史佳

新潟出身の三味線プレイヤー。9歳より津軽三味線の師匠であり母でもある高橋竹育より三味線を習い始め 2000年よりプロ活動をスタート。新潟を拠点に国内外で演奏活動を行ってきた。古典を大切なベースとしながらも、伝統芸能の枠を超えた新しいニッポンの音楽を目指し、現在、ニューヨークを拠点に移し三味線芸術の新しい境地を開拓している。 YouTube公式チャンネル :https://www.youtube.com/channel/UCDcEsCsEsKHs6Oyv-i83Nfw

”革新”していくもの

2月26日、いのちの電話講演会登壇のため訪れた場所は、大分県。出発前から、久しぶりの遠出で心が弾む。新潟空港から福岡空港到着後、特急列車ソニック77号で大分へ向かった。

なんともレトロな列車で移動すること2時間。無事、大分に到着した。何と気温14℃という暖かい陽気。新潟との寒暖の差は言うまでもなく歴然である。

ホテルにチェックインし、まずは、分解して持って来た三味線を組み立て、軽くウォーミングアップ。

やっと落ち着き、時間は夕方4時。少し大分駅前を散策してきた。 大分といえば・・・麦焼酎、そしてとり天。私は大のとり好きである。せっかくなので本場大分の地で飲んでみようと選んだのは、”いいちこ”。日本一売れている麦焼酎である。お目当てのとり天も買ってきた。そして、酒屋を巡って、ラスト一本の”菊水の辛口”をゲットできた。相変わらず運がいい。

さて、今日は日本酒と焼酎の飲み比べをしてみようと思う。日本酒は醸造酒、焼酎は蒸留酒に分類されるが、そんな醸造酒と蒸留酒の味の違いを実際に飲んで考察してみよう。

さあ、とり天に合うのは、”いいちこ”か”菊水の辛口”か__。

まずは”いいちこ”から。蓋を開けると、原料の麦の香りが漂う。味わいは、すっきりとしていてクドさが全くなく、引っかかりがない。とり天を頬張れば、とり天の香ばしさと麦との相性が抜群である。すべてのバランスがちょうどいい。 次に”菊水の辛口”を。日本酒は米が原料のため、甘味があるのが一般的であるが、”菊水の辛口”はその名の通り、甘くなく、すっきりとしてキレがある。後味にしっかり旨味が感じられ、さっぱりとしたとり天と、とても相性が良いと感じた。それぞれ違って、それぞれ旨い。焼酎は蒸留する分、味や香りが濃厚でよりアルコールらしさがあり、日本酒の方はさらっとしているので、ストレートで飲みやすいかもしれない。

この”いいちこ”の製造元の祖業はなんと日本酒だったそう。現在では焼酎だけでなく、清酒もワイン事業も兼務していて、そのモットーは”変容と新生”だそうだ。菊水酒造もまた、常識にとらわれない革新的蔵元である。それぞれの一流が目指す想いや志は強く、深い。ここでも改めて、”革新”していくものが残っていくという考えに行きつく。

自分にとっての”革新”とは何だろう。漠然とそんなことを想いながら、あっという間に大分の夜は過ぎていった。唯一確信できたことは、とり天と菊水のお酒はとても合うということであった。 皆さんもぜひお試しあれ。