史佳

新潟出身の三味線プレイヤー。9歳より津軽三味線の師匠であり母でもある高橋竹育より三味線を習い始め 2000年よりプロ活動をスタート。新潟を拠点に国内外で演奏活動を行ってきた。古典を大切なベースとしながらも、伝統芸能の枠を超えた新しいニッポンの音楽を目指し、現在、ニューヨークを拠点に移し三味線芸術の新しい境地を開拓している。 YouTube公式チャンネル :https://www.youtube.com/channel/UCDcEsCsEsKHs6Oyv-i83Nfw

寄り添い、そして花を添える酒

今年も残り一ヶ月余りとなった11月下旬。新潟は、この一週間大荒れ続きだ。
横殴りの雨で、傘は全く意味をなさず崩壊。仕方なくビショぬれのまま、家路に着く。
これからの3ヶ月は、青空を拝むことがほとんどできない新潟。
また今年も一番過酷な時期がやってくる。毎日のように曇り空の日々が続き、気持ちが沈んでしまう人たちも多い。

そんな大荒れの日ではあったが、ニューヨークから半年ぶりに帰郷した私には、この雨がどこか懐かしく、ホッとしていた。10月17日のカーネギーホールでのコンサートは、本当に演奏したのかな?夢だったのかな?という思いがしばしば巡ってきて、未だ夢か現実かわからない錯覚に陥る。やはりそのくらい奇跡的だったということなのだろう。

さて、帰国後二週間待機ということもあり、ひとりぼっちの夕食がしばらく続いた。まずは、一人鍋。寒さが過酷にはなってくるが、鍋が美味しい時期になってきた。


お供には、ふなぐち菊水一番しぼりスパークリング(ふなスパ)。だしの効いたおでんや鍋と合うのはやはり日本酒だ。まずは、ふなスパを一口。微炭酸が口の中に広がり、その後にふなぐちの香りとフルーティな甘さが伝わる。派手さを抑えた比較的すっきりとした爽やかな味わいなので、水炊きなどの素材の味を活かしたシンプルな鍋にピッタリだ。
シャンパングラスやワイングラスに注いで、スパークリング日本酒としても楽しむことができるのではないだろうか。鍋パーティの乾杯酒としてもおススメである。

帰国後最初の二人会

さて、二週間待機も終わり、一番楽しみにしていた二人会に行ってきた。ジャンルは違えど、お互いの仕事を尊敬し、高みを目指して切磋琢磨できる同志の存在は、本当に心強い。帰国後の最初の二人会は、寿司と決めていた。新潟で寿司と言えばここだと決めているお店がある。ここでは、‟新潟らしい”お寿司を食べることができる。鮮度抜群の地元素材とこだわりのシャリとのバランスが絶妙で、もちろん味も最高だが、決して敷居が高いわけではなく気負いを感じさせない。そのすべてが一流だ。

寿司に合うと言えば、すっきりとした味わいの辛口。‟菊水の辛口”を燗で飲むのもありだなと思っていたところ、ここで突然のサプライズ!なんと、私の一番すきな‟無冠帝”を特別に用意してくれていたのだ。 なんて粋な演出だろう。芸術を感じさせる寿司と気配り。最高の居心地の良さはやはりこの‟間合い”なのだ。

‟無冠帝”のふっくらひろがる旨味と、寿司の味を邪魔しないすっきりキレのあるテイスト。おいしい寿司と、冴えるキレの中に優しい甘味の無冠帝で、さらに会話の花は咲いた。

どんな料理にも寄り添い、私にとっての嬉しい日にいつもさりげなく花を添えてくれる、そんなお酒だ。

ニューヨークでの半年は、私の既存の思考領域を越える変化をもたらしてくれた。ホンモノはいつも想像の一歩先にある。その経験を、新潟の文化芸術発展のために活かしていきたい。

堅い話は、また年末にゆっくりするとして、今宵も大荒れの新潟、ふなぐち菊水一番しぼりの緑缶新米新酒で、おでんを頂くとしよう。