hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

シリーズ限界集落で暮らす ⑶インフラ整備大作戦

こんにちは! ケルトの笛奏者で、ケルト音楽専門の楽器店「ケルトの笛屋さん」を経営しているhataoです。この連載では、スモールビジネスを営む私が起業やビジネスについてアイデアと経験をみなさんとシェアしています。

「限界集落に家を買って暮らそう」連載シリーズの三回目、今回はインフラ整備大作戦と題しまして、水道光熱や通信というインフラをどのように整備したのか、お伝えします。

水道設備の管理

私の集落の様子については、これまでもお伝えしました。
先住者は水道は沢水を利用し、薪で風呂を沸かし、2軒のうち1軒の家は電気を引かずにアルコールランプの灯りで生活していたそうです。

アメリカに開拓時代の生活様式をかたくなに守るアーミッシュというグループがいます。先住者はまさにそのような暮らしを目指していました。しかし全く通信手段がないのは不便ですから、固定電話は引いており、ケーブルテレビのインターネット回線を利用していたと聞いています。私はその家を、そのままの姿で引き継ぎました。しかし……。

数年暮らしていない家に最初に訪れた時には水は出ず、通信手段も全く無い状態。ここがスタートでした。

水が出ないことには生活ができません。最初にしたことは、水道管の確認です。この家の水道は沢から引いていると聞いていたので、水道管をたどって水源まで沢を登りました。

沢にコンクリートで小さなダムを作り、そのダムからホースでタンクまで水を落としている仕組みでした。しかし、ダムに土砂が堆積し、水がホースに流れ込んでいなかったようです。また、ホースにも泥が詰まっていました。この土砂は大雨が降ると必ず溜まるので、大雨のたびにダムを掃除しなくてはいけないのを後で知ることになります。
続いてタンクを覗いてみると、そこはゴミと泥がいっぱいの不潔な状態……。まさかこの汚い水を飲めるわけがありません。そこで水をすべて抜いて自分がタンクに入り、ブラシでゴミをきれいに洗い流しました。

沢から家まで直接水道を引かずに一度タンクに貯めているのは、泥やゴミなどを沈殿またオーバーフローして取り除き、なるべく綺麗な水を送るためです。そして渇水で沢が枯れたときでも少しずつ水を貯めて生活水を得るためなのです。鉛筆1本分の太さの水さえ流れていれば、タンクに貯めて一家が養えるといいます。すごい!

そのタンクから自宅までホースが途切れていないことを確認し、ようやく自宅から水が出た時は感動しました! このホースは、冬に気温が氷点下になると水が凍り膨張して外れることもしょっちゅう。そのため冬場は水を出しっぱなしにします。都会の水道に慣れていると簡易水道は管理が面倒くさい反面、いくら使っても無料というのは魅力的です。特に私はガーデニングに興味があったので、水道代を気にしなくても良いのは助かります。

この水道、移住当初は濾過した上で煮沸して料理に使用していたのですが、やがて地域にある名水の湧き水を見つけて、その水を定期的にポリタンクに汲んで使うようになったため、今は洗い物や洗濯にだけ使用しています。

薪ボイラーでお風呂に入ろう

田舎でお風呂というと五右衛門風呂や薪のお風呂に入りたくなります。この家には、先住者が置いていった薪の風呂釜ボイラーがありました。しかし私が入居した時には電気系統が壊れており使用できませんでした。そこで、ホンマ製作所の灯油薪兼用ボイラーを購入して据えつけました。

ボイラーには灯油のみ、薪のみ、灯油薪兼用の3種類があります。私は兼用にして大正解でした。というのも、薪は火がつきにくいので、最初の火おこしを灯油の火炎放射で行うと火つきが早く、またお風呂のお湯を少しだけ温めたい時(追い焚き)に便利だからです。

一方で灯油だけにすると、災害で灯油が手に入らない時に不便をします。また、灯油だけでお風呂を沸かそうとすると相当の灯油を消費しますので、このような使用法だと灯油はほとんど使わず経済的。まさに良いとこ取りです。

家の中の給湯設備については、知人から電気式の給湯器をいただきました。試しにシンクに設置したところ、これは常に電気で保温しておくため電気代を食い、また給湯量が少ないのですぐにお湯が尽きてしまい、トイレの手洗いくらいにしか使えないことがわかりました。現場では冬の冷たい水で食器洗いや洗顔をしなくてはいけないため、ゆくゆく屋根に据え置く太陽光ボイラーを導入できればと考えています。

調理の熱源は?

調理には一般的にはガスかIHを使うかと思います。毎日の調理に七輪や薪という選択は私にはありません。ガスは、地域のプロパンを契約することもできるものの、こんな山奥まで交換に来てもらうのが申し訳なく、100ボルトで使えるIHクッカーにしました。火力の点で物足りないときのみ、カセットコンロを使っています。いずれ、薪を使う窯やオーブン、炭火コンロも作りたいと思っています。

光回線インターネットを契約 

ここは携帯の4G回線圏外なので、インターネットと電話は使えません。また、ポケットWifiを契約してみたものの圏外で利用ができませんでした。そのため最初期はメールチェックのために近くの温泉まで車で20分かけて通っていました。しかしそれはあまりに不便。たまにしか使わない別荘ではありますが、仕事上インターネットは必須なので回線を契約しました。

この地域のケーブルテレビ局がこれまでADSL回線だったサービスをより速い光回線に切り替えたタイミングだったため、キャンペーンで安く契約することができました。私一人のために、わざわざ遠くから光回線を引っ張る工事をしてくださったのです。月の通信費4,000円程度では、通信会社はきっと大赤字でしょう…‥。

これで、自宅で仕事をしたりYouTubeに投稿したり、LINEで連絡を取り合うことができ、スマホの電波圏外でも支障がなくなりました。ああ、不便なこと、まだありました……。
唯一面倒なのが、銀行やオンライン・サービスなどで二段階認証するためにショートメールでワンタイム・パスワードが届くときです。これはサービスによっては他の手段がないため、わざわざ電波の入る場所まで行って認証しなくてはいけません。

電気を引き、ソーラーライトを設置

電気のなかったほうの家には電気工事をしてもらいました。本来は、家を建てる際に配線が醜く露出しないように壁の中に埋め込むのですが、この家は先住者が配線をしない前提で建てたので、配線が壁を這うのは仕方ありません。スイッチとコンセントの設置場所の希望を伝えて、私が便利に使えるようにしてもらいました。仕上がりについては、とても満足しています。

もともと電気のなかった家に灯りがともった時の感動といったら! 昭和の頃、この地域に初めて電気が届いたころの感動を想うことができました。

また、ここには街灯がないため、ソーラーライトを設置しました。このソーラーライト、最初は気に入ってAmazonでたくさん買って設置しました。しかし割とすぐに寿命が来てしまうことがわかり、最近は本格的な街頭を設置しようかなどと考えてもいます。

今回はここまで。どうぞ次回もお楽しみに!