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発酵文化研究所(運営:株式会社Career Lab) 自身の経験から、日本人の身体に合う伝統的な「発酵食品」を手軽に続けられるようレシピ提供、ワークショップ、食育・腸活アドバイス、各種商品開発を行う。 発酵・酒粕料理研究家/上級食育アドバイザー/腸活アドバイザー

味も見た目もさまざま。ご当地の雑煮

こんにちは。
発酵文化研究所です。

日本には地域によってさまざまな食文化が存在します。

それらは、とても美味しく意味のあるものばかりで、
その奥行きの深さを知ると、
生まれ育った地域でなくても懐かしく尊いものに感じます。

今回は年末直前ということもあり、
日本各地の「雑煮」を一部ご紹介させていただきます。


①私が選ぶ個性的な雑煮

こちらで紹介するのは各地域でも一般的なものです。
必ずしも、こうでなきゃではなく、
各家庭によって個性があるのが良いところ。
色々とアレンジしながら楽しむきっかけになればと思います。

・青森県八戸:くじら雑煮
くじらとじゃがいもが特徴的。
なかなかの個性ですが、くじらの風味と脂で温まります。
比較的、くじらを食す地域で育ちましたが、
雑煮に入れるという発想はなかったので驚きでした。
餅:角
汁:すまし
具材:くじら、じゃがいも、根菜類

・千葉県九十九里:はばのり雑煮
これまたシンプルに名産の「はばのり」だけという雑煮。
豊かな香りと緑色は、海への感謝を感じる一品。
色々と具材を入れて楽しまれる方もいらっしゃるようです。
餅:角
汁:すまし
具材:はばのり

・奈良:きなこ雑煮
きなこ??と不思議に思われる方も多いかと思いますが、
お椀から餅を取り出し、
別皿のきな粉につけてたべるという超個性派。
白味噌ベースと相まって、とても美味しいそうです。
餅:丸
汁:白味噌
具材:大根、人参、里芋、豆腐、削り節、きなこ

他にも岩手では胡麻ダレ、
熊本では納豆などに絡めて食べる文化もあります。

・鳥取:小豆雑煮
私には、ぜんざいにしか見えませんが、
味も同じように甘くする家庭が多いようです。
邪気を払うとされる小豆を年の始まりに食べる。
とても縁起の良い習慣です。
餅:丸
汁:すまし
具材:小豆

・香川:あん餅雑煮
これもまた衝撃でしたが、あん入りの餅を入れる珍しい雑煮。
名産である高級和三盆を、こっそり楽しむために生まれたとか。
エピソードは、かわいいですが味は確実。
甘味と塩味がマッチしてクセになる方も多いようです。
餅:あん餅(丸)
汁:白味噌
具材:大根、金時人参、あおさ

・長崎(島原):具雑煮
県を代表する名物として有名ですが、
島原の乱を支えたというだけあって、
日本一、具材が多く栄養バランスの摂れた雑煮ではないかと思います。
各家庭によって入れる具材は違いますが、
ボリュームたっぷりなのは共通。
島原に行かれた際は、ぜひお試しください。
餅:丸
汁:すまし
具材:鶏肉、魚、葉野菜、根菜、かまぼこ、凍り豆腐、きのこなど

いろいろと個性はありますが、
共通しているのは地産地消であることです。
わざわざではなく、身近なものを活かして楽しむ
改めて気付かされました。

②唯一無二。我が家の雑煮でハレの日を楽しもう

不思議なことですが、
私の雑煮は、いろいろな地域が融合しているようで、
同じものを他で見たことがありません。

出汁は骨付き鶏。
餅は丸餅を必ず焼いて、
具材は出汁を取った鶏肉、
ブリ、エビ、大根、人参、里芋、ほうれん草。

白濁した鶏の出汁に焼いた餅の香ばしさ、
根菜から出た甘味を楽しめる雑煮は特別。
これが我が家の雑煮です。
手間はかかりますが、それだけの価値があります。

このように、こうでなくてはいけないと決めず、
おいしく楽しく食べられるようにアレンジし、
「雑煮」という食文化を楽しめたらと思います。

とあるアンケートによると、
毎年、雑煮を食べる人は約7割。
中でも30代以下になると6割を下回るという結果。

確かに無くても問題なく過ごせてしまいます。
特別な準備も、とても手間に感じます。

ですが、日々の生活の中で、
日常(ケの日)と特別な日(ハレの日)を分け、
ハレの日の非日常を感じることは心を豊かにしてくれます。

それは、日々多忙な環境下でも、
気軽に手間を掛けず楽しむ、
新しい「ハレ」の形からで良いのではないでしょうか。

そうした時を身近に感じ、大切にしているうちに、
もっと興味を持ってしまう時がくるでしょうし、
これまでとは違う楽しみ方の繰り返しにより、
食への興味が高まること間違いなしです(*^-^*)