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ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

ひとり社長が考える「安定した人生」とは

2023年あけましておめでとうございます。昨年はコロナ禍もまだ終息しないなかウクライナ戦争、円安に物価高と先読みができない不透明な一年でした。誰もが今まさに時代の転換期であることを感じているのではないでしょうか。そんな不安定な世相で、人々が求めるのは安定や安心だと思います。そこで今回は、人生を安定させるとはどういうことか、考えてみました。

婚活女性は安定を求める


「安定」は、多くの婚活女性が求める理想の男性像として、一番重要な要素です。

こちらの婚活サイトでは、「結婚相談所において男性の職業は非常に大切です。なぜなら女性は、結婚するかもしれない男性に対して経済的な余裕や安定を求めるからです」と述べて、婚活女性に人気のある男性の職業の上位が地方公務員と大手企業正社員だとしています。

私がよくYouTubeで見ている結婚カウンセラーの話からも、婚活女性が希望する相手男性の条件として第一に求められるのは年収や職業であることは間違いないようです。パートナーの経済的な安定を得て、将来の出産や育児、住宅ローンの支払いに備えたいという、女性ならではのしっかりとした考え方なのだと思います。

しかし同じ働き方をして700万円の給料が振り込まれる暮らしが、本当に欲しい暮らしなのでしょうか? 私のような経営者は自分の働きがそのまま稼ぐに直結する不安定な暮らしですが、年収が1000万円の年もあれば3000万円の年もある、しかし1000万円を下回ることはほとんど無い、そんな不安定な稼ぎのほうが、私にはよほど魅力的です。私がそんなに稼いでいるわけではないので、そこは誤解しないでくださいね。

安定が一番大切なのか


相手の職業が公務員や大手企業職員であれば失業するリスクが少なく、将来も高収入が期待できるかもしれません。しかしそれが一生続くとは考えない方がよいでしょう。

かつて一つの企業が繁栄できる期間は30年と言われていましたが、今後、自動運転や人工知能による産業構造の変化から、企業寿命はますます短くなると言われています

仮に現在は大手企業に勤めているとしても、50代になった時に安泰である保証はありません。公務員もどんどん人員削減が行われて非正規職員に置き換えられています。

キャリア以外でも、人生にはさまざまなトラブルやアクシデントが起こるものです。離婚、病気や事故、犯罪を起こしたり巻き込まれたり。どんなに安定しているように見える人にも、必ず挫折や失敗は起こるものです。

そのような時に大事なことは「レジリエンス」、逆境から立ち直る力です。

まだ誰も経験したことがない分野に挑戦をすれば、必ずどこかで失敗します。大事なのはそこから学び、やり方を変えて再び挑戦をすること。経済的な安定は一見頼もしいように見えますが、視点を変えれば、リスクを取って挑戦したり時代に合わせて変化していくことが苦手である、現在の日本経済の姿そのもののように見えます。

安定は自分で作る


公務員になれば安心、高収入の男性と結婚すれば安心、という考え方は、他人に依存した考え方です。他人任せになっている限り、自分でコントロールできないわけですから、確実なものはありません。しかし、会社に頼らずに自分に稼ぐ力があれば、全財産を失って身一つになったとしてもまた稼ぐことができます。

私にとってお金を稼いだ原体験は、大学生の時にアイルランドの路上で笛を吹いてチップをもらったときのことでした。それまでもアルバイトで給料を得たことはありましたが、アルバイトは時間をお金に変えただけであり、本当の意味において自分で稼いだという感覚はありませんでした。

私は、ありえないことですが仮に2店の店舗が災害で潰れて、さらに従業員がストをして、さらに家と全財産を失ったとしても、また街角で笛を吹けば食べるものくらいはなんとかなるだろう、という気持ちでいます。

ビジネスやセールスを学んで稼ぐ力を身につけることのほか、トラブルが起きても致命的にならないようにリスク分散をしたり、貯金や投資をしたり、助け合える人間関係を構築するなど多方面で守りを固めることで、人任せにせずに人生の安定を生み出すことができるのではないでしょうか。

思い込みが解けたきっかけ


昭和生まれの私は、お茶の間アニメに見られるような典型的なサラリーマン家庭に育ちました。

専業主婦の母、郊外の一戸建て。良い大学を目指し、安定した職業に就き、家庭を築く。それが当たり前だと思い込んで生きてきましたが、20代で結婚にも就職にもつまづき、起業して一人社長となりました。

離婚や失業は苦しい体験でしたが、思い込んでいた「正規ルートの人生」の呪縛が解けると、この社会にはさまざまな稼ぎ方や家族観があることを受け入れられるようになりました。若くて実力がなかった頃は誰かに養って欲しい、チャンスを与えてほしいとすがりつくような気持ちでしたが、自分が原因とはいえ、一度苦しい道を歩いたことは、今となれば得難い経験となりました。

「世の中に確実なものは一つとない、安定は自分で作るもの」、この考えが、私を支えています