hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

輸入ビジネスの国際送金を安くする方法

輸入ビジネスにおける、各種送金方法のメリットとデメリット

要約:海外送金はTransferWiseがお得です! 各種ある国際送金方法のメリットとデメリットについて説明をします。

こんにちは、東京と京都に2店舗の楽器店を経営しているケルトの笛奏者のhataoです。

私が経営する楽器店では、ギターやベースといった一般的な楽器ではなく、ケルト音楽とよばれる、ヨーロッパ北西部の伝統音楽で使われる楽器を扱っています。

http://www.celtnofue.com/

日本ではめずらしい楽器ですが、最近はドラマやCMで笛やバグパイプの音を耳にすることが多くなりましたので、きっとみなさんも聴きなじみがあることでしょう。

そんな輸入業ビジネスを10年ほど営んでいる私にとって、国際送金は、やり方によってビジネスの効率を左右する非常に重要な要素であると考えています。今回は国際送金のいろいろな手段と、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。

海外送金の主な3つの手段

私の楽器店では、問屋を通さずに海外メーカーや職人から直接楽器を輸入しています。
相手国は10カ国は下りません。

支払いにはいろいろな方法があります。取引先が楽器店であればクレジットカード、個人であればPayPal、メーカーであれば銀行間送金というように、取引先が希望する決済方法に合わせることが多いです。

それぞれの決済方法にはメリットとデメリットがあります。安全性を除けば、最も考えるべきは送金手数料と為替レート。この連載では、簡略化してお伝えします。

●クレジットカード

一般の消費者に広く普及しており、海外サイトで買い物をしたことがある方には馴染みがある決済方法でしょう。

カード決済の利点は、第一に処理が速く、相手側で即座に支払いが確認できることです。第二にお互いの銀行口座情報を把握する必要がなく手間が省けることです。またカード会社が送金を仲介するため、商品が届かない等の問題があった時に対応してくれることがあります。

なにより私が個人的に一番嬉しいのはクレジットカード会社のポイントが付くことです!

私は、プライベートも合わせると年間500万円以上カード決済を利用します。楽天カードではカード利用に対して1%のポイントが付くので、利用ポイントだけでも5万円以上がつくことになります。獲得したポイントはコンビニやガソリンスタンドなど、街で利用することができます。事業をしている方は、決済にカードを使うとプライベート・ライフが充実してお得です。

一方で支払いを受ける事業者側には手数料がかかります。私が店舗で利用している決済代行サービスでは決済金額に対して3.4%ほどの手数料がかかりますし、入金のタイミングが最大で半月ほど遅れますから、事業者としては現金払いがありがたいですね! 当店では、店舗での5万円以上の買い物に対して現金支払いをしていただけたら、お好きなCDを1枚プレゼントしています。そのほうがお互いに得なのです。

クレジットカードのデメリットは不正利用のリスクがあることです。

セキュリティ対策が施された第三者サイトで決済するのであれば安心ですが、取引先によってはカード情報を直接メールで送るように頼まれることがあります。

相手にカード情報を伝えてしまうと、相手側はいつでも決済ができてしまうので、不正利用されてしまうリスクがあります。絶対に信頼できる取引先であったとしても、メールがなんらかの理由で流出することも起こりえます。そのため、メールではなくファクスでカード情報を送るとか、異なる2つのメールアドレスに情報を分散して送るように言われることもありますが、やはり相手にカード情報を知らせるのはリスクがある行為でしょう。

 

●PayPal

PayPalは、かの事業家イーロン・マスク氏が創業したサービスです。

送金先の口座情報を知らなくてもメールアドレス宛てに送金ができ、即座に相手に現金を送ることができます。以前は銀行送金で数日かかっていたものがすぐに届くので、ビジネスのスピードが格段に速くなりました。

また、買い手保証のサービスがあり、海外との取引でトラブルがあった場合、資金を戻してもらえることがあります。

PayPalは送金手数料無料をうたってはいますが、カラクリがあります。それは外貨の交換レートが市場よりも高めに設定されていることです。

また、受け取る側には一定の割合で手数料がかかります。以前に韓国の取引先から支払いを受けたときに高額な金額が手数料として差し引かれており、受け取り口座としては使えないなと感じました。つまり、送金側と受取側の双方にとってコストがかかる仕組みになっているのです。また、ポイントのようなものもありません。

事業者が受け取り用にPayPalを利用するメリットは、クレジットカード決済のセキュリティ技術の導入が不要であることだと思われます。

 

●銀行間送金

海外送金業務を行っている日本の銀行から相手先の銀行口座に送る、商用の海外送金では王道の送金方法です。

私の取引先の多くは銀行間送金を希望します。銀行送金に必要な口座情報は、相手国と利用する銀行によって異なります。たとえばアメリカであればRoutingという銀行番号と口座番号が必要だったり、アイルランドであればIBANというものすごく長い番号が必要です。

その他にも送金先住所、送金先銀行の住所が必要な場合があります。これらは請求書に書いてあることもありますが、なければ問い合わせて教えてもらわなくてはいけません。

私は昨年までゆうちょ銀行の国際送金が主な送金手段だったのですが、ゆうちょ銀行ではサービスや料金が頻繁に変わっています。

4年ほど前までは送金業務を行う ゆうちょ銀行の支店窓口に行かなければならず、送金手数料として2,500円必要でした。毎回送金ごとに送金先と自分の口座情報をすべて手書きしなくてはならず、窓口の行列に並ぶのにも送金処理にも時間がかかり1回の送金に1時間はかけていましたから、忙しい時には大きなストレスでした。

その上に送金が届くまで3営業日ほど必要なので、ビジネスのテンポがどうしても遅くなりがちです。窓口に並ぶことも含めて、ずいぶんのんびりした時代の送金方法だったのだと感じます

進歩した点もあります。

3年ほど前からゆうちょ銀行ではオンライン・バンクでの海外送金が可能となりました。書類の手書きや列に並ぶ必要が無くなったのは大きなメリットです。しかし手数料が3,000円に値上がりしました。そして昨年から窓口からの送金手数料が7,500円に値上がりしました。海外送金業務はコストに見合わないので縮小したいということなのでしょう。

オンライン・バンクでの海外送金は送金できる上限が100万円までなので、金額の大きな送金は分割払いし、何回分もの手数料がかかりました。

手数料がこんなに高額では、年間を通じてかなりのコストになります。少しでも安い方法にしようと、送金手数料が1件1,750円だった楽天銀行の海外送金も利用していました。しかしこちらは年間の送金上限が合計500万円で、すぐに限度額に達してしまいました。そんな折、TransferWiseのことを知りました。

 

TransferWiseは超便利!

TransferWiseを知ったのは昨年2020年でしたが、日本では2016年9月に認可されたとのことです。その仕組みに詳しいわけではありませんが、直接相手国の口座に送金する従来の方法ではなく、二国間の送金リクエストを集めて、それぞれの国の中で送金を完結させることで手数料を安く押さえるという仕組みだそうです。そのため、資金は三菱UFJ銀行のTransferWiseの口座宛てに送金をします。利用者としては国内送金で済むというわけです。

TransferWiseのメリットは、なんといっても安いこと。ゆうちょ銀行であれば送金額に関わらず1件の送金に対して手数料がかかっていました。たった1,000円の送金でも3,000円かかるのです。それに対してTransferWiseでは金額に応じた手数料計算となります。ですので、小口の送金をする際にも気軽に送ることができます。

手数料が変動するということは、高額な送金の場合にはかえって高くつくことがあります。例えば100万円を送金する際には、手数料がゆうちょ銀行の3,000円を超えてしまうことがあります。すると一見ゆうちょ銀行のほうが手数料が安く済むのではないかと思うでしょうが、それは2つめのメリットに関係してきます。

2つめのメリットとは、TransferWiseでは利用する為替レートがかなり安いということです。市場レートに近いレートで送金ができます。為替レートの良し悪しに関しては、PayPalが最も高く、次にクレジット・カード、次に銀行の国際送金、最も安いのがTransferWiseという順番だと感じます。

以前に100万円ほどをアメリカに送金する際に、試しにゆうちょ銀行とTransferWiseとで金額を比較してみたのですが、手数料はTransferWiseのほうが高いものの、為替レートを考慮すると総合的にはTransferWiseのほうが安いという結果となりました。

それ以降、銀行間送金は一切取りやめて、TransferWiseのみを利用するようにしています。商品の原価計算をすると、TransferWiseを利用した輸入ではどの相手国に対しても原価が安くなっており、今では取引先がPayPalを希望してきた場合でも、相手側に手数料がかからないメリットを説明して積極的にTransferWiseを利用するように勧めています。

今のところTransferWiseのデメリットはまったく思いつきません。そのくらい、私はTransferWiseが気に入っています。

海外送金は進歩し続けている。常にベターな選択を探そう

以上のように輸入ビジネスではさまざまな送金方法を利用しています。私がTransferWiseを知った時、日本でのサービス開始からすでに4年が経過していたわけで、もっと早くから利用していれば、大きな金額が節約できたことと思っています。今後はPayPayのようにスマホで送金する感覚で海外送金ができるようになるのではないかと思っています。

ビジネスに限らず人生全般において、知っているか知らないか、するかしないかという少しの違いが、結果的に大きな差を生み出したり、勝敗を決することが多いと感じています。

古いやり方に固執せずに機転をきかせて行動を変えて行けるのがスモールビジネスの強みです。今後も新しいサービスにアンテナを張ってよりベターな方法を探し、実践していきたいと考える次第です。