スズキリ

1993年7月7日生まれ、テキスタイル育ちのデザイナー。アダ名はスズキリ、屋号はネクトン。釣りと魚が好きすぎて、寿司のブランドを立ち上げ中。 https://twitter.com/suzukiri_s

メゾン寿司の生地作り。田辺織物をご紹介!

こんにちは。スズキリです。

おそらく初めましての方も多いと思うので簡単に自己紹介しますが、普段ファッション領域を中心に活動しているデザイナーです。メゾン寿司の立ち上げも頑張っています。

メゾン寿司の公式サイトがオープンしました!→ MAISON SUSHI

メゾン寿司とは?

そもそもメゾン寿司は何か?というと、「フジヤマテキスタイルプロジェクト」という、産地の生地メーカー(以下、機屋-はたや-と表記)と美大生が手を組んで一緒に面白い作品を作りましょう!という企画から生まれたブランドです。

一般的にこういった企画は「学生が見学に行きアイディアを投げる→メーカーが形にする」くらいの規模で終わってしまうことが多いですが、フジヤマテキスタイルプロジェクトの場合は多いときは週5レベルで機屋さんに通い、織機や機材のことを教えていただきながら何度も何度も何度も作り直しいいものを追求するという愛と情熱で10年以上続いているプロジェクトなんです。

基本的には産地に刺激を、学生に経験を、という目的であくまで「作品づくり」をメインに行われていますが、卒業生の多くはそのままコラボ先の機屋さんに就職し、その中でブランドを立ち上げています。

メゾン寿司の場合はコラボ先の田辺織物さんが座布団のメーカーというのもあり、本業を大切にしていただきたいので生地の製造を依頼し、僕が個人でブランドを立ち上げる形になっています。依頼というとあっさり聞こえてしまいますが、寿司の生地は僕と田辺さんで数えきれないほどの失敗を繰り返しながら2年以上かけて共同開発したもの。他の場所では実現できなかったと思います。

今回は、そんな田辺織物さんの工場を紹介していきます!

工場というと工業地帯にそびえ立つ建物をイメージするかもしれませんが、田辺織物さんは自宅の敷地を改装しているのでぱっと見は普通の一軒家。中に入って奥に進むと機械がたくさん!という環境で、初めて行くと驚きます。

「メゾン」はアトリエや会社という意味で様々なブランド名に使われていますが、元々の語源は「家」なんです。田辺さんの家から生まれる寿司たち、という意味を込めて「メゾン寿司」と名付けました。

 

 

工場の様子。これは本業である座布団を作っているところです。

 

 

作る生地の仕様によって、毎回ギアを組み替えます。

 

いつでも使える状態の糸たち。コットン、ポリエステルを中心にそれぞれ番手があります。メゾン寿司の場合は耐久性や発色の良さから、富士山の湧水で染めたリサイクル素材のポリエステルを使用しています!

 

糸はこのように織機にセットします。これは田辺さんが得意とする金襴という生地に使われる糸。ご覧の通りキラキラしています。これがどうなるかというと、

 

 

こうなります!このキラキラ、お寺の座布団などで目にしたことがあるのではないでしょうか?

 

 

メゾン寿司ではこれを応用して、イカやブリ、光り物といったネタを本物のように光らせています。

 

そしてこれは、果物ネットを被せられた糸たち。糸が出て行く際に暴れるのを防ぐために田辺さんが閃いたものです。僕はこういうところが大好きです!

 

 

選んだ糸は、順番にここへ通していきます。メゾン寿司のシャリは特殊な構造のため、白だけで何本も使います。

織物は何千、何万本ものタテとヨコの糸が組み合って作られます。ここまでで紹介したのは緯糸(ヨコいと)というその名の通りヨコから通す糸。

 

このおびただしい数の経糸(タテいと)に緯糸(ヨコ糸)を通していき、寿司ネタの柄を作るわけです。これ、機械でやっていると思われがちですが全て1本1本手作業でセットしています!

 

1本1本は本当に細い糸ですが、こうして見ると筋繊維のようにも見えます。ジョジョでいうとストーン・フリーがどんな感じかイメージしやすくなりますね。

 

糸の張り具合を確かめる田辺さん。この経糸(タテいと)、寿司のようにギミックが仕込まれた生地や密度の偏った生地を織ろうとするとブチブチ切れてしまうんです。

そのため、サンプルや展示用は無理やり作ることもできるのですが何百、何千個と量産することを考えると織機や経糸(タテいと)に負荷をかけない構造を考えなければいけません。

量産には適してるけど発色がイマイチ、、綺麗だけど量産には不向き、、などそれぞれの寿司ネタでだいぶ苦戦しました……。

製品版は全ての問題をほぼクリアしていますが、今後もより良いものにするため随時バージョンアップを行っていきます!

 

 

そしてこれは紋紙(もんがみ)と呼ばれる織機の型紙。印刷でいうと版、立体でいうと金型のようなもの。

これを機械が読み取り、生地の織りを制御しています。写っているだけでものすごい量(数千枚)ですが、これでなんと座布団1枚分の型紙です。そのため田辺さんの倉庫は大変なことになっています。

メゾン寿司の場合は違った仕組みで作っていますが、それもまた紹介します。

 

田辺さんの座布団は1枚ずつ丁寧に仕上げられています。

メゾン寿司のクッションカバーも

先日投稿したクッションカバーもここで生まれています!

 

 

最後に、赤身が織られている様子を紹介します。僕は完全に見慣れてしまいましたが不思議な光景ですよね……。

 

田辺織物代表、田辺さん

さて、そんなこんなで寿司を絡めつつ製造元の田辺さんの工場を紹介してみました。

毎月第3土曜日にはオープンファクトリーということで、工場の見学や製品の直売を行ったりしているのでぜひサイトをチェックしてください!(お休みの場合もあります)

寿司の裏話も話してくれるかもしれません。

田辺織物公式サイト

 

 

僕が企画した「コップの座布団」作りのワークショップも行っています。富士山観光がてら、ぜひ富士吉田に遊びに行ってみてください!

 

メゾン寿司は11月発売予定です!