hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

お客様からの問い合わせに真剣に答えることの効果

スマホ・ネットから離れて生産性アップ

こんにちは、ケルトの笛を吹いていますhataoです。
都市部から和歌山県の山間部に拠点を移してひと月が経ちました。

最初の数週間は、こちらの生活に適応し暮らしをセットアップするために大変で、毎日、庭仕事、ホームセンターで買い物、温泉…のローテーションで日々が終わってしまいましたが、庭仕事も少し落ち着き、ここでの生活のペースがつかめるようになりました。

山の中からでもスタッフへの連絡、お客様へのサポート、発注や送金などはすべてネットを使ってできるので、1ヶ月経った今のところ仕事への支障は出ていません。都市の自宅もそのままあるので、ここでできないことは、2つの家を行き来しながら処理すれば問題はありません。

今は、誰とも会わない・温泉と買い物以外にはどこにも行かない暮らし。

張り合いがなくなりだらけてしまわないように日課を決めました。早起き、ラジオ体操、読書、語学学習、楽器練習…といったありきたりの日課ですが、規則正しく暮らすと心身の健康にも役立ち、日々成長を実感できます。

このような暮らしは都市生活でもできたはずなのですが、これまでできなかったのは、ネットとスマホのせいでした。

都市生活では寝入りと寝起きに30分SNSをチェックして、起きたらすぐに1時間くらいメールの返信をして、休憩にYouTube動画を見て、練習や読書の間であっても集中が切れるとパソコンを開いて調べ物をしたり買い物をしたりメールを書いたり。これでは勉強も仕事もはかどらないのは当然でしょう。
山の家は携帯電話の電波圏外で、モバイルWi-Fiは10分運転して温泉までいかなくては通信できません。そのため、電話やメッセージで中断されたり、気が散ってスマホやパソコンを開くということはありません。
自宅でメールを書き溜めて送信の準備をしておき、夜に温泉に入ったあとにパソコンをネットにつないで車の中で送ります。

ネットに接続する時間を制限することで生まれた、深い充実感

単にネットに接続する時間を制限しただけなのに、今の生活には深い充実感があります。このようにネットから「逃れられる」場所は、今は飛行機や船の中を除けば、都市生活者にとっては貴重なのではないでしょうか。

この家をいつか貸し別荘にすることがあれば、創作や練習に打ち込みたい芸術家や作家には需要がありそうな気がしています。

コロナが収束して都市に帰ったら、この習慣が維持できるのか……全く自信がありません。またすぐにネット・スマホ中毒に戻るでしょう。ここにいる間に自律して、良い習慣を体に染み込ませたいと思っています。

写真は今後、改装予定の築100年くらいの古民家。

お問い合わせに真剣に答えていますか?

今回は、最近の仕事上の気づきをお伝えします。ブログの読者で、フリーランスや個人事業でご商売をされている方もいらっしゃると思います。

お客様からの問い合わせに、どのように対応していますか?

僕は笛の演奏家・講師のかたわら楽器店も営んでおり、そのすべての方面で問い合わせは日常よく受けます。音楽に関係する仕事ですから、「~の楽譜はありますか」、「~の曲の吹き方を教えてください」、「このYouTube動画の楽器は何ですか」、「楽器による違いは」など本当にたくさんの種類の問い合わせを日々いただきます。

こんにち私達の持っている連絡手段は多く、メール、電話、SNSのコメント、Line@などたくさんの窓口を持っている方もいることでしょう。お客様にとっても同様で、手紙や電話でしか問い合わせができなかった時代を思えば、丁寧な挨拶や自己紹介なしでも聞きたいことがすぐに聞ける環境があるわけですから、問い合わせが増えるのは当然です。

予約や注文の連絡であれば利益に結びつくので即返答は当然ですが、質問は利益に結びつくとは限りません。「また質問がきた、面倒くさいな」とか「業務のあとで時間があれば答えよう」と邪魔者扱いしてしまっていませんか?

私は、どんな問い合わせであれ必ず、即座に返信し、できる限り丁寧にお答えするように心がけています。自分がわからないことであれば調べたり聞いたりしてお答えします。回答はもちろん無償でしていますが、もし有償のレッスンでしかお答えできないことであれば、レッスンをご案内します。

やりとりの中からご注文やレッスンのお申し込みに発展することもありますが、利益を度外視して対応しています。

●お客様の質問に全回答することのメリット

このような質問に答えることを何年も続けてきた結果、以下のようなメリットを感じています。

・自分自身が成長できる

質問に回答するには、知識を整理して言語化し、相手にわかりやすく伝える工夫をしなくてはいけません。これにより知識が記憶に定着し、また思考を伝わりやすく言語化する練習にもなります。

・知識が増える

知らないことを聞かれたときに、できるだけ調べて答えるようにしています。これがきっかけで新たな知識を得ることがあります。また、「~の主題歌の楽譜はありますか」とか「誰々の製作している楽器についてどう思いますか」と聞かれたことがきっかけで、自分の知らない曲や職人を教えてもらうこともあります。

・信頼度が上がる

ときどきツイッターでエゴサーチをかけるのですが、「以前SNSで問い合わせに丁寧に答えてくれたから、ケルトの楽器を買うならケルトの笛屋さんに決めています」と書かれているのを見つけることがあります。こちらとしては回答した結果注文につながっているのかどうかを確認することはできませんが、このような声を見つけると、誠実に回答して良かったなと感じます。

・アウトプットのネタになる

質問を数多くいただくと、だいたいの傾向がつかめてきます。楽器を購入するときに浮かぶ疑問、楽器を始めたての初心者がつまづく技術的な問題などです。すると、教則本などの文章を書く際やレッスンで教える重要なポイントが整理されて、より効率的にアウトプットができます。問い合わせによって、自分も学ぶことが多いのです。

・蓄積によって回答の効率アップ

これはちょっとした仕事術です。問い合わせに回答する際には、メールの件名に
「FAQ:○○の件につきまして」と書いて、スタッフも読める店の代表メールアドレスにCCをつけてお客様に送っています。

FAQというのは ”Frequently asked question”(よくあるご質問)の意味ですが、件名はなんでも構いません。
この件名で数ヶ月おきに受信箱で検索をかけて、その内容を店のホームページの「よくあるご質問」のコーナーに回答集として掲載します。

このページが充実すればするほど、同じような問い合わせは減らすことができますし、また同じような問い合わせがあったときに、この回答集を案内したり、コピーしてお送りすることができます。結果的に問い合わせを減らし、回答スピードを上げることにつながります。

必要なのは「お客様の役に立ちたい」という気持ち

このようなメリットを得るためにすることは、たったひとつ。「お客様の役に立ちたい」と思い、行動するだけです。商品やサービスについて1から10まで全てをマニュアルのように細かく書いてホームページで説明する必要はありません。そんなことは不可能です。

ですが、例えばお客様に「この商品のサイズや重さはどのくらいでしょうか?」と聞かれたら、調べて答えてそれをホームページに載せる。

ちょっと面倒くさいですが、このような習慣にすると決めるだけで、自然とホームページは充実し、お客様が見やすい・分かりやすいページに変わります。

日頃お客様の問い合わせを受けるお仕事の方は、ぜひ、取り入れてみてください。