史佳

新潟出身の三味線プレイヤー。9歳より津軽三味線の師匠であり母でもある高橋竹育より三味線を習い始め 2000年よりプロ活動をスタート。新潟を拠点に国内外で演奏活動を行ってきた。古典を大切なベースとしながらも、伝統芸能の枠を超えた新しいニッポンの音楽を目指し、現在、ニューヨークを拠点に移し三味線芸術の新しい境地を開拓している。 YouTube公式チャンネル :https://www.youtube.com/channel/UCDcEsCsEsKHs6Oyv-i83Nfw

向き合い得られる恵みに感謝を

7月7日七夕__。

酒米菊水の田植え(5月7日)から、ちょうど2ヶ月が経過した。

私が泥ダイブした場所も、問題なく稲が育っていてホッとした(笑)。
この日の一週間ほど前には、新潟県全域で大雨が降り、この田ごと水に浸かったのだが、幸運にも大事な稲に被害はなかった。全国的に、例年より早い梅雨明けにより、ここ新発田市もすでに酷暑である。苗の成長は物凄く早いものだが、今年は特にその成長スピードが早いように感じる。

早速、そのたくましく風に揺れる稲たちに、三味線の音色を聴かせようと意気揚々と三味線を弾き始めたが・・・。
開始1分で、演奏の手が止まった。(笑)こんなことは、三味線人生で初である。

灼熱の太陽が容赦なく襲いかかり、膝が焼けるように熱く、三味線も糸巻から棹までも、何もかもがとにかく熱い。
この炎天下での演奏は、想像を超えてハードなものであった。そんな空前の暑さの中ではあったが、何とか2曲ほど演奏を続けた。

時折吹く風が、神風となり、稲も三味線の音色に合わせて一斉にダンスしていて嬉しそうだった。私と三味線は日焼けをして、一段とたくましくなった気がする。次回は、天の川の下で・・とはいかないかもしれないが、夜に演奏することになりそうである。秋の稲刈りまで、できる限り三味線の音を聴かせたいと思う。

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さて、2020年4月に公演予定であった、ロン・カーターさんを招致してのコンサート「LEGEND OF STRINGS」は、コロナ禍の為、2年半に渡り中止・延期となっていたが、ついに2022年8月14日(日)、振替公演が決定した。

この2年半の間も、菊水酒造の皆様からの多大なご支援があったからこそ実現できるものであり、心から感謝を申し上げたい。この間、本当に様々な困難に直面してきたが、その大小に関わらず、ひとつひとつ皆で知恵を出し合いながら乗り越えてきた。去年のニューヨークカーネギーホールでのロンさんとの初共演も含め、コロナ禍で行動したその渡米経験がなければ、今年の振替公演は実現しなかっただろう。

そう思うと、どれほど大きな目標でも、今できることを考え行動し続けること。その毎日の積み重ねが大切であると痛感する。真の演奏家としての仕事、そしてその方法論を導いてくれたのは、このコロナ禍だったからと言えるのかもしれない。

猛暑や豪雨にも耐え、神風を感じて楽しそうに体を揺らす七夕の稲は、私に色々なことを思い出させてくれた。自然と向き合い、その結果得られる恵みに感謝を忘れてはいけない。

 

その姿を目に焼き付け、いざ、最高のステージへ__。