hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

準備が9割!”ここ一番”で結果を出す方法をシェアします。

こんにちは! ケルト音楽専門の楽器店「ケルトの笛屋さん」を経営している、フルート奏者のhataoです。この連載では私のようなスモールビジネス経営に興味のある方に向けて、私の経験やアイデアを発信しています。

先日、アイルランド音楽のコンクールに初めて出場して腕試しをしました。私はこれまで20年ほどアイルランド音楽を演奏していますが、コンクールに出ようと思ったことはありませんでした。負けず嫌いな性格のため勝負を真剣に捉えすぎてしまい、負けを認めることができないためでした。今回はちょっとした心境の変化があり、挑戦を決意したのです。そして結果は、日本予選で2部門優勝を勝ち取ることができました。

競技スポーツでは日々のトレーニングに加えて、本番で実力を発揮するためのメンタルトレーニングを行うそうです。ビジネスにおいて勝敗を決める争いはめったにありませんが、大事なプレゼンや、ここ一番という時に失敗してチャンスを逃さないために、私の経験やアイデアが参考になるかもしれません。

今回は、勝負事が嫌いな私がどのようにして本番に備えたのかについてシェアします。

受験も試合も「準備」が9割

 私は受験でも試合でも、「準備が9割で残り1割は運」だと考えています。絶対に失敗したくないのであれば、とにかくできる準備は完璧にすることです。試験であれば模擬試験を何度も解いて満点が取れるまで、コンサートであれば一度もミスすることなく通しで10回演奏できるようにまでなれば、本番でよほどのアクシデントがない限りは失敗することはないでしょう。「ここまでやったので悔いはない」というメンタリティは自信にもつながりますので、本番に余裕を持って臨むことができます。

準備には2つのステップがあると私は考えています。まずは何をどう準備すればよいのか理解していること。次に、それを実際に行うことです。この2つのステップを達成できる人は多くなく、できるか否かで試合前から勝敗は既に決まっていると言えます。 

下調べをする 


実際に練習などの対策をする前に、下調べをすることは欠かせません。

孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば、百戦あやうからず」とあるように、戦うべき相手を知らなければ何を頑張れば良いのか検討もつかないまま、闇雲に時間と労力を消耗することになりかねません。試験であれば、どのくらいの難易度なのか、どのような問題が出るのか、現在の自分のレベルはどうなのか。コンクールであれば、出場ルールを完璧に頭に入れるのはもちろん、これまでの受賞者の演奏、審査員の特徴、参加者の感想、評価判定基準など、ネットでも人づてでも手に入れられる情報をすべて得ておくべきです。

その上で、自分の現在地を把握するために実力試験を受けるとか、受賞経験者のレッスンを受けるなどして、自分の弱点を把握しましょう。現在地と到達地点が明確になれば、到達地点までのロードマップを描きやすいのです。

練習をする


音楽家の間でよく話されることは、「普段の練習以上に本番で良くなることはない」ということです。練習で間違えた場所は本番でも間違えます。それどころか、練習では絶対ミスしないような場所でミスしてしまうのが本番なのです。ですから、少なくとも苦手な場所はすべて克服しておく必要があります。また、本番で緊張した状態でもミスを誘発しないように事前に対策を考えておくことも大切です。緊張をしないためには、試験であれば模試を解くことですし、プレゼンであればすべてが頭に入るまで何度も通して練習をすることです。

ここで、練習のヒントをいくつか提案します。

・録画する

プレゼンや演奏、スポーツなどは自分を客観的に評価することが難しいものです。そこで、三脚を立てて自分のプレイを録画し、それを他人のプレイだと思って冷静に見てみましょう。普段誰かのプレイに厳しい人であれば、自分に何が足りないのか分かるはずです。

・人に見てもらう

私はコンクール前1週間くらい、生徒さんやお客様など会う人皆に頼んで演奏を見てもらいました。10分くらいの演奏です。もちろん生徒さんですから本音の感想は得られませんし、賞賛いただけるのはわかっているのですが、反応や感想をいただくことが目的ではなく、相手が審査員だと思って本番慣れするための練習です。また、その様子を録画して振り返るのも良いでしょう。

前日までの準備


私は普段のコンサートで、緊張して思わぬミスをしてしまうことがあります。そのため、私にとってはいかに緊張しないようにするかが課題でした。私が最終段階で行った準備は以下の3点です。

・会場を下見する
これまで訪れたことのない会場であれば、予測できないアクシデントが起こる可能性があります。乗り換えが難しいとか、駐車場が遠いとか、ささいなことでもトラブルにつながりかねません。そのようなトラブルで集合時間ギリギリに汗だくで会場に着くようなことがあれば、その後のペースが乱されてしまいます。下見をすれば、会場までの移動経路や部屋のようす、室温など多くのことを知ることができます。その上でシミュレーションをするのです。

・持ち物を最適化する
当日の様子を思い描いて、必要なものと不要なものを考え抜いて準備をします。コンクールであれば、衣装や靴、時計などのアクセサリもそれでよいのか考えます。

・前日は練習しすぎず、おだやかな1日を過ごす
前日に追い込んで練習をすると体を痛めたり、疲労が翌日の本番までに回復しない可能性があります。また、壮行会などといって深夜まで飲み食いするようなことは厳に慎むべきことです。前日は、本番前の通し練習だけ行い、軽く食べて運動をして、体力をしっかり回復させましょう。

どこまで精度を高めるられるかが鍵

こういった対策を取り「手が切れるくらいまで」精度を高めて磨き上げれば、必ず勝てるという自信がつきます。またここまでやったのであれば、仮に負けたとしても相手はもっと頑張ったんだなと素直に負けを認め、次はもっとがんばろう、と反省することができるでしょう。

今回は勝負事に臨む心構えについてシェアしてみました。それではまた次回!