質実剛健。イギリスの靴はそのように表現されることが多い。そこにはイギリスの性格が反映されているが、靴の本場イギリスの性格は靴の性格とも言える気がする。
性格の違いということでいうと、イギリス、イタリア、アメリカ、時にはフランスと国ごとに靴の系統は分けられる。ラウンドやノーズや全体のフォルムなどで特徴分けされることが多いが、そういった話は専門家に任せる。とにかくスーツと同じように靴でもファッション大国ごとに特徴がある。
日本の靴はどうなのだろう?そんなことを思った時に日本の靴を履きたくなった。紳士靴だとシェットランドフォックスというリーガルの高級ラインに当たるブランドは持っていた。モードブランドに近いフットザコーチャーはここ数年ヘビーユースだが少し紳士靴というイメージではない。※個人の言葉の感覚だがドレスシューズではないというニュアンス
他にもいくつか名前だけ知っているブランドがあるものの欲しいと思いつくブランドがなかった。
先日、広島の若き靴磨き職人で世界にも羽ばたいてる友人のハルキ(安部春輝)がパリでの靴磨きから帰国し東京に少しだけ寄ってくれた。お茶をしていた時に彼にオススメを聞いた時に教えてくれたのがRENDO(レンド)。
▶︎RENDO(レンド)とは?
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浅草に工房兼ショップを構えるシューズブランド。オリジナルの木型を製作することから始めていて、履き心地を一番重視している。ファクトリーも浅草なので正真正銘メイドインジャパンならぬメイドイン東京。ブランドの由来でもある「連動」もそのあたりから来ているそうだ。
立ち上げた吉見鉄平氏はイギリスの学校で靴を学び、帰国後もずっと靴作りに携わってきた人物。僕が訪れた時にも店舗奥の作業エリアで黙々と仕事をされていた。元々はパタンナーということで木型製作からパターンまで引ける稀有な人物。それが靴の美しさに現れていることは素人の僕でも想像に容易い。
紹介してくれたハルキの言葉を借りると「アレだけのモノづくりで、あの価格はコスパ最強」とのこと。コスパというと安さが目立つ印象だがそうではなく、しっかりとしたモノづくりに対して適正価格であるということ。彼はグッドイヤーウェルトで本底に縫い目が見えない”ドブ起こし”をしている靴でこの価格帯は凄すぎると。
販売が店舗かネットのみなので実現出来ているのだろう。どんなビジネスでも間産業がないほうが価格は安いのは当然のこと。
▶︎実際に行ってみた!
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実際に浅草のアトリエにすぐ行ってみた。まず惹かれたのが工房自体(笑)
僕が本業でオシャレ賃貸のセレクトショップで働いてるから職業病ではあるのだが、なんせ物件がよかった。倉庫を改造したリノベは多くの人・企業が欲しがっている。RENDOのショップは入口側がショップコーナー、奥がアトリエ。アトリエがダイレクトで見れるのも雰囲気を作っている。天井の高さは空間に余裕を持たせているし、内装の工場感とブティック感のミックス具合も良い。壁のコンクリートブロックの白塗りはまさにタイプ・・・。あぁなんていい物件だとうっとりしていた。
話がだいぶそれたが、なんせショップも素敵なので浅草まで足を運ぶ価値がある。靴の種類は多くはない(良い意味で)そしてデザインも華美なタイプは一切ない。どれもかなりクラシックなデザイン。洗練されたクラシックデザインを感じる。クラシックすぎると野暮ったさを感じるが決してそんなことはなかった。木型から型紙まで一貫して作っていることによってこの洗練された雰囲気は出るのだろう。
実際に試着した感想としてはフィット感に驚いた。インターナショナルブランドやドメスティックブランドでも先が細すぎたり、甲が高すぎたり、左右の抑えの強弱が極端だったりと悩みがあるのが常だった。しかしそれがない。素晴らしい!
■感想■
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デザインはクラシックでありながら洗練された美しさがあり、履き心地も良い。バランスが非常に良く、育てていくのが楽しみな靴!またエイジングの経過はこちらで紹介してみようと思う。
最後になったが、こちらの吉見氏と少し話してみたが気さくに話して下さる方だった。浅草で職人でもあると聞くと少し構えてしまうが、飛び込みの外国人に写真撮影を快く快諾され、説明までされていた。職人というだけで構えてしまっていた自分は…笑
【店舗紹介】
RENDO(レンド)
住所:東京都台東区浅草7-5-5
アクセス:東京メトロ銀座線浅草駅より徒歩13分
TEL:03-6802-3825
営業時間:13:00~20:00
定休日:火曜日・水曜日
HP:https://www.rendo-shoes.jp
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【柳父豊(ヤナブユタカ)】
1989年大阪府生まれ。立命館大学の建築学科卒業後、内装系の上場企業で働く。2014年にお洒落賃貸不動産「R-STORE」や泊まれる本屋「BOOK AND BED Tokyo」などを手がける株式会社アールストアに入社。さらにその傍ら複業で”紳士の社交場”をコンセプトとした移動式ミュージックバー「ZIP CODE Tokyo」を共同代表として立ち上げる。2018年より「WASH&FOLD」を運営する株式会社アピッシュに入社し、現在は社長室室長として勤務する。
これで良いではなく、これが良いという審美眼を日々磨いている。座右の銘は『情熱と欲望と美学』で、ファッション・インテリア・音楽をこよなく愛する。現代の紳士“モダンジェントルマン”になるべく紳士道を追求中。
▶︎Instagram @yutaka_eye(https://www.instagram.com/yutaka_eye/)
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