Yuka Koishi

イラストレーター、キャンプコーディネイター。 焚き火とお酒とカレー好き。 著書に「そうだ、キャンプ行こう!」(スタンダーズ)、「カメラ、はじめます!」(サンクチュアリ出版)、「日本酒語辞典」(誠文堂新光社) がある。

買う・使う、それだけで自分たちの住む場所を豊かにできる選択

今回は化粧品の話。わたしがもっとも苦手なジャンルの1である。

キャンプでは丸一日外にいるため、紫外線を浴びる時間が多い。日が暮れて焚き火を長くしすぎると少し肌が乾燥することもある。

そんなこともあり、日焼け止めクリームを含む化粧品のことを最近少し考えるようになった。

しかしわたしは通常女性がよく知るような化粧品ブランドも正直わからないので、インターネットの口コミで調べたり、友人に教えてもらったり、少し高めの化粧品やクリームを使ってみたり自分なりにもろもろ試してみた。

行き着いたのは、保存料、着色料、香料、石油系界面活性剤が不使用なもの

これが最近しっくりきているので、少し高値でも(意外と安い物が多いのだけど)選ぶようにしている。

 

もう一段階、広い視点でモノを選ぶ

ここまではよくある話だし、自分自身のことなので記事にする必要もなかったのだが、

先ほど述べた添加物が入っていないものとは別の「わたしが化粧品を選ぶ基準」がもう1つできた。

 

例えば、先日見つけた日本製の日焼け止めクリーム。

職業柄、OUTDOORって書いてあるとどうしても目に入ってしまい購入したものだ。

「NATURAL CREAM FOR OUTDOOR」

オーガニック由来成分配合のアウトドアクリーム。紫外線だけでなく、ブルーライトの人工光からも肌を守ってくれる。

もちろんこちらも先ほど述べたものは添加していない。

 

arome recolte ナチュラルアウトドアクリーム

実際に開けてみるとまず自然由来のいい香りがする。わたしは香水のような人工的な匂いが苦手だが、花の香りやフルーツの香りで気持ち悪くなることはない。

肌にすっとなじむのと、よく広がるので一度にたくさんをつける必要はない感じ。

日焼け止めクリーム特有のベトベト感というものもない。肌を保湿してるかのような気持ち良ささえも感じるからすごい。

 

「なんだかいいものを買ったなぁ」と思ったので、この販売元を知りたくて少し調べてみた。

 

”日本に生まれ、日本で育ち、日本人であるからこそ”のものづくり。

時代に合わせた柔軟な発送で、日本の技を守りたい。

(カタログから抜粋)

 

 

WANOWAのフェイスパック

その精神のもと作られている商品の1つとしてフェイスパックがある

後継者が軽減してきた「国造ゆず」の伝統と「香り」のものづくりをかけあわせた新しい試みだ。

パッケージの日本の地図にある赤い点は、その採れた香りの地域を表している。

ほかにも、森林組合と協力して、ひのきの葉と枝を拾い集めて、それを蒸留し精油を抽出すつことでひのきの香りを閉じ込めたクリームなどがある。

 

また、WANOWAというブランドにはこう書かれている

その土地だから、その土地で暮らす人々だからつくることのできる農産物や伝統。
そこには失うには惜しい貴重なモノや技術、物語が詰まっている。
残すために、私たちに何ができるのか。
私たちは地域の「農産物・伝統」と「香り」のものづくりを組み合わせることで、日本中・世界中にその存在を発信することができるのではと考えた。
多くの人が商品を使うことによって、その地域の人々の生活が安定し、持続的なものづくりができる。
多くの人が目にする機会が増えれば、その地域に興味を持ってくれる人もきっといる。
そして私たちは、その地域の農産物や伝統をこれからも楽しんでいくことができる。
次へ、また次へ。紡ぎ続けることができる。

 

香りを感じ、自然を思い、その自然で働く人たちを思う

匂いは記憶中枢の一番近い場所にあると言われている。

ふっと香りをかいだ瞬間、頭のなかに日本の自然が浮かぶに違いない。

 

自分の肌をいたわりながら、森やゆずの香りを感じ、日本の自然を思い、その自然で働く人たちを思う。

なんて素敵な循環なんだろう!と打ち震えてしまった。

 

文明社会において、自然は勝手にできているわけではない。自然を生業にする誰かがいて、それを守り、森と人が共存しあえる循環があるからこそ、今の自然があるのだと思う。

わたしたちの暮らしも、実は多く自然に支えられていることに時々ふっと忘れそうになるけれども、

決して忘れてはならない。

 

毎日使うものこそ、自分たちの世界を豊かにする選択をしたい

 

自分の肌を守ることが、自分たちの住む場所を守ることにつながるかもしれない。

そんなワクワクするものを毎日つけれるのは幸せなことだ。

 

どうせお金を使うなら、自分のためだけよりも、もうちょっと気持ちよく、

誰かのためになる選択を少しずつ増やしていけたらどんなにいいだろう。

 

急には難しいかもしれないし、わたしだってそんなに毎日考えていられない。

ただ時折、100個ある身の回りの道具のなかから1個だけでも

そんな気持ちがいい選択をしたモノがあれば、

自分も、そして誰かも、自然も豊かになれる。

 

相変わらず化粧品に詳しくはないけれども、そんな1つの自分の基準ができたら

苦手なジャンルの買い物も楽しくなった。