支払いを優先した後で、クレジット・カードや税金を支払う余裕が無かったら、とたんに窮地に陥ってしまいますからね。

私は請求書が届いたら可能な限り速く支払うことを習慣にしています。請求書の支払いに遅れないため以外にも、理由はいくつかあります。

請求書というのは、どんなに嫌だろうと逃れられないものです。支払いが完了するまでは頭の片隅で「あれを支払わなきゃ」と繰り返し思い出し、その度にストレスを感じるのは無駄な苦労です。相手側も待つことにストレスを感じるでしょう。また請求書を支払った後のほうが、手元の資金で事業をやりくりするよう計画が立てやすくなります。そして、支払いを済ませないと仕事が前に進まないので、大きな機会損失にも繋がります。

こういった理由から、私はすぐに支払ったほうが得だと思うのです。支払いを受ける相手にとっても、請求書を送った瞬間に銀行口座に入金があると、こちらへの印象が良くなることでしょう。

過去にあった請求書にまつわるトラブル


ビジネスがお互いの信頼関係の上に成り立っているとは言っても、人間のすることに間違いはつきもの。これまで私も取引先も、数々の間違いを犯してきました。

例えば商品の金額を間違えるなどは起こりがちで、したことも、されたことも経験があります。多く請求してお客様に後で返金したこともありますし、少なく請求して後で申し訳無さそうに謝罪のメールを送ったこともありました。幸いこれまで、不足額の支払いを渋った取引先やお客様はいません。やはり間違いはお互い様、ということなのでしょうか。

当店ではトラブルを避けるために一般のお客様には代金前払いを徹底しており、分割払いや後払いはお受けしていません。ただし卸売の場合は先方の取引条件に従うようにしています。それが仇となって、商品を送って請求したまま、こちらも相手も忘れてしまったことが過去に2度ありました(しかも同じ取引先です)。
私もいいかげんなもので、それを年度末になってようやく気づくという始末。もちろん、気持ちよく支払いには応じてもらえました。それ以後はお互いに間違いを繰り返さないように、前払いに変えさせてもらっています。なお請求書の法的効力は2年だそうですので、請求が無効となる前に必ず請求書と入金とを紐付けるような帳簿のシステムを作っておいたほうが良いでしょう。

請求書にまつわるミスの他にも、物を扱う商売では納品ミスも起こしがちですので、入荷の検品、出荷前の検品は気を抜けません。

お金のやりとりをスマートに


「買って支払い、売って入金」
のサイクルを回すことは、ビジネスの日常風景です。その回転スピードを速めて、回転を大きくできる人が成功する、というシンプルなゲーム。請求書の支払いを遅らせると、回転スピードが落ちるばかりか、信用も損ねてしまいます。

お金を支払うときに心がチクっと痛むのは、いつまで経っても変わりません。ですが、その痛みはきっと、さらなる富や喜びとなって帰って来ます。そう思いながら、豊かな気持でお金を支払いましょう。払う方も受け取る方も「お金のやりとりをスマートに」を心がけて、日々の商売に励みましょう。