横断歩道を渡ろうとした時、三宿通りの反対車線を走る渋谷行きのバスが2台続けて出発するところだった。
季節はあまりにも急ハンドルで秋に向かっている。
夏休みが終わり、新学期が始まると同時に、「ささ、今日から新しい季節ですよ。夏休みの楽しかった思い出も、日焼けの後も昨日でおしまいです。」と言わんばかりに湿気のない風が通り抜けて行く。
時計の跡が白く残った腕を眺めながらバスを待つ。
「夏休み、やっと終わったよぉ。」
行きつけのカフェのカウンターの端に座る女性が言っていた。
SHINGO KURONO