あれほど大量の瓢箪がある家を他に知らない。
玄関を開けると左手の壁に大きな瓢箪がぶら下がっていた。1メートルはあるのではないか(あるいはもっと大きかったのかもしれない)という、見事な(といっても問題ないと思う)瓢箪だった。
大きく緩やかなカーブは中心部あたりで一度きゅっとくびれ、またゆるやかに広がっている。
家の至るところに賞状がかけられており、「日本瓢箪会」だったか「瓢箪連盟」から発行されたものだった。
まだ幼い僕は、その祖父が作った瓢箪が賞を受けるほどの瓢箪だということを(というよりも書き初めや写生大会以外に瓢箪についての賞があるということも)知らなかった。
ただ、瓢箪がたくさんあるなぁと思っていた。
むしろそんなことも考えたことはなかったかもしれない。そのくらい自然に、瓢箪はあった。
見事な瓢箪といっても、その選考基準は大きさや、いかに真っ直ぐと伸びているか、くびれの美しさなど、様々な観点があって(たぶん)、いかにして育てるかというのはなかなか根気のいる作業だったに違いない。
日光に当たる時間や、水やりを適切に調整しながら大きく育て、乾燥させる(のだと思う)。
この夏帰ったらゆっくりと眺めてみよう。