hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

スモールビジネスの非常事態への備え

こんにちは! ケルト音楽専門の楽器店「ケルトの笛屋さん」を経営している、フルート奏者のhataoです。この連載では私のようなスモールビジネスの経営に興味のある方に向けて、私の経験やアイデアを発信しています。

法人化で節税のメリットを実感

昨年9月に節税のために合同会社を設立したことを本誌で報告しました※。会社法人化することで私は個人事業主から会社役員となり、毎月自分の会社から役員報酬をもらっています。報酬金額をこれまで個人で稼いでいた年収よりもずっと低く設定したので、累進課税制度により所得税や住民税、健康保険料が安くなりました。

※2021年10月記事「ひとり社長になりました! 法人登記の経験をシェア(前編)

具体的な金額を明かすと、これまで私は健康保険料約10万円を毎月徴収されていたのが、約3万円になりました。また所得税も月数千円になり、節税効果を実感しています。同じだけ稼いでいても会社の仕組みを使うことでこんなにも優遇されるのは制度の抜け道のような気がしますが、合法的な節税策として国が認めているのですから利用しない手はありません。個人事業としてある程度の売上があれば法人化を検討してみてください。私はあと1年早く決断すべきでした。そうしたら100万円以上も手元にお金が残ったでしょう。

働き盛りの世代にとって割高に感じる健康保険料。特に私は体が丈夫なので、あまりに高いと払い損のような気分にもなります。病気どころか風邪すらほとんど引かず、病院にかかるとしたら歯科の定期検診くらい。それはひとえに日頃から健康増進に意識を向けて取り組んでいるためでしょう。個人事業主や社長は体が資本です。体が壮健で頭が明晰であれば、何歳まででも稼ぎ続けることができるのです。

何が起きてもビジネスを続けるために


そんな私でも恐ろしいのは災害や国の危機です。日本はもとから地震、台風、噴火、豪雨と、毎年災害に苦しめられています。それに加え、最近はすべての物資が値上がりし、インフレが加速しています。

災害やハイパーインフレで日常が壊れてしまえばビジネスどころではありませんから、健康と同じくらい関心を持って、非常事態に備えています。

人一倍怖がりな私は、ニュースで災害に苦しめられる人を見るたびに自分のことのように心を傷めて不安になります。一日で家も財産もすべてを失うなんて、あまりにツラすぎます。そのため、何が起きてもすべてを失わないように考えて生活やビジネスを構築しています。

例えば弊社スタッフはたった4人ですが、3箇所に分かれて住んでいます。商品在庫も2つの店舗と1つの倉庫に分かれています。どこかの地域で災害が起きても、すべてを失うことはありません。働けるスタッフと残った在庫でビジネスを続けられます。

私の非常事態への備え

2011年の東日本大震災をきっかけに私は防災意識を高めました。私自身は直接何の被害も受けませんでしたが、災害は他人事ではありません。関西地方も南海トラフ巨大地震のリスクがあり、また日本海の原発銀座が爆発したら関西は人の住めない地域になってしまいます。東日本大震災で東北の人々の身に起きたことは、誰の身にも起こりうるのです。

そこで私は以下のような備えをしています。

・すみか

都市部では買い占めが起きたりインフラが打撃を受けると生活ができなくなるため、実家や友人の家など、離れた地域でいつでも生活できる拠点を作っておくと保険になるでしょう。さらに、リモートワークで収入が得られれば避難後も生活基盤を作りやすいです。

私は都市部と山間部に2つの家を所有しており、それぞれの移動のための自家用車と備蓄用ガソリンを確保しています。どちらの家も生活できるようにインフラや生活物資を整えており、片方の家が使えなくなっても、もう片方の家ですぐに生活ができるようになっています。また昨年はキャンピングカーを手に入れました。これは平時は仕事用ですが、非常時には生活拠点として活躍します。避難所ではプライベート・スペースの確保が難しいので、自由を重視する私は防災目的を兼ねてキャンピングカーを所有しました。

※2021年11月記事「2年待ちのキャンピングカー「テントむし」がついに納車。

・食料

真空パックの長期保存玄米を50kg備蓄しています(私一人なら1年分以上です)。使っては買い足す「ローリングストック」をしています。

梅干しは戦国時代から重宝された優れた栄養保存食で、自家製のものが10kg以上あります。熊野の家には梅の木があり、毎年実が大量に取れるので、原料となる塩も10kg備蓄しています。塩・砂糖は腐りませんし、小分けできて物々交換にも有利ですから備蓄しておくと良いでしょう。

乾燥丸大豆は20kgありますが、保存が効く味噌にしてしまおうと思っています。とりあえず米・味噌・梅干があれば生存は可能ですが、保存食の乾物やサバの水煮缶があれば豊かな食卓になります。他にサプリとしてビタミン・ミネラル錠剤やパウチの栄養ドリンクも大量に常備しています。

・水

水は命を支える最も重要な物資です。人間は食べなくてもある程度の日数生存できますが、水が飲めなければ3日と持たないそうです。断水してしまってはその場所では生きていくことができません。私は飲料水を2ℓペットボトルで40ℓ分を備蓄、また給水所で水汲みができるようビニルタンクも60ℓ分あります。熊野の家には飲用可能な沢水が山から湧いているので、心強いです。飲用できる水源は田舎といえど希少なのです。

・日用品

コロナ禍が始まった頃、マスクやトイレットペーパーがスーパーから姿を消したのを目撃した経験から、物資というのは危機になるとあっという間に手に入らなくなることを学びました。

私は2つの家にトイレットペーパー、ティッシュペーパー、マスク、乾電池、シャンプーやリンス、食品用ラップ、衣類用洗剤、食器用洗剤、使い捨てライター、ゴム手袋、ごみ袋、ポリ袋、シャンプー、ボディソープ、石鹸、乾電池、カセットコンロ、紙皿を半年分備蓄しています。

・燃料

電気が使えない状況でも煮炊きできるように、カセットボンベを数十本備蓄してローリングストックしています。熊野の家の周囲は森なので、薪が尽きることはありません。薪ボイラーの風呂釜と薪ストーブがあるので、入浴と暖房は確保ができます。ガソリンは、携行缶20ℓを満タンにして熊野の家と兵庫県の家の両方に置いています。ガソリンの使用期限は半年なので、ローリングストックします。

・電気

以前は停電時に電気を得るために、ガソリンで発電機を動かすくらいしか選択肢がありませんでした。しかし最近は家庭用の大容量電池が安く高性能になりました。私はJackery(ジャクリ)のポータブル電源1500wを買いました。冷蔵庫や電子レンジも使える大容量で、家のコンセントのほか車からも走行充電ができます。別売のソーラーパネルを使えば、1枚で11時間、2枚をつなげれば5時間半でバッテリーがフル充電ができます。これで災害時や車上生活での電気には困りません。

・移動手段

キャンピングカー、原付、使っていない自転車があります。原付は乗らないので手放そうと思いますが、自転車はいつでも使えるように整備しておきます。

・資金

複数の銀行口座に現金資産を分散し、投資信託や小規模企業共済など複数の金融商品に分散投資、数種類の外貨現金を金庫に置いています。

ハイパーインフレでは都市部の不動産が強いと言われていますので、これまで借家だった都市部の家を大家さんと交渉して取得しました。また、損してもよいくらいの金額を暗号通貨に振り替えようと思っています。もちろん、店の楽器もインフレ時には現物資産として価値を発揮するはずです。これで仮に日本円が暴落してハイパーインフレになってもすべての資産が失われて露頭に迷うことはないでしょう。

健康がすべての基本

日頃あまり防災や備蓄をしていない方は、私の備えぶりに少々驚かれたかもしれません。怖がらせるつもりはありませんが、先行き不透明な現代、備えるに越したことはありません。幸いにして何もなく平凡に過ごせたとしても、備えは無駄にはなりません。

これらの備えは自分の安全保障のためであり、また世の中がどうなってもビジネスを続けられるためでもあります。財産や住居を失っても、生き残って働けさえすれば復活は可能です。それには健康であることが絶対条件。健康でなければイザという時に逃げられませんしね。

そのため健康的な生活習慣を心がけて、毎日運動して鍛えています。

もうすぐ東日本大震災から11年の日を迎えるこの機会に、皆さんも、何が起きても不幸に陥らないように日々の備えをしておきましょう!

それではまた次回!