MASAKO TAKANO

写真作家/美容師 美容専門学校卒業後、国内の美容室に勤めた後、2006年美容師として渡仏。帰国後も数多く海外を周り、旅の中で撮りためた写真を集めたビジュアルブック「More Than Words」を2015年出版。国内のセレクトショップをはじめ、NYの老舗ブックストア SPOONBILL & SUGARTOWN, BOOKSELLERSでも取り扱いされている。日々のふとした瞬間、ちいさなあたたかいことを綴っていきます。

あの時

ある人は「ターニングポイント」と表し、ある人は「節目」と呼んでいた。

みんなそれぞれにどんな形であれ、「あの時」がある。
人生の記念日や転機もいつかあの時になるんだろう。

久しぶりにスカッと晴れた日曜日の朝。
今日はこんな写真撮影の依頼を受けた。

依頼主の彼女とは長い付き合いで私の初めてのヘアメイクのモデルさんでもあった。
最初の撮影から15年以上経って、こんな記念となる写真を撮らせてもらえるとは。
それにずっと彼らを見てきている分うれしさも高まった。
赤いリップカラーを今日も私は無意識に選んでいて、あの日も彼女に同じ色をつけたなーと懐かしくなった。
彼女はこの写真はこの子のために撮りたかったと笑っていた。

いつかこの写真を片手に「あの時」にあたる出産をした母である彼女、父である彼がお腹の赤ちゃんに今日の出来事を聞かせる日が来て、いつか赤ちゃんが大人になった時、両親から聞いた「あの時」の想い出話をお酒を飲みながら大切な人に話す日が来たりするんだろうなと想像すると、今日の写真は続いていくタイムカプセルの中に入れるギフトを用意しているような気分だった。

「あの時」とは意識的に踏み出した大きな一歩や人生のビックイベントを呼ぶこともあれば、振り返ってから「あの時」だったと感じることもあるね。
どんなことでもその人にとってあの日やあの時期に起こってくれた「あの時」になっていく。

それが例えば当時は苦い味がしたとしても、繋がっていく先には気持ちの良い空気しかないんだなーと最近の聞いた話や幸せな報告と今日の笑顔とが相まって確信に変わった。
そんな時を何度も繰り返してまわりまわって繋がって、またどんどん幸せな空気になっていくんだろうな。

そして、
だれかの「あの時」になっていくことに関われるってこんなうれしいことはないや。
いつかこの写真がまた笑顔に繋がっていってくれたらいいな。
今日の空は一段時気持ち良かった。

あなたのたいせつにしている「あの時」の話、聞かせてね。

素敵な依頼をありがとう。
とってもうれしかったです。
がんばれよー♡

Masako.

 

 

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