さなえごはん

いつものごはんにひとつまみのときめきを。 お料理を、作ったり考えたり伝えたり届けたり。 アルコールの優先順位高めで生きてます。                    ◆Twitter http://twitter.com/sanae_foodgeek ◆Instagram http://Instagram.com/sanaegohan

旬の食材練習帖「うど」「うるい」-2022春編-

四季の変わり目って確実に年4回くるのに、なぜこんなにも浮足立ってしまうのか。

ずいぶんと生きてきたことだし、もうそろそろ慣れてもいいんじゃない?って自問するくらい、
浮足も立てば、頬もゆるむ。

だけど、ふと気づいたのです。

こんなにも食い意地を原動力に生きているのに、
味のイメージや調理アイディアが沸かない旬食材があることを。

気づいたからには、そんなぼんやりな食材に取り組んでみようじゃないか、というのが、
この練習帖のテーマです。

失敗上等!の心意気で、「へぇー!」「ほぉ…」などと独り言ちながらのチャレンジです。
どうぞ、適当にあたたかい目で見守ってくださいませ。

 

今春のテーマは「うど」「うるい」

春の旬食材と言えば、山菜。
その中で、「うど」と「うるい」を、今回の課題としました。

どちらも手に取って不安を覚えるほどの、調理のみならず味の経験値不足具合。
そんな中、挑戦の始まりです。

 

■うどとたこのじっくりロースト

うどは、皮をむいてきんぴら・さっとゆでて酢の物などが定番料理の様子。
あく抜きや皮むきが必須なのかなぁ…と、いろいろと調べていたら、
「オーブンで焼いたら、皮ごとおいしく簡単に食べられた」という情報を発見。

というわけで、フライパンでじっくり焼いてみることに。
たことの組み合わせは、完全なる勘です。

にょろり、もふもふ、かわいい。

 

うどは、根元の茶色い部分をそぎ落とし、包丁の背で太い方から細い方へ撫で上げて毛を取り除きます。
適当に斜め切りしたら、うすくオリーブオイルをひいたフライパンにのせて塩少々。

たこも加えて蓋をして、弱火でじっくり30分ほど火を通してみました。

結果、うどがこんなにジューシーに⁈という驚きの仕上がりに。
まさか、素材そのものの水分が口中に広がるような食材とは思っていなかった。

たこは、もう少しやわらかくなるかなと思っていたけれど、程よい食感にはなって、
うどと口に入れた時の感じも好み。

ただ、山菜らしい独特の風味は感じられなくなったので、
こんな風に火を通したものと、生食する料理を並べると、対比ができて楽しいかな。

 

■うるいとほたるいかの梅桜ソース

 

しゅっと、緑あざやか、かわいい。

 

うるいにはかなりびっくり。
山菜一派にしてはアクも癖もなく、生でも抵抗なくサクサクっと食べられる。
どうしようかと、逆に考え込んでしまいました。

茹でると特徴的な「ぬめり」とほんの少しの風味が感じられたので、その方向でいこうと決定。

梅干しに桜塩漬けを合わせるこのソースは、数年前に考えて気に入っている組み合わせです。
叩いた梅干しに、水で塩抜きした桜花塩漬けを刻んだものを混ぜ、
ほんの少しの水でのばすだけなんだけど、春の食材に添えるのにぴったり。

前回のテーマとリンクしますが、桜花塩漬けの活用に、このソースもかなりおすすめです。

 

さっと茹でたうるいの水気を絞り、
目玉と軟骨、くちばしを処理したほたるいかと盛ってソースを添えて。

これは、とても簡単に旬を満喫できるひと皿になりました。
うるいは春山菜のビジュアル担当だな。色もフォルムも、なんともかわいらしい。

 

 

春食材練習帖ー後記ー

 

よく分からないものは、まずはネットで調べて、そこで見つけた方法で対処してしまいがち。
だけど、調べた上で、自分の感覚に一度問うてみることって、
スキップしない方がよいのではないかと思っていて。

害がなさそうなら生で食べてみる。焼いてみる。茹でてみる。

それらを、自分の反応や感想に耳を澄ませながらしてみることで、
「自分の経験」になり、アイディアにつながるような気がしています。
これって料理に限らない話だなぁ。

「初めての経験」って、なかなかできなくなってくるので、
季節の変わり目をチャンスに新たな挑戦をしてみるのは、なかなか楽しいものでした。