金沢発信☆山田元一

金沢を中心とした北陸で、企業コンサルと金沢市の農水産物ブランドのコーディネイターをしています。以前は広告出版業『金沢倶楽部』の社長でした。金沢に住んで半世紀、変化の激しいこの街から見える様々な事柄を発信して行こうと思います。個人的な趣味ではありますが、ときどき書評や音楽評を投稿する時もあります。

昼と夜とでは訪れる人たちがまるで違う、金沢ひがし茶屋街

北陸新幹線開業以降、昼は観光客で賑わう「ひがし茶屋街」

金沢で平成以降急速に人気が出て来た観光スポットは、近江町市場、金沢21世紀美術館、ひがし茶屋街の3つです。ちなみに、昭和時代は、兼六園、長町武家屋敷、忍者寺が金沢3大観光スポットでした。

ひがし茶屋街は、江戸期の建築物の中でも特殊な造りの長屋の集積で、かつては全国主要都市にもあったのですが、そのまま現存しているのは金沢ぐらいとなり、今では全国的にも希少なエリアとなっているようです。

もともとここは花街ですから、酒や飲食と深く結びついているのですが、昼間はそのような雰囲気ががほとんどなく、建物の一部がカフェや物販店になった茶屋をのぞいて楽しむのが現在の観光になっています。

夜は地元市民が、飲み食べ集う場所へと進化

ところが、夜になると、ひがし茶屋街に市民がしずしずと繰り出してきます。茶屋での夜の宴席もたまにありますが、このエリアのバーやカフェ、蕎麦屋、焼鳥屋、寿司屋、レストランが一斉に灯りをともし、地元市民が席を埋めるのです。

予約困難店として知られる『鮨みつ川』

昭和の時代からある『茶房ゴーシュ』

寿司屋に行って、そのあと近くのバーに立ち寄る、という流れもこの界隈では自然で、ひがし茶屋街で食べて、近くの主計町茶屋街のバーに行く、という人も多いようです。

バーもワインバー、日本酒バー、カフェバー、ビールバーと業態も多様で、はしごをする市民も多いようです。

つまり、ひがし茶屋街は、金沢の夜の街の有力な一画になっているわけですが、そのことをほとんどの観光客は知りません。観光雑誌や観光サイトにそのような情報が載ってないからでしょうが、多くの市民はそれをよしとしている気分もあります。

ひがし茶屋街が夜の街になって来たのは17、8年ほど前からで、ある女将がワインバーを茶屋街の端に開業し、話題になって流行り始めると、陸続としてバーや飲食店が増えました。

ひがし茶屋街の一番奥にある老舗ワインバー『照葉』

ちょうど折しも町家ブームが金沢にも起こり、金沢市も町家保存の施作を打ち出して、補助金を付けるなどの動きが背景にあります。そして、2015年の北陸新幹線金沢開業で、ひがし茶屋街の夜開発は加速しました。

ひがし大通りにあるクラフトビール『オリエンタルブリューイング』

この界隈は「まちづくり協議会」があり、この協議会に認められないと勝手に出店はできないのですが、飲食店はすでにオーバーストア状況とのことです。