hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

クラウドファンディングを考える (1)出資者の立場から

こんにちは! ケルトの笛奏者で、ケルト音楽専門の楽器店「ケルトの笛屋さん」を経営しているhataoです。この連載では、スモールビジネスを営む私が起業やビジネスについてアイデアと経験をみなさんとシェアしています。

ビジネスについて語るシリーズ、今回は「クラウドファンディング」を取り上げます。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディング(以下、クラファン)とは人々を表すCrowdと資金調達を表すFundingを組み合わせた造語で、プロジェクト達成のために必要な資金を世間の人々から広く集める集める行為を指します。国内ではCampfireやマクアケを代表にさまざまなプラットフォームがサービスを提供しています。

挑戦者は目標金額と募集期間を設定し、支援者は出資金額に応じたリターン(報酬)を受け取ります。挑戦者は期間内に目標に達しなければその一部をもらうか、集まった全額が見送りとなります。プラットフォーマーに対しては一定割合の手数料が発生します。資金の使途について監査や報告は必要ありませんが、支援者に約束したリターンを期間内に実施する義務があります。

クラファンは企業のプロダクト開発やサービス開発で盛んに行われており、新しいアイデアを形にしたいが資金が足りない場合、その商品やサービスの潜在的な利用者を募り、支払いを先に行ってもらう形で資金を調達するという使い方が一般的です。

クラファンで出資するときに考えること


今回は、クラファンに出資する立場として私が考えていることを整理してみます。
SNSでは、さまざまな人がクラファンを行っているのを見かけます。私自身、応援の気持ちで出資したこともありますが、少額であっても出資しない場合がほとんどです。私が出資の判断で考えるのは以下の3点です。

まず、公益性があるか。例えば猫の保護活動のために資金を募る、書店がない地域に図書館を作る、依存症患者のカウンセリング施設を作るといった目的であれば、出資者に限らず多くの人がその利益を享受できます。目的も、よい社会の実現にかなったものです。

しかし一方で、例えば個人的な旅行資金を募るというのは、公益性という点では少々疑問があります。旅行によって自己成長してさらに充実した仕事ができるというのは公益性が全く無いとは言えないのですが、それが通るのであれば、「自分の子供を医者にして社会の役に立たせたいので、子供の医大の学費を出資してください」とか、「世界旅行をして世界のグルメをインスタで紹介して日本の食文化発展に貢献したいので、旅費と食費を出資してください」というプロジェクトも通ってしまいます。いや、もしかしたら私が知らないだけで通っているのかもしれません。

二つ目は自助努力をしているか
最初から全てを人頼みにしていないか、ギリギリまで自分で努力をしているかを見ます。費用が300万円かかるとして、200万円までは自己資金でなんとかするので、最後の100万円はクラファンで応援してもらいたい、というのであれば応援したくなるのですが、最初から予算全額を目標額に設定していたり、それが集まらないのであればプロジェクトを中止するというのであれば、結局は自分の痛みは避けたいのだな、その程度の気持ちなのかな、と思ってしまいます。

三つ目は事業の透明性
少なくとも事業計画書、予算を発表しており、クラファンで集めた資金をどのように使ったのか、余った資金はどうするのか、会計報告をすべきでしょう。プロジェクトに関わりのない私的利用は好ましくありません。

それらが揃った上で、最後はその人への信頼の気持ちや応援の気持ちがあるかどうか、が最後の決め手になるかと思います。

需要と正しい時期を見極める

他によくあるケースとして、営業が行き詰まったカフェやレストランがクラファンで運転資金を募集するというものです。コロナ禍の営業自粛期間に多く見かけた話で、同情を集めて救われた店も多かったことと思います。

しかし、コロナ禍による営業自粛がなくなった現在でも、そのようなクラファンを呼びかけている事業者を見かけます。厳しい言い方ですが、経営が傾いたのは需要がなかったから、あるいは経営努力が足りなかったからではないでしょうか。うまくいっていない事業が資金調達できたとしても、根本的な経営を見直さなければ早晩また同じクラファンを呼びかけることになるでしょう。そのようなビジネスを延命させることに意味はあるのでしょうか。

また、挑戦者がそれをするのにふさわしい時期なのかどうかも見る必要があります。例えば無名なミュージシャンがライブハウスを借り切って単独ライブをしたいというプロジェクトがあるとしましょう。実力が伴っていれば、そのようなオファーは自然とやってくるはずです。あるいは、小さな会場ではファンが収まりきらなくなって、自然と規模が大きくなってくるはずです。夢を大きく持つのは良いのですが、実現を人頼みにするのは、まだ時期が早いのではないでしょうか。

気持ちよく応援したいから

私が最近支援したプロジェクトは、私がとても尊敬しているフルートの先生のCD制作プロジェクトでした。お礼としてCDを1枚いただけることになっているのですが、自分の分だけでなく3枚分の費用を応援しました。

ミュージシャンがCD制作費を集める場合、クラファンではなく先行予約で前払いしてもらうという形で資金を集めることもできるのですが、クラファンは応援している人の数や目標達成度が見えるのがファンとしては楽しかったです。ミュージシャンとファンが一緒にCDを作るんだという一体感が得られるのが良いところですね。

世の中に応援を必要としている人はたくさんいます。その中で、大切な資金を有効に活かしてくれるプロジェクトを正しく選ぶことは、とても大切です。

今度は、クラファンに挑戦する立場としての記事も書きたいと思います。それではまた次回!