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発酵文化研究所(運営:株式会社Career Lab) 自身の経験から、日本人の身体に合う伝統的な「発酵食品」を手軽に続けられるようレシピ提供、ワークショップ、食育・腸活アドバイス、各種商品開発を行う。 酒粕料理研究家/発酵マイスター/上級食育アドバイザー/腸活アドバイザー

日本各地の発酵食品 vol.4 フグの子糠漬け

こんにちは。
発酵文化研究所です。

今回は日本の保存食文化である糠漬けの一種である、
石川県の伝統食品、
ふぐの卵巣の糠漬けを紹介させていただきます。


①ふぐの卵巣の糠漬けとは

多くの方が、そんなの食べられるの?と思われます。
実際に、お話ししても皆さん半信半疑。

それは当然ですよね。
なんといっても、ふぐの卵巣には、
あの猛毒とされるテトロドトキシンが含まれ、
1匹のフグの卵巣で、大人10人程度が亡くなる程と言われています。

ですから、飲食店などでも、
厳重に鍵をかけて保管し、処分されるほど慎重に扱われています。

そんな猛毒ですが、これがまた、
糠漬けによる微生物の働きで、解毒されるというのです。

ただ、この解毒効果。
謎に包まれた状態で、現代でも詳細は解明されておらず、
江戸時代から続く手法や原料を変えることなく・・・
というよりも、変えることができず引き継がれているのです。

そんな伝統的な解毒方法。
工程は、とてもシンプルです。

【解毒の工程】
1,卵巣を約1年、塩漬けにする。
2,水洗い
3,糠と麹で漬ける

たったのこれだけです。
ただ、その手作業はとても大変なこと。

それを一つ一つ丁寧に作業してくださる方や、
目に見えない微生物の働きに感謝しかありません。

いつも、いただく時に思うのですが、
どうして食べようと思ったのか・・・
完璧な解毒が生み出されるまでに何があったのか・・・

とても気になってしまうのですが、
それは、私だけでしょうか(笑)


②ふぐの卵巣の楽しみ方

では、そんな猛毒が多量に含まれるフグの卵巣、
美味しいのか疑問ですよね?

わざわざ、そんな猛毒のフグの子を食べる必要があるの?
と、思われるかもしれません。

ですが、これがまた美味しいんです。

独特のプチプチ感に糠の香りと酸味が相まって、
お酒やご飯に合うのはもちろん、
パスタにもピザにもアレンジできる優れものです。

少し乾煎りして、ごはんにふりかけたり、
混ぜて、おにぎりにするのも美味しいのですが、
チーズとの相性も抜群だと思っています。

「たらこ」や「明太子」の代わりに、
チーズトーストにするのも手軽でおすすめですが、
私はピザにするのが大好き。

塩味を抑えたトマトソースに旬の野菜とチーズを乗せて焼くだけ。
とてもシンプルですが、発酵による贅沢な香りのピザに仕上がります。

どうしても和の物と合わせがちですが、
こうしていただくとワインやビールとの相性も良く、
みなさんに喜んでいただけています。

解毒や保存の関係で塩分は高めですので、
一度に大量に使用するものではありません。

ですので、手に入ると卵巣の皮から身を外し、
ほぐして保存用袋に入れ、冷凍庫で保存しています。

こうしておくと、食べたい時に冷凍庫から出し、
ちょこっとつまんで、ご飯や野菜にパラパラと使えて便利です。

ちょっと恐いイメージですが、
とても貴重で伝統的な発酵食品です。

出会われた際は、ぜひお試しください(*^-^*)