hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

東京店の移転を無冠帝でお祝い。開業から1年半で移転に至った経緯とは

こんにちは! ケルトの笛奏者で楽器店経営者のhataoです。

暖かな春を感じるこの頃ですが、私を苦しめるものが2つあります。それは花粉症と確定申告です。共感していただける方も多いのではないでしょうか。

そんななか、希望あふれる出来事がありました。私の楽器店「ケルトの笛屋さん」東京店がマンションの小さな部屋から広く綺麗な路面店に移転したことです。

前回の連載では東京進出にマンションでの出店を選んだことをお話しました。マンションはあくまでも仮設の店舗としてとらえており、いずれは正式なお店に移転するつもりではいましたが、2019年9月の開店からわずか1年半での移転となりました。今回はその経緯についてお話します。

隠れ家のような楽器店

逆説的ではありますが、旧東京店は開業当初から来客を想定した店舗ではありませんでした。そもそもマンションであるミュージションを借りての店舗営業は許可されていません。店長がそこに住んでいるからこそ、ぎりぎり許可が得られたのです。

店舗とは言っても、ミュージションの規定により外に看板を掲出できないため、普通の住宅にしか見えません。そのため集客はホームページとSNSだけが頼りでした。またマンションの4階という入りにくく人目につかない立地と6畳ほどの狭い店舗スペースという条件のため、契約当初から多数の来客を迎えられる環境ではないことは十分承知していました。

最初から赤字を覚悟していたため、家賃の助けにしようと楽器店の営業時間外は練習スタジオとしても営業をしました。近隣の自宅で楽器が練習できない方が通ってくださり、わずかの収入にはなりました。

予想通り開業以後はほぼ赤字続きでしたが、私はそれでも継続する意義があると考えていました。希少なケルト音楽の楽器を首都圏でじかに見て買うことができるという存在感は大きいですし、少しながら常連のお客様もついていたからです。

コロナ禍で来客が激減

そんな低空飛行の東京店の移転を決意するきっかけになったのは、やはりコロナウィルス感染症の流行です。

開業から半年経った2020年春、コロナ感染症のため緊急事態宣言がたびたび出され、その期間はお客様が激減、一人も来客がない日も珍しくありませんでした。私は感染症の時代を生き抜くために経営の効率化とスタッフの配置転換が必要だと感じていました。

当店は管楽器を扱う楽器店です。これまではお客様が来店して試奏して買ってくださることが多かったのですが、今後は感染症を恐れて来店や試奏のお客様は激減するでしょう。

今後店舗での売上が減っても事業を継続するためには、家賃などの固定費をさらに低くする必要があります。その中で負担感があったのは東京店です。東京店をもっと安くて広い場所に引っ越し、出荷の拠点としていた滋賀のアパートを解約して機能を東京店に移せば、仮に店舗での売上が立たなくても東京店が存続できると考えました。

スタッフの担当業務も効率化が必要でした。当時は私を除いて3人のスタッフがおり、2人は京都と東京の店舗でそれぞれ販売業務を、もうひとりは滋賀県で通信販売の出荷業務を担当していました。

滋賀県の出荷担当者はもともとはウェブや動画作成、顧客対応を得意としており、それほどスキルがなくても行える出荷業務を誰かに託して本来の業務に専念したいという希望も聞いていました。倉庫と店舗を統合するという案には、スタッフ全員が同意してくれました。

移転先はSNSで募集

そこで、最初に行ったのは物件探しです。不動産アプリで条件を入力し、良い物件が出てこないか2週間にわたりチェックをしたのですが、やはり「現在よりも安く・広い」というのは都合が良すぎるのでしょう、まったく見つかりませんでした。このとき、いったん東京から撤退することも考えました。それは私にとって敗退を意味します。スタッフも撤退は望んでいませんでした。

次に思いついたのは、不動産市場に出てこない空き部屋と空き家です。首都圏には空き家が多いということをニュースで知っていたので、人に貸せずに持て余している不動産オーナーがいるのではないかと考えました。そこで、私はツイッターで2020年の夏に以下のようなつぶやきをしました。

するとフォロワーからすぐに反応があり、とても良い物件をご紹介してもらえることになりました。この物件との出会いには偶然が重なり、とてもドラマチックな展開になったのですが……。そのお話はまた機会を改めます。

そうして物件との出会いから半年。家をそっくり作り変える大規模なリフォーム工事が無事に完了し、2021年2月末に無事に引っ越しをすることができました。

移転で多くの問題が解決

こうして旧東京店と滋賀の倉庫という2つの場所が統合された、新しい東京店への移転が成功しました。これにより家賃負担は大きく削減され、スタッフの配置もスリム化、おまけに東京店店長の居室も広く快適になりました。

今回はコロナ禍が決め手となり移転を決断しましたが、結果として最善の着地点を見つけることができたようです。運とタイミング、そしてご縁に感謝しています。

東京店の引っ越しは私含むスタッフ3人で行い、新居への入居日に店長にはお祝いに菊水酒造さんの看板商品である「無冠帝」をプレゼントしました。なんと店長の丸山君は、菊水酒造さんと同じ新潟県の出身です。最後に、丸山店長からのご挨拶で今回の原稿を締めくくりたいと思います。

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こんにちは!ケルトの笛屋さん東京店の丸山と申します。

日本で初めてのケルト音楽専門楽器店「ケルトの笛屋さん」の東京支店として、 これまで西東京市で営業していました。

そしてこの度、お隣の東久留米市にリニューアルオープンすることになりまし た。hataoさんや京都店の店長も駆けつけてくださり、あっという間にお引越し が完了。2月27日から営業を開始しています。

引越し準備のさなか、hataoさんから開店祝いとして「無冠帝」をいただきまし た。早速いただくと、とてもスッキリとしていて飲みやすい!ほのかな甘味があ り美味しいです。実は私は新潟県出身で、私はもちろん家族や親戚みんなお酒が 大好きです。菊水酒造さんのお酒もよく飲んでいました。このご時世なのでしば らく新潟に帰れていないのですが、このお酒を飲んで懐かしい気持ちになりました。

ケルト音楽は、日本の民謡と雰囲気が似ていてどこか懐かしさを覚えるという方 も多いようです。そんな不思議な共通点を感じながら、新しいお店での毎日を頑 張ろうと思えました。

ケルトの笛屋さん東京店は、毎週(金)(土)(日)(祝)の13時~18時に営業しています。初心者の方に も素敵な楽器との出会いが見つかるようお手伝いさせていただきます。お近くに お越しの際はぜひ遊びに来てください!

https://celtnofue.com/shop/tokyo.html

(東京店公式ホームページ)

 

次回はこの物件との出会い、そしてリフォームについてお話をします。