拝啓
お元気ですか?
和歌山にはどんな観光地があるか知っていますか?
僕は初めて和歌山に来て、ガイドブックも持たずに連れてきてもらったので、どんなところがあるかしりませんでした。
それでも、現代は便利なもので、スマートフォンで検索すれば、だいたいのいわゆる観光地のようなところはみつかります。
その中に、友ヶ島という島には、戦時中の砲台跡があり、「天空の城ラピュタ」のような世界が広がる、とありました。
ケラくんが電話をして、船の時間を調べてくれましたが、13:50が往路の最終便ということでした。調べていた時にすでに13:00を過ぎていたので、
「ああ、流石に間に合わないかなぁ。」
と昨日も飛行機に乗り遅れたところだし、やめておいた方がいいかと思いましたが、ギリギリ間に合うんじゃないかということになり、行ってみようと、タクシーに乗り込みました。
タクシーの運転手さんは、昔は足立区に住んでいたらしく、僕たちが東京からきた、と話すと、嬉しそうに話をしながら車をぶっ飛ばしてくれました。
5分前に港に着き、乗船券を買い、舟に乗り込むことができました。
島なので、美味しい海の幸を出す定食屋さんがあるだろうと、海を眺めながら期待を膨らませましたが、お店はだいたい休みのようで、砂浜近くの海の家のカレーライスを食べました。
島の中は、雨のせいもあり、どんよりとした雰囲気が漂い、木もうねうねと生えていて、なかなか気持ちが沈みました。
雨に濡れてびしょびしょになりながらも、山の上の砲台跡地にたどり着き、真っ暗なトンネルを通りました。薄暗い砲台跡地にはカマドウマがたくさん集まっていて、ぞわぞわしておしりがきゅっとなる感じでした。
帰りの船の時間が迫ってきたので、慌てて山を下り、舟を待ちました。舟はひとがいっぱいで、座席には座れず甲板にも出れず、中途半端な位置で立っていました。
帰りは近くの駅から加太線の電車に乗りました。
加太線はめでたい電車という、ピンク色と赤を基調にした、座席に鯛のイラストが散りばめられ、つり革が魚の形をしているなんともめでたい電車でした。
Shingo Kurono