史佳

新潟出身の三味線プレイヤー。9歳より津軽三味線の師匠であり母でもある高橋竹育より三味線を習い始め 2000年よりプロ活動をスタート。新潟を拠点に国内外で演奏活動を行ってきた。古典を大切なベースとしながらも、伝統芸能の枠を超えた新しいニッポンの音楽を目指し、現在、ニューヨークを拠点に移し三味線芸術の新しい境地を開拓している。 YouTube公式チャンネル :https://www.youtube.com/channel/UCDcEsCsEsKHs6Oyv-i83Nfw

史佳Sake project ー酒造り 仕込み・米麹造り編-

11月29日早朝、菊水酒造に到着。今日は、米麹造り、本仕込みという重要な作業を体験する。

菊水酒造の作業着も妙に似合っていて、蔵人仮採用中の史佳である。
本採用に向けて、酒造りのセンスが問われる重要任務である。(笑)

日本酒作りのフローは、大きく分けて、二つのステージに分かれる。
ステージ1は、酒母を造る工程。酒母=酛(もと)のことである。
酛とは、良いお酒造りの元を指し、水、蒸米、米麹、酵母を混ぜ合わせて造られる。この酒母は、前もって11月18日頃に仕込みがされていた。

今日はステージ2、本仕込みである。
酒母の中に、米麹、蒸米、水を加え、三段仕込みの最初の仕込みである初添(はつぞえ)を行う。
三段仕込みは4日間の工程で行われ、1日目に初添、2日目に踊り、3日目に仲添(なかぞえ)、4日目に留添(とめぞえ)と続く。

いよいよ作業に取り掛かる。早朝から節五郎蔵は、蒸米の蒸気でとてもいい香りがしていた。
蒸米の入った大きな釜を重機で持ち上げて、併設されているベルトコンベアーのような機械の場所まで移動する。
パラパラと落ちてくる蒸米を布でまとめていく。蒸米は10袋くらいになり、準備完了。

酒母が入っているタンクに移動して、初添に初挑戦。
事前に作られていた米麹、蒸米、最後に水の順にタンクに投入する。
あとは発酵の香りを感じながら、櫂棒(かいぼう)で勢いよく攪拌させる。スムーズに初添の仕込み完了である。

あとの3日間は、蔵人さんにお任せすることになるが、どんなお酒の味になるのか、想像が膨らんでくる。

本日のもう一つの重要な作業が、米麹造りである。今後の仕込みに使う米麹を造る。

麹室(こうじむろ)と呼ばれる部屋に入り、蒸した酒米を平らに広げていく。
酒米は粘り気がなく、手袋をした手にこびりつくことがないため、スムーズに作業が進む。
お米を平らにする作業の音がギュッ、ギュッと、耳に心地よく響いた。

蒸米の温度を下げる作業(ひっくり返しなど)をこなし、いよいよ、麹菌を振る作業である。
蔵人しか出来ない門外不出の作業
である。
少し遠慮がちに麹菌が入った缶を振っていく。緑がかった菌が、白いお米に舞い降りるのがわかる。
最後にこの蒸米を一塊にまとめ、寝かせて米麹にする。

締めくくりは、節五郎蔵に史佳の三味線を持参しての初演奏。

麹菌を振りかけた蒸米、タンクに入っている酒母・初添に、たっぷりと三味線の音を伝える。
タイミングよく酒蔵見学に来ていた観光客の皆さんが、この場面に遭遇し、ガラス越しに笑顔で拍手を送ってくれた。
さながら、三味線酒造コンサートとなったが、思いのほか音響が良いことに驚いた。

良いお酒の元となってくれることを期待したい。
年末にはいよいよ、搾りの瞬間が待っている。