こんにちは! ケルト音楽専門の楽器店「ケルトの笛屋さん」を経営している、フルート奏者のhataoです。この連載では私のようなスモールビジネス経営に興味のある方に向けて、私の経験やアイデアを発信しています。
長い冬がようやく終わり、春の訪れを五感で感じるこの頃。草花の美しさは言うまでもなく、暖房をつけなくて良いってなんて快適なのだろう! 陽が長くてなんて気持ちいいんだろう! と日々、春を楽しんでいます。春っていいですね。
毎年この時期に私の山小屋の改装工事をしています。今年は築100年とも言われる小さな古民家の改装に着手しました。
この家は現在住居としては使っておらず、生活は隣にあるもう一軒の家で営んでいます。古民家は、「人が集い楽しむ家」というコンセプトで改装しています。
20人程度収容のコンサートができるリビングスペース、開放的な土間キッチン、グリルやオーブンを備えた庭、ウッドデッキといったリゾート・コテージを目指しています。予算の都合により3年計画で改装します。
今年はリビングスペースを改装しました。ロフトベッドを付けて、宿泊にも対応します。
さて、今回の連載は「ベストな顧客コミュニケーション・ツールは何か?」です。あなたのビジネスでは、お客様とどんな連絡手段を用いていますか?
今回は、各種ツールの長所短所や顧客目線で喜ばれるツールについて考えてみます。解説の後には、主観的な評価も付け加えています。
1,「伝統的な」連絡手段、手紙や郵送
私がビジネスを始めた10年前まで、物理的な郵便は現役のツールでした。
名刺をもらったらお礼状を書くようにビジネス・マナーでは推奨されていましたし、データ資料をCD-Rに焼いて郵送していました。また、手紙を送るのにプリンタの印刷では失礼だとか、手書きのほうが気持ちが伝わると言われており、お店のお客様に手書きのDMを送るのも店員の大事な仕事とされていました。
スマホや光回線での高速通信が一般化した現在では、こうした手紙文化は衰退してしまったでしょう。また、今でも請求書や領収書も捺印(!)と郵送が基本ですが、最近では捺印を省略して電子データでのやりとりを受け入れる風潮ができつつあると感じています。
私個人としては、手書きや郵送は非常に面倒で手間暇がかかると感じています。このブログのように4000文字の文章を手書きしていたら、貴重な午前中をすべて使っていたでしょう。
また、切手を買ったりポストまで歩く時間と手間も多大なコストと精神的負担になります。受け取る方も、開封したり処分や保管する手間がかかります。確実性については、家族が勝手に開封したとか処分したとかいうリスク、誤配や配達員による紛失のリスクもあります。書留を使えば確実に相手に届きますが、値段も上がります。
手紙のほうが気持ちが伝わると言っても、書き手と受け取り手の間には配達日数という時差がありますから、同じ気持ちを共有するのは難しいでしょう。今でも官公庁や学校など、郵送でしか書類を受け付けないところも多いのですが、こういった理由から生産性が圧倒的に低いので、弊社では生産性向上のために積極的にペーパーレス化を進めています。
連絡速度 … ★☆☆☆☆ 配達をのんびり待ちますか?
確実性 … ★★☆☆☆ 誤配や遅延リスクあり
気持ちの伝わりやすさ … ★★☆☆☆ 雑な手書きはむしろマイナスかも…
生産性 … ★☆☆☆☆ 1通の手紙を書いて送るのにかかる時間と言ったら!
総合評価 … 丁寧だが面倒臭い。デジタルに置き換えるべき。
2,「相手の都合おかまいなし」電話
かつて電話が好まれた時代がありました。贈り物をもらったらすぐに電話しなさい、お礼や謝罪は必ず電話でしなさい、「報・連・相」は電話で……など。しかし皆が忙しくなった現代、電話は最も嫌われるツールと言えるのではないでしょうか。
かける方は自分の言いたいことを自分のタイミングで伝えられて良いでしょう。しかし、受け取る方の都合はどうでしょうか。運転中や食事中、デートや仕事に集中したい時かもしれません。また、電話は文字で伝わりにくい複雑な要件を伝えるのには便利ですが、受けるほうは心の準備や頭の整理ができていないので、とっさに正常な判断がしにくい場合があります。
私は個人的には電話は嫌いで、かかってくると少し心がざわつきます(苦笑)。
一方で顧客の立場に立つとサポートセンターに電話がつながるのは安心感があります。
メールしか受け付けていないと、問題解決まで数日かかる場合があるからです。それも良し悪しで、なかなかつながらないサポートセンターとのやりとりに1時間も費やした経験は誰しもあるのではないでしょうか。特にナビダイヤルは顧客サービスとして最悪です。とはいえ、電話対応コミュニケーターを置くほどの余裕のある企業は少ないものです。
弊社では顧客との連絡手段としての電話は廃止しました。生産性があまりに低く、声によるやりとりは心理的な負担も大きいからです。
連絡速度 … ★★★★☆ すぐに電話がつながればという条件つき
確実性 … ★★★☆☆ 1対1でやりとりできるが、映像付きには劣る
気持ちの伝わりやすさ … ★★★★☆ 声が聴けることのメリットはある
生産性 … ★☆☆☆☆ 相手の都合おかまいなし
総合評価 … 企業と顧客どちらにもメリットは少ない
3,「生きる化石」ファクス
日本のIT化の遅れの象徴として揶揄されるファクス。20年前までの通信手段、生きる化石です。
確かに、私が貿易商でアルバイトをしていた20年前、海外にファクスで商品を注文していました。言い間違えや聞き間違えのある電話より確実だし、時差を気にする必要がないし、紙として記録に残せるからです。ファクスで注文表を送ったら、それに「OK!」などと上書きして返信が来たものです。
税関とのやりとりでファクスか郵送かしか書類のやり取りを受け付けない時があります。弊社ではファクスなど持っていませんから、郵送することになるのですが、これで1週間は仕事が遅れます。私は、日本で今でもファクスが現役であることを恥ずかしく思います。相手が税関ならやむをえませんが、取引先でファクスや郵便しか使えないところがあれば、お付き合いは難しいでしょう。
連絡速度 … ★★★★☆ ただし相手側の紙が切れる場合も(冗談です)
確実性 … ★☆☆☆☆ 相手が外出中は読めない
気持ちの伝わりやすさ … ★★☆☆☆ 手書きの手紙やラブレターをファクスした時代もあったらしい
生産性 … ★☆☆☆☆ PCから紙に印刷してファクスする時点でもう…
総合評価 … 博物館だけでお目にかかりたい
4,「完璧だがデメリットも見えてきた」ビデオ通話
コロナウィルス流行以降、オンライン会議は一般化しました。
コロナ禍が始まる10年以上からSkypeはありましたが、教室や会議室まで電車賃を払って時間をかけて移動していたことを考えると、どうしてオンライン化が遅れたのだろうと不思議に思います。
私が続けている語学学習の分野では海外の講師とオンラインでレッスンを受けるスタイルが当たり前なので、コロナ禍という強制手段により、やっと時代が変わったと感じています。
ビデオ通話は複数人で音声、視覚情報、電子データのやりとりができ、コストもかからないので、ほぼ完全なコミュニケーション・ツールですが、一方で、まだタイムラグや音質・画質の課題はありますし、オンラインでは物や空間を共有することまではできないので、今後の進化に期待しています。
弊社ではお客様からのビデオ通話を受け付けていますが、まだ利用者は少なく、メールやLINEの連絡を好むお客様が大半だと思います。通話する時間を決める手間や、音声でのやりとりに気を遣う気持ちはよくわかります。
連絡速度 … ★★★★☆ 予め通話する時間を約束する手間がかかる
確実性 … ★★★★☆ 物理的なものを共有できない点において
気持ちの伝わりやすさ … ★★★★★ 音声、表情が見える点を評価
生産性 … ★★★★☆ 相手の時間を拘束する点で
総合評価 … どんどんオンライン化すべき!
5,Eメール
Eメールは20年前からメインの連絡手段です。
ブラインドタッチを覚えれば手書きより圧倒的に早く(最近は音声入力も精度が向上し)、送ってから届くまでの速さ、送信する時間帯を選ばない便利さ、データを添付できる点、記録に残せること、紙が必要ないこと、テキストをコピペして転送したり翻訳ツールにかけられること等などメリットが多すぎるため、メールに置き換わる画期的な通信手段が思いつきません。メールはビジネスを変えたと言っても過言ではないでしょう。
弊社でも顧客との連絡は主にメールで行っており、補助的にビデオ通話を使っています。
ただし、文章を書くのが苦手だったりタイピングが遅い人にとっては、電話のほうが速いという結論になるかもしれません。
連絡速度 … ★★★☆☆ 相手が読んで返事するまでの待ち時間は発生する
確実性 … ★★★☆☆ 相手が読んだことをメールだけでは確認ができない
気持ちの伝わりやすさ … ★★★☆☆ 手書きの手紙やラブレターをファクスした時代もあったらしい
生産性 … ★★★★★ PCから紙に印刷してファクスする時点でもう…
総合評価 … 文字情報はやはり一番生産性が高いと感じます
6,チャットアプリ
LINEやMessengerなどのチャットアプリは今や、Eメールよりも普及しているのではないかと思います。EメールはPCで使うことを前提としていますが、チャットアプリはスマホとの相性が良く、PCとスマホの所持数を比較すれば、どちらが普及しているかは明らかです。特に学生や若年層はPCを持っていない、タイピングはできないがフリック入力が速いという人も多いでしょう。
チャットアプリでは、メールにありがちな「~様、お世話になっております」などの形式的な挨拶を省略するのが一般的で、要件を単刀直入に伝えるのは便利ですが、スマホでの閲覧を前提にしているので長文の読み書きには不向きです。
また、写真を送ったりビデオ通話を活用することもでき、Eメールとは方向性は異なるものの、生産性の高いツールであることは確かです。
弊社では公式ラインアカウントを活用して、顧客からの商品についての質問を受け付けています。画像や動画のやりとりがEメールよりも速い点が気に入っています。
連絡速度 … ★★★★★ PCを携帯することはまれだが、スマホは携帯している
確実性 … ★★★★★ 「既読」がつく
気持ちの伝わりやすさ … ★★★★★ 文字、音声、画像などあらゆる手段を使える点
生産性 … ★★★★☆ 長文の読み書きには不向き
総合評価 … Eメールとの併用でさらに便利になる
以上です。他にどんな連絡ツールが使えるでしょうか、またそのメリット、デメリットは何でしょうか。それぞれの利点を生かして活用していきたいですね。次回は、これらの連絡ツールの私の活用法についてお話します。